0:23 一 俗悪千万な人間関係
45:39 二 意外な奴ばかり
1:01:20 三 招かれざる客
1:20:16 四 第一の殺人


1:34:58 五 猫の鈴
2:22:11 六 第二の犯罪
2:37:00 七 探偵小説狂の老生客


2:55:18 八 アリバイはただ一人
3:12:39 九 火葬の帰り道
3:39:02 十 気狂い揃い
3:55:44 十一 火葬場からの戻り道


4:33:08 十二 セムシ詩人はなぜ殺されたか
4:42:35 十三 聖処女も嘘がお上手
4:57:28 十四 聖処女と最後の晩餐
5:15:07 十五 砂糖壺とピカ一の手品


5:43:55 十六 歌川家の秘密
6:02:38 十七 不連続殺人事件
6:24:41 十八 七人目
6:37:46 十九 アリバイくらべ
7:04:18 二十 第一級の容疑者


7:46:21 二十一 密会と拷問と勾引
8:01:47 二十二 八月九日
8:19:15 二十三 最後の悲劇
8:35:59 二十四 犯人現る?
8:54:24 二十五 致命的な手違い
9:05:08 二十六 絶体絶命の悪戦苦闘
9:17:46 二十七 心理の足跡
9:33:08 二十八 抜き差しならぬ物的証拠

▪️登場人物

巨勢博士 (こせはかせ) 探偵役。

◆歌川一族
歌川多門:非常に好色で、正妻のほか多数の妾を抱えていた。
歌川梶子:故人。多門の妻。珠緒の母。前年に亡くなり、自殺と処理されている
歌川一馬:歌川家の嫡男。酒造家。40歳。寸兵の友人の詩人。
歌川あやか:一馬の妻。過去に、土居光一(ピカ一)と同棲していた。
歌川珠緒:歌川多聞の後妻との間に生まれた娘。22歳。一馬の妹。
歌川加代子:歌川多聞の隠し子の娘。24歳。おもちゃにしていた女中との間に生まれた娘。
京子と友達。血の繋がる兄の一馬に想いを寄せており、一馬とは相愛の仲。

◆南雲一族
南雲一松:南雲由良の夫の老人。疎開してきている。
南雲由良:南雲一松の妻で、歌川多門の妹にあたることから、疎開先として歌川家に身を寄せていた老女。
南雲千草:南雲一松・千草夫妻の娘。26歳。歌川多門の姪であり、一馬の従姉妹にあたる。醜女と描写される。
多聞の妾とその配偶者

矢代寸兵 :本作における語り手。巨勢博士は弟子にあたる。
矢代京子 :寸兵の妻。歌川多門のかつての妾で、寸兵との結婚時に揉めていた。

神山東洋 :弁護士。元、多門の秘書。木曽乃の夫。見た目巨漢のヤクザ。
神山木曽乃 :神山の妻。夫公認で、元・歌川多聞の妾の一人。

坪田平吉 :坪田テルヨの夫。日本橋の小料理屋、ツボ平の主人。歌川家の元料理人。
坪田テルヨ :元・歌川多聞の妾の一人。

下枝 :歌川家の女中。多聞の妾。
八重 :歌川家の女中。多聞の妾。

その他の宿泊者たち
望月王仁 :流行作家。粗暴、傲慢無礼、女たらしで嫌われていた。
珠緒に惚れており、虜となっていた3人のうちの一人。

丹後弓彦 :あまり売れていない作家。陰険、ひねくれ者。
珠緒に惚れており、虜となっていた3人のうちの一人。

内海明 :陽気なセムシ詩人。珠緒に惚れており、虜となっていた3人のうちの一人。

土居光一 (ピカ一) :商売のうまい画家。過去、歌川あやかと同棲していた。

三宅木兵衛 (モクべエ) :フランス文学者。秋子の夫だが、実質的に離縁状態。

宇津木秋子 :女流作家。一馬の元妻。木兵衛の妻だが、実質的に離縁状態。

人見小六 :劇作家。胡蝶の夫。

明石胡蝶 :女優。小六の妻だが。一馬に想いを寄せる。

奥田利根五郎 :海老塚の知人である論語の研究家。

歌川家の使用人など
片倉清次郎 :歌川家の番頭。病気のため休養中。
喜作 :歌川家の飼い殺しの下男の老人。
海老塚医師 :村の医者。
諸井琴路 :海老塚医院の看護婦。

■坂口安吾
小説家。本名は炳五(へいご)。新潟市西大畑町に生まれる。幼稚園の頃より不登校になり、餓鬼大将として悪戯のかぎりを尽くす。1926(大正15)年、求道への憧れが強まり、東洋大学印度哲学科に入学するも、過酷な修行の末、悟りを放棄する。1930(昭和5)年、友人らと同人雑誌「言葉」を創刊、翌年6月に発表した「風博士」を牧野信一に絶賛され、文壇の注目を浴びる。その後、「紫大納言」(1939年)などの佳作を発表する一方、世評的には不遇の時代が続いたが、1946(昭和21)年、戦後の本質を鋭く把握洞察した「堕落論」、「白痴」の発表により、一躍人気作家として表舞台に躍り出る。戦後世相を反映した小説やエッセイ、探偵小説、歴史研究など、多彩な執筆活動を展開する一方、国税局と争ったり、競輪の不正事件を告発したりと、実生活でも世間の注目を浴び続けた。1955(昭和30)年2月17日、脳溢血により急死。享年48歳。小説の代表作は「紫大納言」「真珠」「白痴」「桜の森の満開の下」「夜長姫と耳男」など。エッセイの代表作は「FARCEに就て」「文学のふるさと」「日本文化私観」「堕落論」「教祖の文学」など。

■他の坂口安吾作品
戦争と一人の女

■読み手:イチマン
主に小劇場で活動中。
小劇場には面白い物語がたくさんあるので、このチャンネルに集まる物語好きの方に、その面白さを知って欲しくて活動しています。
小劇場作家に書いてもらったオリジナル台本も朗読します。

#小説
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#読み聞かせ
#睡眠導入
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坂口 暗号不連続殺人 事件 1俗悪先番な人間関係 昭和22年6月の終わりであっ た私は歌川かの呼び出しを受けて日本橋の 壺兵という小料理屋で落ち合っ た壺兵の主人坪田兵吉は以前疑けの料理人 でその女将照るよさんは女中をしてい たかの親父の 歌という人はにわがままな職感でめかけは ある芸者遊びもするくせに女中にも手を つつける照るよさんは渋川の向けた可愛い 顔立ちだから無論例外ではなくその代わり 壺兵と結婚させてくれた時には両リアの 資金も与えてくれたので あるかの東京の邸宅は先細でやられたから 彼は状況の旅壺兵へ止まる 実はね出し抜けにとっぴなお願いだが僕の うちで一夏暮らしてもらいたいの だかの家は記者を降りて山路を6里ほど バスに乗りバスを降りてからも1人近く 歩かなければならないという不便極まる 山中なので あるそんなところだから私たち数名の分子 仲間は戦争中彼の家へ疎してい た1つには彼の家が手家で酒が飲めると いう狙いの筋もあったので あるわを話さないと分かってもらえないが この月の初めに望月大人のやがふらりと やってき たすると単子弓彦と宇明が続いてやってき たの だ妹の玉のやが誘いの手紙を出したからで 一夏へ止まると いう君だから恥を打ち明けてお話するが玉 のやつこの春打たしたの だ相手が誰ということは全然喋らないから 今もって分からないが一月のうち半分 くらいはふらりと状況してどこに止まって くるのだか手のつけよがなくなっていたの だご承知の通り望月人というやつは亡ゴマ ブレ花持ちならのやつだが単子弓彦のやつ が上辺はイギリス型の紳士みたいに定長で 取りしているけれどもこいつがまた傲慢 うぬぼれだけで出来上がったようなやつで 陰間なひねくれ者でね宇明だけは気持ちの すっきりしたところがあるんだけれども霊 の背で姿が周回だから差し引きなにもなら ない3人もつれて喧嘩ばかりして やがる玉のやつはそれが面白くて誘いを かけた仕事なんだ よ僕らはやり切れやしない絡んだり 睨み合ったりセシのやつなんぞは時々立腹 して食卓の皿を床に叩きつけて ね1人の姿を見ると1人がぷいと立ち去る という具合で僕らのイライラ不愉快になる ことと言ったら全くもうゆっくり本を読む ような心の落ち着きが持てないのだ ねそこで誰言うとなくいそ昔の顔ぶれ 戦争中疎かに来ていた顔ぶれだね一同に 返して一夏過ごそうじゃないか東京は飲食 店が休業だからちょうどよかろうなんて ことになっ た彼らもそれを望んでいるが僕らも実は 助かる彼らは退屈紛らしのつもりだけれど も僕らは奴らだけじゃ息苦しくって他に 息抜きのできる人たち木米にしろ孤にしろ いてくれた方が助かる 紛れる別して君には是非とも来てもらい たいの だ木米もも来ることになって実は明後日 一緒に出発することになっているんだが ね内木さんも か無論一緒だ校長さんも来るそのために 一夏舞台を休むことにしたほだ から女流作家内木明子は今はフランス文学 者の宮木米と一緒にいるが元はかの奥さん だった 元々話し合いの上で別れたことで文学者 同士のことだから後は綺麗なものだけれど も問題はかじゃなくて望月大人 だ初会中当時か夫人だった内木明子と木米 と話が進んで終戦東京へ引き上げるという 時に話し合いの上でかが離婚を承諾し たかも元々明子に手こずりほとんど未練は なかったので ある明子は非常に多生な女 だ初会中は木米よりも大人と交渉が深かっ たのだが大人のやが全然定説の念を持た ないやつで玉とも関係があり女中だの村の 娘だの発砲に地上 沙汰あき子なんぞは食後の果物おやつ程度 にしか心得ていないからあき子も諦めて 木米と一緒になっ たしかし内心は相当大人に参って いる大人は天下の流行作家であるし傲慢 ブレ粗雑野生的なところが肉感派の明子に 魅力なの だろうあき子は本能の人形みたいな女で 抑制などのできなくなる地方的なところが あるから三へ行く人とそのままでは住ま ないはずが木米というやつ理そう明学者前 乙にすましてくだらぬ女に惚れて引きずり 回されていいダダというのだがそのくせ 嫉妬で胸が破れそうなことも言って いるかの招きに応ずるなどとは全く馬鹿げ たや だ私はしかしこの正体はなるほどかの述べ たような理由によるものと思うけれどもか 自身がこの計画に乗り気の理由の最大の ものは別に隠されているのだろうと思っ た狙いはむしろ胡蝶さんにあるの だろう胡蝶さんが呼びたいの だ私はそう 思う明胡蝶は劇作家瞳孤の奥さんで女優 だ慢心色 をる肉に満ちているが胡蝶さんは人のよう な亡な野生派が嫌いで立派の弱々しい男が 好き瞳コなどはネチネチ必要で煮えきら なくて小心 臆病根は親切で人なつこいたちなのだが 付き合いにくい男 だ胡蝶さんはかが好きでかの方が積極的に 出えすれば かに走るぐらいの気持ちは抱いて いるあの頃はしかしかは臆病だっ た内木明子は三宅木米と共に去る元々未練 のない女とはいえ捨てられたは真中 安々都会客は終戦とともににわかに去りコ も胡蝶さんも去っ た彼は孤独というものが何よりも自分の 望む愛人のようにあの時はむしろ厳しい 勇気に満ちて一道を見送り孤独に 閉じこもったように見え た1月2月に1度ぐらいずつ状況の度に 清その天辺は彼の心に大きく影響して去年 の春頃高今の奥さんの彩佳さんにあっ た彩佳さんは女学生の頃は品を作っていた そうで主派の遺歌川かといえば文学少女に は相当魅力のある中堅詩人だからその頃 34度お友達と訪問したりなどしたことが あるしかし死は彩佳さんには焼き場で実際 は死などに縁もゆかりもない人 だだから女学校を卒業するともうかを訪れ はしなかっ た去年再開した時に彩佳さんは土井光一と いう画家と同棲していた 彼の絵は最もユニックだと言われ記載など と持てはやされているが私はそうは思わ ないシルレアリズム式の構図にもっぱら 感能的な戦場一方のものをぬたくり 燃え上がらせるちょっと見ると感能的と 同時に何か陰鬱な市場を称えている趣きの あるのがみそでしかし実際は孤独とか虚無 の厳しさは何1つない 彼はただ実に巧みな商人で時代の思考に 合わせて色をぬたくりそれらしいものを 立ち上げる名人 だだからA自体の捜索態度も商品的だが また売り込みの名人で終戦後は画の苦境 時代だが彼は雑誌者や分子に渡りをつけて 差しの方で荒稼ぎ相変わらず記載だの ユニックな作風などと組に持てはやされて いるかは別人のようだっ た色々抑えていたものが時代の天辺彼に 発散の糸口を与えたものか俺だって女房を 寝取られているんだ何かそんな居直り方の 安梅で全くもう女に亭主のあることなど 眼中にない必要さ下向き食い下がったもの で あるもも彩さんは 美しい飛び切りという感じが ある彩佳とはうまい名をつけたもので 遊び好きでくっが ないしかししつこいことが嫌いなようでか の執念深さ柄に合わない居り方にしめつら を見せる気配も見受けられたがこういう人 を天来の少型とでも言うのかつまり貧乏が 何より嫌なの だ土井高一は画家の中ではさし絵を書い たりして収入のある方だがこの物価高では 高の知れた収入で一速の絹靴下も買って もらえ ないかの方は元来が大金満化の温雑士の ところへ自局的にも手化であり数10万 長部の三輪は持って いる嫌でも闇の大金が 転がり込む東京の旅に金庫からちょっと1 つみさた掴んで くる1つみぐらい減ったって減った後も 分かりやしないが花神みたいに掴んでくる さ束が78万円あるという下々には検討も つかない景気で遊ぶこと美味しい食べ物 美しい 着物豪車の好きな彩佳さんはお金に惚れて しまっ たあっさり同行一に陰道を渡して正式にか と結婚し たそれが去年の晩頃であっ た最も詳細に抜かりのない同行一のことで 即座にかと膝詰の相談女郎だって見受けの 3万や5万は今時かかるんだから20万円 で見受けしろと いう私が間に立って10万にねって出たが 15万円で蹴りをつけた なにあの女は俺でなきゃだめなんだよ俺の 肉体でなきゃ ね俺の肉体は君ヨーロッパの恐怖でも率 するぐらい喜ぶんだから な吹けば飛ぶような三門主人じゃない かまもなく俺のとへ涙を流して謝って帰っ てくら ど光一は私にそう言っ たしかし地震満々の和生ドファン先生も こいつはダメ だろう彩佳さんという人は1人の男ぐらい へとも思っていないので世界中の男が つまり自分のより取りずの品物に見えると いうような楽天家じゃないかと私は 思う高一が見受として20万円を求したに は大いに誇りを傷つけられて全くこういう 楽天的な人は男なんかへとも思わぬくせに 小さなことでひどく誇りを傷つけられ無償 腹を立て激復讐復讐もしなかったけれども 大変な見幕で起こったものでひどい喧嘩 別れをしたという話であっ たそのことを私が言うと高一は笑ってまか な喧嘩なんて男同士だって結局仲直りの チャンスじゃない か男と女の喧嘩なんて他人同士なら元々 喧嘩なんかしやしない やひどい喧嘩別れをしたというのはひどく 仲良しになる条件があるということなん だわかったか い彼は自信うれの化であっ た元よりど高一の予想は外れて彩佳さんは もはや彼には1個にも及ばなかったが しかしかも決して幸福な結婚ではなかった よう だ最も別に浮気をするというようなことで は ない彩佳さんは衣の下から体の光が輝いた という外姫の一類で全身の輝くような美し さみしさ だそのくせこんなに美しく色っぽく見える 人はご当人は案外強欲的なことには無関心 冷た興味が少ないのか浮気なところは 少ないただ状況の旅に強者極まる買い物を して 大喜びお気に入りの衣装や靴ができてくる と喜び極まり第1夜はその衣装をつけ靴を 履いて寝てしまうという低 全く定石のない人物なので ある万事につけてひどく愛苦しいから クレオパトラのようなツンとした女王性は 無人もないけれどわがままであり人の心を 新Sheし ない女房の義務など考えていないから亭主 へのサービスなどは思ったこともなく従っ て亭主が何をしても平気の平子という様子 これがかには物足り ない自分1人を特別の男として特別に見て くれる風がないからのれに腕押しの力負け で物足りなかったり不安であったり無念で あっ たりそれで恨みを述べるとアコに立腹され てしまうからか先生顔色を失いこのところ 全く圧倒されて男1匹我が身の拙さだらし なさそれとなく大反逆の色も 深い実際は彩佳夫人に惚れすぎているから のことであるがこうなると浮気みたいな ものがしてみたいような気持ちになるもの で私は疎かグレ隊をひつ 正体これはどうも胡蝶夫人が狙いの筋では ないかと思っ た彼のような坊っちゃんは人に好れるのが 嬉しくてそれを知らぬふりそんな様子をし てみるのが好きなの だ特に人の奥さんが亭主よりも密かに自分 を思ってくれるというようなことを確かめ てそれとなくそしらぬそぶりでその愛情を モてびろするのが楽しいのでそれは趣味状 のこと浮気というようなものではなくて 自ら飛び込んで口説くことなどできへし ないする気もないするほど惚れていやし ないの だそういうたちのかが自分が図らずも彩佳 夫人に惚れて振り回されるはめに立ち入っ たから振り回されるという外部の形式が 感覚的に残念無念で私には彼のそういう 心理はよくわかるので あるだから満ちたらざる部分を胡蝶夫人を 招待して密かにその愛に甘えむしろ胡蝶 夫人のを遊び虐待しそんな気持ちがあるの で本当は彩佳さんに惚れているの だうっかりすると取り返しのつかないこと に なる私はそんな風に考え たしかしいくら坊っちゃんとはいえ弱い 四十立派な文学者で詩人のやること間に 見いられても十字架は自分自身で追いべき 人のことで私がそれを気に止むまでのこと は ない私はしかし私1個の指示としてこの 正体には応じえぬ理由が あるなるほど望月大人という無法者が 乗り込んで いるそこへ単子弓彦という取りした ひねくれ者とうみ明という陽気な虫が 乗り込んで絡み合い睨み合い たんじゃ他にお化けの一連体でも呼びたく なるのは最もでもあるが古い腐った雲の巣 みたいなものがねっとり絡み合った男と女 を一同に集めてその陰々印さな繋がり 絡み合い思っても深い悪趣嫌じゃない かそこに私が加わるとなおさらいけない 理由があった 私の女房の教子はかの親父の歌川多門の めかけであっ ためかけや手掛けの数あるうちで特別調い のこもった女でだから戦争中まさか自宅へ 入れるわけにはいかないから当時は家子 夫人がまだ存命であっ た自分の村の一軒を借りて疎させ た私は強固と恋に落ちて抽選と共に強奪し て東京へ引き上げてきたので ある多門の怒りは凶暴なもので風の頼りに も一下な余分収まらずあにまた大人級の 政治家でこれから俺の天下と大いに希望の あったところを手もなく追放に なるすっかり イライラ私がつまりそのイライラの分まで 憎ま役に回っていたようもで あるしかし去年の夏カジ夫人が死にまも なく下という村の相当の家の娘に目をつけ て無理に小遣いにつまり次女めかけそれで ご機嫌が治ったそうで追放後の暇の体を今 では109の小娘をちいして鼻の下を 伸ばしているという話であっ た木米やコと違って僕がまさか君の家へ 行けるはずがないじゃない かご尊父のご機嫌がいくらか紛れるにして も僕はそのいくらかでも不快な思いを好ん でみたくはないから な僕はともかく教子が身震いするだろう それはできない相談だ ねしかしねまあもうちょっと我慢して聞い て ほしい君にだけは全てを打ち明けてお話し するつもりなのだから 僕の精神上の極めて雰囲気的なお話もある しそれからいさ通俗的な犯罪実話も ある彼はポケットから1枚の風潮を 取り出し た見て ごらんこんないたずらを仕掛けるやつが あるん だごくありふれたレターペーパーに次の ように書いて あるじ様は誰に殺されたか 全ては1周期に終わるで あろう憎しみも呪いも悲しみも怒り もうまい字じゃ ないしかし主席を隠して書いた字だろう 安物のインクを使いシミがたくさんできて いるスタンプによる発信地は近くの町で 東京から行けばその町で記者を降りること になる 彼の家はさらにそこから7ほどバスで山道 を走らねばなら ぬしかしともかくこの田舎町は彼の村から 最も近い都会であり村人の買い物は概ね この町を利用し間に合わ せるこれはしかしハからな文章じゃない かハから以上に文学的だ なこの手紙は僕に当てたもので犯人を誰と もも書いていないけれども僕に当てた ところを見ると僕を犯人に当てているのか もしれない ねご承知の通りうちの母は2度目の母で僕 の母が死んだの嫁に来てだから年も僕と3 つしか違わ ない去年8月9日に四十2で死んだの だしかし僕がこの母を殺す何の理由がある だろう この母は元々全速持ちだった心臓全速と いうやつ だそれが怖いものだから海老塚という足の 悪い医者これは落した桃園の指定だがこれ に学費を給与して内科を学ばせ5年ほど前 村へ住居を与えて開業させ た山中の無村で開業するには内科だけじゃ いけないので外科も耳鼻も眼科も鹿まで 一手に兼ねなければならないから父などは あまり早く呼び寄せるのは反対で全科に わって一応習得させる時間を与える方が村 のためだというの をいいえ私のために呼ぶ医者ですからと 言って卒業後研究室に1年ぐらいいただけ で強制的に呼び寄せ た医者の当人が学級原だからそれが非常に 服であった俺でこっちへ来てから表面従順 ではあったがそりが合わなかっ た恩を忘れて不親切だと言って母は医者を 怒っていたが逃げられると困るので不満が あるのも耐えていたよう だ全速というやはひどい苦しみ方だから 腹ばいに畳みを むしる全く母は畳をむりながら苦しみじを 遂げたもので何本注射をしてもダメだっ たこれは心臓全速の普通のことで特別どと いうことは ないしかしくの要素のうちの多分極限の ものだろうからここへ例えば毒殺という外 からの手段が加えられても見分はつか ない外に出血とか市販とかそういうことは 別にして苦の予想だけではね しかし出血も市販も特別なものは何もなく 死んでからは安らかな顔で元より毒殺など とは誰1人考えたものもなく葬ったの だそんな噂が私たちの耳に届いたのは今年 になったから だろう林中には女中から出入りのものまで 集まっていたのだからくの様子を見て いる山中の暇な村人だからおがついて そんな話になったのだろうが放っても置け ないから海老塚医師に聞き出したら大きな 目玉を向いたきり返事もしなかっ たあれはそういう人物で分かりきったこと には返事をしないたちなの だ足が不自由でそういう日神から来たよう な変necessなところがあっておしり 嫌いの人好きの悪い男 だそそのうち食事に家族が集まっている時 玉のやが不に私に向かって近頃村じゃ お兄さんがうちのお母さんを毒殺しただ なんて噂があるそうよと大きな声で言い やがっ た無論これは冗談だあいつはそういう人の 悪いいたずらをしたがるやつなん だ人の一番嫌がることをね あいつと来たらあいつはおかじお母さんの たった1人の実施のくせに母親が死んだっ て悲しむどころか全く涙1つこぼしやし ないんだから なしる人がいなくなってこれで大っぴらに 大いに遊べるという張り切ったような始末 なの だしかしあいつにしたってこいしくも殺人 犯だからそう馬鹿な冗談も言わないので実 は当時別に犯人は誰それだという誠しかな 風聞があっ た君たちも知っているもろいという看護婦 あれのこと だ変に色っぽい女だから な確かに父と関係はあっ た君がおきさんとって後は別にして相当の 向上があったことも事実だろう それで母を殺して後釜を狙ったと いうこれはいかにも村の噂に手頃の神秘 悲劇的人間関係じゃない か農村の噂なんてみんなこれぐらい月並み なもの さこんな噂があるから妹のや安心して あんなひどい冗談を言えがったむろん誰も ぞっとなんかしやしないすごみなんかない から ねゲタタみんな笑いでし たしかし僕自身はやっぱり寝覚めは 悪いもろいこじという看護は今は多分 ちょうど30前後 だろう大体女若い女というものは英雄愛光 家だから戦争ともなればただの娘も看護婦 になって従軍するぐらいの夢は身がちの もので看護婦ならみんな戦地へ志願しそう な花生のものだがこのもろいという女は別 でおよそ架空な夢の少ない冷めた女であっ た男の冗談などには取り合いもし ない5尺4寸ゴブだとか日本の女に珍しい のびのびして金星の取れた見事な体格で顔 もまずくは ないああいう女はむっつりスケベと言って 冷たく取りしているくせに内心はみだらな ものだ 案外うなもんで変に情熱があって一晩は よろしいものだなろと大いに働きかけたが 全然手応えがなかっ た戦争になって看護婦というものが戦地へ 駆り立てられひどく貴重品になった時東京 のかかりの病院にいたこの看護婦が戦地へ 徴用されちゃ嫌だなとこぼしていたので無 孫の看護婦という立派な公実に許可を得て 連れてきて海老塚委員へ置かず自宅の一室 を与えて昼だけ委員へ通わ せる自分の都合もあるけれども他にも名目 があってこの家には他に2組の病人があっ た1つはここへ疎のな一松という老人が ここへ来てから中風でついて いる1松の除はおば様と呼ばれ歌田の実の 妹 だこの人も病人で生来の巨 characterからヒステリーの気味 でおかじさんとは特別折り合いが 悪いタモという人は特に肉身の情熱などは ないけれども世間並のことなら何でも 鵜呑みに気にかけないたちだから妹一家が 疎 するよかろう面倒を見てやれ病気になった よかろう手当てをして やれそれだけのことで大きな家で金も物資 もあり自分の邪魔になることは何1つない からちっとも気にかけ ないそんな人間どもが寄食していることも 忘れて いるけれども女はそうはいか ないべして将さんは5歳で多門の子供 みたいな年で昔から反目していたから一緒 に住むとうまくいか ない小ゆば様の子供は男1人女4人だが男 は技術家で外地へ行っておりこの戦争に 潜水艦で死んだそうだが女は2人死んで 1人は嫁に行って満鉄に いる末娘だけが見込んで一緒に疎している のだがおじさんの娘の玉さんとこの千草 さんがけただならず仲が悪い 玉さんは美人だが千草さんはもっての他の 不美人で目が破にらみでそばかすだらけ豚 のように太って いる太っているのに神経室で意地悪で ひねくれておりひが強いから本法な玉さん の意味のないことまで悪意にとって恨んで いるから玉さんは腹に物を貯めておけない たちでガラガラピシピシやっつける これがまた母親同士の反目の種になるので あるおじ様は若などぶして単価雑誌に投稿 している人だからおっとり奥様前として いるけれども病的に潔癖な神経があって 嫌い出すと100倍嫌いになるようだっ たもう1人の病人はかこ さんこれが大いに問題の人だ この人の母親は死んで いるおじいさんおばあさんは歌家の 飼い殺しの下男と女中頭で鬼作じいさん おでんばあ さんどちらも人のいいいつもニコニコ大変 漢字の良い召使い だかこさんは言うまでもなくこの2人の 老人の孫だけれども実は多門のお年で女中 の母親がが見守り産み落とした娘 だだから召使いの部屋の1つにいるけれど も女中の手伝いをするわけでもなく服装 などもカではないがこざっぱりした都会風 のものを当てれて いるこの娘が誠に 美しい清楚純血透き通るようにさえすんだ 美しさ だけれども17の年から廃BRAで女学校 の4年の時寄宿者で発病して一時入院した が隊員後は女中部屋の一室で寝たり起き たり大概読書をして いる玉さんよりも2つ 年上玉さんが22ならかこさんは 24千草さんはその2つ年上で26になっ ている だろうこの隠し後の存在にはじ様も相当 反問したであるが自分の結婚前ということ がともかく納得の手ではあった らしい私はよく知らないが母親の女中さん はおじ様が来てから首をくって死んだとか そういうことがあっておじ様のかこさんへ の呪いは下火になったのだそう だこの病気には食べ物が大切だからと特別 の自用物などを心がけてやり 服装なども人前へ出て恥ずかしくないもの を心がけるという風でもろい看護婦にもお には気をつけてと言い含めたそう だだからかこさんに微熱があると看護婦を 病院へやらず付き添わ せるな一松じいさんやおゆばあさんが相当 の長でもいいから病院へ行ってきなさい 忙しいでしょうという もろい看護婦がまた冷たい女で俗な幸愛の 気迫な人だ から愚痴っぽくめそめそとヒステリーじみ た名一族が嫌いでよく面倒を見てやら ないその呪いがおおじ様に集まりこってい たわけ だおじ様は既得の時死の直前のもはや畳を むしるくの力さえも衰えかけた 時みんないる そう聞い たそしてそれらの言葉はほとんどよく 聞き取ることが不可能だった がな一家のものはあっちへ行ってくれと いう意味のことを言ったようであっ たしかしそれは明確に聞き取ることができ なかったのでおじ様の枕元に1番近く座っ ていた玉さんも実際はどう言ったのか わかりゃしないわと言っているそうである この脅迫場は全く馬鹿げたものさこっちは 身に覚えがないことだから手紙の文句の方 は僕は気にかけてい ない村の疎買い物かなんかで暇でひねくれ たやのいたずらだろう よ僕が君を頼りにしているのはこれは僕の あまりひどいわがままだけれども君よりは 実のところどうしてもおさが必要なん で酒の酔いも覚めたように彼の顔色は 青ざめてき た余分の注釈は良しにしていきなり行って しまうが僕は昔からかこを熱愛してい たしかしともかく兄と妹なんだから僕は 式場的なものを極めて精神的に変形しわり 聖母を警護するようなそんなふな優しい心 を持っていたの だ困ったことにかこの方が僕以上に僕を 愛していたんだ ねその上に君あれぐらい毎日何かしら読書 しているくせに非常識な話だけれど も兄の僕を恋人として愛して いる兄と妹は恋をしちゃいけないのだと 言って聞かせてもどうして世間の人がそう だってどうして私たちがそうでなければ ならない の向こう水だよ世間なんかもう眼中に入れ たくないのだ ねそれが処女の気1本の情熱で思い消して いるのだから僕は打たれ た死んでもいいと思っ た崇行そのものです よ君は信じられないかね これ以上の崇行はないです よなんと言ったって君かこは世間を捨てて いるんだから な罪を知らないのじゃないの だかこはそう明そのものだ何でも知ってる 神のように知っ てる見抜いているの だ自分の宿命だって見抜いている さ僕はラし たねえそうだろうもし神様に優しく誰かで 悪事を囁かれたら一体人はどうなると 思う僕はしかし危ないところで 思いとどまっ た体に触れてはなら ぬたえ死んで も僕 は神様を犯せないいやしかしさずにいられ もない気が するかこは僕の手を握りしめ た僕たちは切粉し た冷たい悲しい切粉だったが2人はまるで 水のようにただ1つのものであったという ことが できる総合そのものであっ た悲痛そのものだった よかこは言うのだ 結婚しよう神様は必ず許して くれるそして死に ましょうと ね僕はしかし ない僕はそんなに単純じゃ ない僕 は悪党なん だかの言葉は痙攣的な叫びになった しかし僕が生来のあちゃらかボイで一向 感動しないからだんだん動物園の猛獣 みたいに大人しくなっ て僕は しかし実際悪党だ からそりゃ分かっ てる君ぐらいの年になりゃ誰だって悪党だ 彩佳夫人にも続行参りすぎている校長さん にだって時にはくい点を見たいだろうし さかこさんは君以外の男は眼中にありゃし ないから なしかしそりゃ崇行でもなんでもなく案外 謹慎相関でもなくみんな君自身が幻覚して いる雰囲気で根は処女の魅力 魔力それだけじゃないか な根を突き詰めると実は案外薄っぺらな ものさ 怒ったか ねそうじゃない か君は実際は彩佳夫人の非処女性に圧倒さ れ圧倒的に幸福状態にあるんでちっとは無 本気を出したいから な兄と妹恋愛大いに よろしい多少は無本気も出したらいいさ 発散すりゃそれでいいん だしかし実のところ本にやっちゃったのか と思って話の途中じゃちょっとヒヤヒヤし た ねそんな風に言ってくれると僕も救われる が ね君の言葉が当たっているとは思わないが 理屈はよそう理屈は僕1人だけ信じてりゃ いいん だ君からそうやって至ってもらえれば僕と しては本毛なんだから なそれで君にお願いというのはかこには 友達というものが1人もい ないたった1人お京さの他に はかこは毎日お教さを思い出して懐かしん でいるのだ よ病気に悪いことを知りながら一理の山道 を歩いてよくお京さのとろへ遊びに行った ものだから な叱られてもまた 行く熱を出して寝つきても起きられるよう になるとまたでか 脱出して出かけるのだから な僕はあの頃お京さんがかこを殺すよばに 見えて憎んだものだ よだから君お京さに来てもらってかこの 気持ちをなめてもらえるものだろう かそういう役割を果たし得る人と言ったら お京さの他には婚MU罪ないのだ から僕がいかにも育児がなくて申しにくい のだけも僕のことをもう諦めて他に心を 紛らすようにしけてもらいたいの だもちろん僕自身からもそう しけるしかし僕の全力で足りそうもない からお京さんに立ちを頼むの だ困った役目だ元より私の一存で返事の できることじゃ ない戻って京子に行ったらまっぴらごめん だという 恋の病は苦の湯でもというから誰のさ加減 でもため当事者に任せ成り行きに任せる こと だかこさんが自殺でもすりゃこっちの覚め が悪いばかり だそれに教子の立場としてはあの三相へ 再び顔を出したくないのは当然だっ た教子の決意が石のごとくであるからかも 諦め 3日の後に木米と孤両夫妻を堂々し て山へ帰っ た 2意外なや ばかり7月10日の朝であったがかから次 のような手紙が届い た7月15日にとビローから切符を届け させるからその日の終列車で来て くれ是非とも 頼むなお3枚の切符のうち1枚は小博士の ものだから口説き落として無理無体にでも 堂々 頼む3拝9 敗恐るべき犯罪が行われようとしている 多くの人の血 が君と博士だけが頼み だそしてお京さお京 さ頼みます待ってい ます暗い血の海が 見える15日の午後実際にツーリストビロ の使いの人が3枚の切符を持ってきてN 行きの終列車は23時35分だからNへ1 時頃つきバスの始発には連絡することが できると いうかずはツーリストビロの食卓なので ある宣伝文化の企画に参与するのだそう だかずは時々気1本に思い込んですむから 私はどうも付き合い にくい私はしかし至って付き合いのいい方 だからなんとか言うとほだされてどうも いけない立ちで ある子はめ嫌がっていたけれども文面が すご すぎるそれよりも女は要するにスれ詩人で 崇行なる謹慎相関そういうところに所詮 ほろりとしているの だじゃあ思い切っていきますというので 文面の示すところに従い小博士を訪れ た個性博士と言っても実際は博士でもなん でもない それどころか私やかに比べると11も年若 のまだ29という若像なので ある彼は17の時まだ中学生であったが私 のところへ分子になりたいと生して出入り にやってき た僕みたいに駆け出しの若造に出入りし たってしよがない大下のとこへ行きなさい と言っ たら若いもは若い同士でさと変なことを 言いやがっ たしかしまもなく彼は探偵に掘り出して しかし大学では美学という喋れたものを 勉強したがこれはつまり奴が不勉強で他の かへ入学不可能な宿命を自覚したからの 結果なので あるしかし彼の探偵の才能は驚異的なもの だっ たまさしく天才である 我々は嫌というほど実例を見せられ全く どうも奴の観察の確実さ人間心理の ニュアンスを美彩に突き止め嗅ぎ分ける こと恐ろしい時が ある彼にかかると犯罪を巡る人間心理が はっきり紛れもない姿を取って描き出され て しまう全てがはっきり割り切られて計算さ れて答えが出てくるのだがそれがどういう 三式によるのか変幻自在奴の用いる公式が 我々には飲み込め ない我々文学者にとっては人間は不可欠な もの人間の心理の迷路は永遠に無限の作造 で終わるべきものでだから文学もあり得る のだが奴にとっての人間の心は常に はっきり割り切ら れるそれくらい人間が分かりながら 君はまたどうしてアーも小説が下手くそな んだろう なと冷やかしてやる と小説が下手だから犯罪が分かるんだ さこいつはシレや御村ではない だろうこの言葉もまた心理をいいた卓説で 彼の人間観察は犯罪心理という低い線で 停止してその線から先の無限の迷路へ ことがないように組み立てられている らしいそういうことが天才なので あるだから奴は文学は書けない文学には 人間観察の一定の限界線はない から奴は探偵の天才だが全然文学の音痴な ので あるしかし我々は彼の探偵主を絶対的に 認めるからこのの物をあえて博士と損傷 するようにしているがしかし八つは肩の 凝る学問は知らない代わりにくだらぬもの なら公爵本落語全集等の高級品から下は本 映画雑誌相撲の番付けそういうものは徹夜 で単独するからくだらぬものなら何でも 知らぬというものが ない私が出かけていって手紙を見せて応援 を頼むと そうですか秘書はいいな料理も食えるし酒 も飲める かしかし今晩はダメです よ なぜ辛いな開き直られちゃちょっとお耳を 拝借 あ いびきわかりました か博士もまたしかりかどうせ相手は パンパン だろうやいちゃやぼです先生明日の夜行で 行きます人足お先 にあの子も連れて行きたい なあ連れてきた前遠慮 なくだめだめ神聖なる処女は小の中へ連れ て行くわけにはいかない です博士は少女趣味かいやれやれ俺はとま な趣味のやに疲れているいん だ私は手紙の指定通り出発し た記者はこの説としては大名旅行で 腰かけることができず眠ることができず 便所へ行くことができない程度の穏やかな 旅行であっ たN長へ降りると思いがけない人物が 乗り合わせていたの だ私は呼びかけられて驚いたが神山東洋と その奥さんの木曾さん だ神山夫妻は戦争中ちょっとばかり山へ顔 を見せたことがあるが弁護士で8苦年前 までは疑多門の秘書をやっていた男 だ木曾は元は新橋の芸者で引かされて多門 のめかけであったが東洋と密通しその頃 から秘書を辞めたが時々訪ねてくるのだ そう だ弁護士という頭脳的な勝どころか暴力団 のように見えるがっしり腕っぷしの強そう な大男で疑ではみんなにけされて出てゆ けがしに扱われどっちを向いても女中に まで渋い顔を見せつけられ誰に話しかけて も誰も返事もしないので あるこれはおきさんもそうそう社先生とご 結婚のよし受けたっていました よ先生もによらないそうなんだな文子 なんて大人しそうでやっぱりその道は揃い なんだなあおさいりました今度よろしくご 至難願います よ私は返事もしなかった が社先生も歌さんでしょうタをいたし ましょうあなたも歌さんですかおおなん ですか が参りましたもんだ ね珍しいことがあるものです よしかしバスに乗り込むと私は呆れ返って うんざりし た嫌なやつ思いがけないやにばっかり でっすど光一が乗って いる やあ彼は当たり前というように頭をガクン と挨拶したが前へ下げずに後ろへ上げるの だから人をバカにしたやつだ やあ君はどこへ行くのだ いどこへ行くってこんな足立原に毛生えた ようなところへ来てどこへ行きようもない じゃないか歌かのうへ行くに決まっている さ君はそうじゃないの かこいつがしかし何のよで行くの だろう君は何か用があるのか バカにするなあんなへっぽこ主人に何のよ があるもの か見の金はちゃんともらってしまったから とっくに飲み干してしまったけれども後 ねだるほど連絡はしない よ奴が是非ともご後来一夏をお過ごし くだされ酒も料理もあるというから変な ことを言ってくる呆れたちょこちょいだと 思ったが酒があるなら付き合ってもよろし かろうじゃない か彼は教子を見てふんと笑っ てあなたがおきさん かなるほど美人だ色っぽい なあ得熱くまた浮気心も深し かいい色だ な残念だ2遅れたわい俺が戦争中この村へ 疎してりゃお京さんは俺が抱てあげたんだ が なしかしお揃いで堂々と疑わけ乗り込む なんざ社文もご心臓じゃない か君の小説は子供っぽくて読めないが な一体かは何を考え何を企んでいるの だろう 私は彼の手紙からは主としてナンセンスを 感じただけだが今や私もひどく不安になっ てき た何かが起こる少なくとも何かが巧まれて いることはもはや確実と見てよかっ たバスを降りると若い下らが荷物を運びに 待ってい たまだここから1近く山の小道を上がっ たり下ったりたにはやりきれない道中で あるようやく歌家の近く珍珠様の下へ 差しかかった時小陰から2人の女が私たち の方へ歩いてき た彩佳さんとう秋子であっ た私たちを迎えに来た様子であっ たしかし彩佳夫人は私たちに近づくと棒の ように直立してしまっ た何がだかわが分からないという顔で自分 の目を疑るような風であったがそれを見る とど高一の方が先に声をかけ たよお大富豪霊夫人お出迎えご 苦労どれ織田人に俺が久々に可愛がって あげるか な彼はつつかと彩佳さんの方へ歩いて行っ たそれは全く抱きしめ分ぐらいしようと いう規であっ た何しに来たのあなた は彩佳さんはじりじり内木さんの後ろへ身 を隠すように知りといたが高一はそんな ことは意図もせずなんなら2人の女を一緒 にまとめて抱いてしまうぐらいの調子で いやあ こんにちはあんたはどなた え内木明子さんああ公明な女流作家お みそれしまし たまだ若いんだなこれは 美しいいずれごゆっくりご挨拶します昔の 色女が待ちかねていますから ね高一は彩佳さんの腕を掴んだ彩佳さんは 激しく振り払って五歩逃げ て悪と6でだしお前なんかの来るところ じゃない 帰りなさいねえ誰 か私たちの方をうろうろ見たがまた高一が シニに掴みかかろうとするので言葉を 続ける暇もなく顔色を失って逃げ出し たその後ろ姿に目もくれず高一は判決を 出して額の汗を吹い て愛しい人に出くわすと女の子は鳥 のぼせるよどうして女というやは 待ちこがれた人に待ちこがれたと言えない のか なねえ内木さん日本の女は色ごとの訓練が 足りないからねそう でしょう疑へつくと来客諸行は滝つぼへ 水浴びに出かけたよしでかと背のうだけが 私たちの到着を待ってい た私は喋る力も ないトップを浴びるとビールと サンドイッチの昼食を取り目がとろとろ 開かなくなって部屋へ寝床を敷いてもらっ て寝込んでしまっ た都会の余熱にあ組に山のレキは快適で私 が目を覚ました時はもうたがれてい た私の期待に1つ足りないものがあっ たまだひぐらしが泣かないのだ月末には 泣き出す だろう顔をいると女中が迎えに来たそこへ 京子も迎えに来 てよを目覚めもう皆さんお酒召し上がっ てる わ全くぐっすり眠ったものだ な私は大きなあびをして海花へ降り た3招かれざる客 私は望月人が大の嫌いであっ た最も分断で望月大人が好きだというもの は滅多にない分際を鼻にかけて人を人とも 思わない礼儀作法を湧きまえず人の面前で 婦人に切粉は愚か暴行感もやりかねない やつでだから未だに独身で天下の女は みんな俺の女のようなものだといて いるけれども彼はジャーナリストに人望が あるそれは奴が金離れが良いことと ジャーナリズムは思想性よりも筆力で評価 するから彼の歳出に幻惑さ れるそれにジャーナリズムは事物を歴史的 性格で判断せず現実の現象性で判断する から彼が第1級の流行作家であるから彼の 傲慢は当然と受け入れ帰って自信があると かあれだけ信念がなきゃ芸術はできない などと逆に彼の傲慢が美徳のごとくに評価 される 始末公職壁などはむしろそれが天才の証拠 のようにさすがに一般と神経が違うなどと 持てはやされる有様であっ た私はしかしこれは見物だと思ったそれは ど高一が一座に加わってきたからで との鼻つまみの野獣を 付き合わせるなるほどこいつは思考で あるかにしては大出の思考で私は迂闊いつ も奴らに腹を立てさせられているばかりで 彼らを酒の魚にすることなどはついぞ気が つかなかったので あるところが期待を裏切られ た奴らはやっぱり海山線の者で祖のようで も義の神経は発達していて全然都の 付き合わないのであるえいピカお前は酒を 飲まないの か大人が言っ た高一はニヤニヤして いる彼はあんまり酒を飲ま ない全く奴のように酔っ払うなくとも人前 で平気の平で女を抱いたり口説いたりする やつは酒の必要はないのだろう 酒によっては眠気を模し腕が鈍るという ようなものかもしれ ぬ大人と来ては酔っても酔わなくても女を 口説きたて酒をガブガブあびるがごとく 煽り立てる 突然高一が立ち上がって胡蝶さんの前へ 行っ たいきなり手をつかん で踊りましょう胡蝶さん金金舞台では 肺がんのAに属してひれず思いを焦してい た けれどあなたはレガ士というんだ なシャルマンとデリカそれにオルグユズと いうところがあってねこの悪徳が私は好き なん だいざ踊り ましょう胡蝶さんは静かに手を引っ込めて 冷たくいです がタタ笑いでし たピカ よろしいその王長的3流勝負を第1番に くいたところにお前の朝からざる所用が 伺わ れるお前もしかしフランス仕込みにしちゃ 体性の額に通じないな勝負というのは人前 で黒いちゃだめなんだ婦は祝女のごとく 見せたがるから全くんだうれさ人前で黒く のは勝負のイミテーションが最も よろしいすなわちかの ごとし彼は立ち上がって玉さんの手を 引っ張りあげて踊りかけてすぐ抱き抱えて ソファーへドカンと腰を下ろして切粉し た玉さんは平気であっ た存分切粉して顔を上げ てどうピカさん 明日の晩はあなたにこうしてあげるわ ねその時震えちゃだめです よ私は震える男は嫌いなの よねえ単子さん単子を踊り ましょう単子は首を振っ たしかし首を振りかけた時玉さんは目も くれずもううの方へ歩いていたから取り しまして首を振る単子の首がおもちゃの 人形みたいであっ たさあうつみさんあなただってたまには フットライトを浴びなきゃいけない わ片隅に引っ込んでいじけずに堂々と圧倒 しちゃうの ようみは人のいい微傷を浮かべ て僕がフットライトを浴びるのは ノートルダムの主演の時だけ さその説は共演を頼むぜ あらそう素晴らしいことねこの夏ここで やりましょうよひとさん手頃に脚本書いて ちょうだい よろしい俺が舞台装置をやる村の週に工業 して百姓どもの信玄を巻き上げて やろうピカ一の舞台装置じゃ勝のお客は 逃げだすさ 様子がいいこれだけ女優が揃っているから エロダンス他に何があるものかずっとこの 通り大人はいきなり玉を抱き抱え ひったくるようにツーピースを脱がせ たシミズ1つで王子の腕から転がり出た玉 はビクともしなかっ たちゃかすような顔でもなかっ た黙って人を見て とシミを脱い だズロース1つで あるもういい のもう1 つかがイライラ妹の腕を掴ん でお前はもう引っ込み なさいどうせついてた手数が省けて ちょうど よい大人が玉を抱き上げる とおいよせ悪どいぞ 兄さん怒るなまさか鬼でも可愛い子を人前 で本当に裸にするもの かしかし手数が省けてちょうどついてた からちょっと借りていくぜ芝居の方は 終わったんだよこれからは恋愛という指示 に属する演劇だから見物人はお断り だ抱き抱えてどっこいしょはいごめん自分 の寝室へ立ち去ってしま た5分10 分2人は帰ってこなかっ た都会のどこかにインチキバーインチキ キャバレはあるかもしれぬがそんなことは そこでも滅多に見られやし なかろうさすがのピカ一先生も呆れた様子 ではてさて 聞きにまさる豪 だ歌はしかしな婦宿だ なフランスくだりをうろうろしないで俺も 若年から登山の趣味を養うところだった よ私のお相手はこんばんはどなたです か囚作家政党 主人 いかが内木さんは作り笑いをして えいずれよろしく 今晩は戦役があります からご主人の三宅木米の腕を取っ てじゃあお先にああ そうそう そうピカ一はひょいと立ってどんどん先に 立って歩いて広間から廊下へ続く扉を開け てホテルの棒宮殿の自社の容量で糸陰金に 頭を垂れてお通りを 見送るそれをきっかけにみんなそれぞれ 寝室へ引き取っ た私たちが寝室へ引き取るとすぐ後からか が来 たイライラし て実際君集だどうしてくれたら胸が収まる の だろう絞め殺してやり たい私は慰める言葉がなかっ た君とゆっくり話を交わす暇がなくってね これしかし一体どうしたことだろう僕には わけが分からない君はツーリストビロの 切符を受け取ってきたのだろう ねそう さ僕の手紙は届いた ね無論見たよざもなきゃキアしないさ小 博士は一緒に来れなかったけれど今夜経つ から明日来るはず だ古性 博士なんだい 小性博士がどうしたんだ誰かそんなことを 言ってきたのか いわけがわからないな君の手紙に小博士を 連れてきてくれと書いてあるから さ僕の手紙 に彼はあけに取られて私を見つめ たそんなこと書きやしない僕は君たちを 2人だけ来てくれと書いたはず だいやわかるからはっているの だ君に当てた手紙だけじゃないんだからな 聞いてくれ実になんたることだドイツが 一体僕はもう怒り狂っているの だしかし全く何者のいたずらだろう僕は君 神山東洋夫妻だのましてどい高一にあいつ らに招待状を発するはずがないじゃないか しかし奴らは招待情を受け取っている おまけにちゃんと君と同様ツリとビロの 使いのものが切符を届けているのだから な僕は確かにツーリストビロに切符を 届けるように手配の手紙を出してはいる しかしそれは君たちご夫婦2人だけだ小 博士だって頼みへし ない今度は私がけに取られる番であっ た私は彼の手紙を全然疑っていなかっ た確かに見慣れた彼の筆跡だったの だ幸い小博士を訪ねた時彼に見せるために ポケットに入れた手紙をそのまま持って ここへ来ていた私はそれを取り出して見せ た彼はそれを睨んでいた が僕の手紙をいぺ開封したやが書き直して 送ったの だなぜなら僕の文章がそのまま使ってある からいいか ね7月15日にツーリストビロから切符を 届けさせるからその日の週列車で来て くれ是非とも 頼むなお3枚の切符のうち1枚は小博士の ものだからくき落として無理無にでも堂々 頼む参拝9 杯恐るべきが行われようとしている多くの 人々の血 が君と小 博士だけが頼み だそしてお京さんお京 さん頼みます待ってい ます暗い血の海が 見えるつまりね二重かっこ印の部分が誰か の書き出したところでの部分が省かれて いるの だ恐るべき犯罪だなんてそんなものがどこ にもありゃしないじゃない か最後の結びの暗い血の海が見えるこれは 確かに僕の文章 だあの時僕は兄と妹の罪の血の暗い幻想に 悩まされていたからさしかし正直のところ 胡蝶なんだよ君たちが来てくれないと困る から飯しておさんに順序を訴えるために 文学者の文章上の誇りを捨ててお兄さんお 兄さん暗い血の海が 見える浅ましい文章を書いたんだお経さん 許して くださいしかしどうもこれを書き換えて 送ったやは何を企んでいるの だろうもしかする と本当に犯罪があるんじゃないかね全く さあ僕だって君今なら人が殺したいよ どいつもこいつもああちくし息の根を止め てやり たい誰だって君今このうちに住んでいりゃ 人の23人殺さずにいられるもの かしかし筆石は確かに彼のものだしかし よく見ると切りに筆を真た形跡も伺われ この紙 はうちの陽線 さどこに置いてあるのだ いさっきの広間の隅のデスクにこれと インクとペンはいつも備えつけてあるもろ 封筒も置いて ある手紙は誰が投函したの だ君たちの疎中は郵便局に人手がなかった し自局が自局でこっちから東に1も歩いも だけど今じゃ向こうから取りに来る昔から の習慣なん だ最も郵便を配達に来てついでに持って 帰るの だうへ届ける郵便物のない時だけやっぱり 配達の時間にわざわざ取りに来てくれるの だ内から出す郵便物は玄関に霧の箱が置い てあって手紙を出すものが勝手に自分で 投げ込んでおくの だだから手紙をすり替えるチャンスは誰に でも あるまあいいさ幸い明日コ博士が来るから お忘向きじゃない か最も手紙の犯人が自分で指名しているの だからななぜ小博士を呼び上がったか なこの犯人名小博士を舐めているから大 失敗だよあいつは全くその道では天才なん だ からつまり中途半端な頭なんだ よ犯人を探すに手頃でそれ以上はだめ そしてそれ以上へ行かない組織になって いるところがおそらく慰霊の才能なんだ なじゃあまた明日 そうした前我々が犯罪を突きまししたって 迷路を彷徨いやたらに犯人を製造する ばかり さ全くもってにとっちゃ犯人ならぬ人間は ありえないから考えてみたって全然無駄 だかは自室へ戻っていっ たどの部屋からももう物音がなくなって いるなんだか君が悪い わ私恐ろしくなってきたわ本当に何か 恐ろしいことが起こるんじゃない かしらどんな恐ろしいこと がどんなってわかりゃしない けどでも何か本当に起こりそうじゃない のそうか な小布宿の犯罪事件かピカ一目小布宿とは しかし全くひどい話 さ私今日かこさんとお話ししたのよまだ ほのご挨拶程度のお話だけですけれど ね多分予想以上だわ本当に兄さんを 思い詰めている様子 よ罪は人間が作ったものですって人間が 勝手にこられた観念ですっ て自然のままの人間にどこにも罪なんか あるはずがないんだって ねそんなことを私におっしゃった わ恥があるから罪もあるん だろあなたのヘリ屈なんかかこさんの悩み の赤みたいなものよ 分かったわかった諸上の悩みは信玄その ものださあねよしかし寝られるか な私は昼寝しすぎたの だけれども眠くなってき たその時廊下を私の知らない何かフランス 語のシャンソンらしいものを歌って玉さん が通りすぎ た階段へかかるとだんだん大声に そしてバタバタ駆け降りていっ たやれ やれ玉多のご間 か時計を見たら11時15 分私は伝統を消し た4第1の 殺人翌朝 7月17日午前6時半私たちは散歩に出 た三山と行って人里離れた山中に祠があり 身は神社と称し 奈良町宿ある内神の吉田が名残りをとめて いるのは大木の密林 ばかり祠はおもちゃのように 小さいこのみさ中ブナの密林に囲まれて 周囲3兆ぐらいの池があり水の色の緑の深 さただならぬ妖怪じみた色をしており主で も住むという つまし身の神様に結びついた伝説があって 水の枯れることがないそう だこの辺の風景は色彩の激しさと孤独の深 さ胸に染みる静寂を宿して私にとっては この村の最も大きな魅力であっ たこの辺を一回りして7時半の朝食に 間に合うように戻ってきて裏門をくぐって 坂倉に沿って表門へ回ろうとするとさま1 つの海老塚石が裏庭の清水の流れに体を 吹いて体操して いるやあ夕べはお泊まりでした かと言葉をかけるとじろりと見ただけで 返事をしない全く変人でひねくれて いる小の足の不自由で裸になると両足の細 さの総意がはっきり わかるまるで我々全体に敵を抱いている 様子で我々が話しかけても返事もろにしや しないがそのくせ三素に文人連が止まって 以来毎晩遊びに来て主席の隅に息を殺して いるのだそうでまるで怒った顔つきだがご 当人はそれで結構楽しいのかもしれない 広間へ行くとみんな揃っていて食事の支度 ができたというから食堂へ 入る海老塚石が遅れてきた続いて内木明子 が朦朧たる手で現れ てなんだか頭が痛む わご飯が欲しくないのだけれども皆さんお 集まりの決まった時間ってなんだか寝てい られなくなるのね 徹なさったのと胡蝶さん いえ眠りすぎちゃって未だに眠いの よ山の中は眠いのかしら多分生活が不規則 だからたまに規則的な生活すると健全 みたいで変に頼もしくなるのだ けれど悪徳たき祝女は全を愛するもので そのです なあとピカイチが大声で 言うお水だけいただく わご病気じゃないのと彩かさん うん無退職の私が食欲がなきゃ病気かも しれないわ ねつりじゃあないです かトピカ 1海老塚さんに見ていただくがいい さとかが昔の女房を 至る今のご亭主の木米はむっつり不機嫌だ がいずれ彼らは別れるの だろう あらあら本当に病気にされちゃ嫌だ わ知恵熱というのさうさん近頃知恵盛り じゃないか初富にご活発で荒らせ られるとセム詩人のうが 冷やかすけだし明子女子終戦後は女流文子 の最大流行事であられもなく書きまくって いらせられるからで ある人生楽しい別れも楽しい内木さん ぐらいご流星の時は神様の神罰も食欲不審 ぐらいが限度で ね神様も力及ばずさ 内木さん天才になるんじゃないのか なと単子弓彦皮肉の針をちくりと させ ははは悪徳書き祝女の食欲不信は気に かかる なあ何かの方が不審じゃなさすぎるから だろう なあピカ一の言葉はいつも 汚らしい食事が終わる頃にになって玉さん がやってきたあらもう皆さんコーヒーなの 寝過ごしちゃっ たとっても 眠い当たり前さあなたが眠いのは ねまたピカイチがまず口を 入れる何も食べたく ない大人さんまだ寝てるの ね大人だけがまだ顔を見せていなかっ たピカ一は総合を崩し てそれそれやっぱり男の方が余計眠ら なきゃならねえの か大人ほどのご体格でもご疲労は玉さんに 超えるか ね内木さんの小説だよ絵の方じゃそんな えげつないことは題材にならないから絵は ブルなもん だ文学は汚らしい な起こして こよ玉さんは平然と言い捨ててシャンソン を歌いながら階段をかけって去ったが守も なく音もなく戻ってき た真っ青だっ た目が焦点を失って いるちょっと喋ることができない様子で あっ た王じさん が死ん でるかがビクッと顔を 上げ 何人さん が殺されて いる開いている椅子の1つへフラフラ腰を 下ろして化石のように方針し たかがのろのろ立ち上がって仕切りに人々 を見回し ながら寸ぺ君だけ と私に呼びかけ て皆さん待っててください私が見てきます 寸だけ一緒にそれから海老塚 さん一座は全く無言であった私と海老塚 医師が立ち上がっ たそして私たち3人だけがしぶきもない 沈黙の部屋から歩き出たので あるまさしく大人は殺されてい た一もまとわぬ裏であっ た心臓を一月にやられているその担当が彼 の体をピンで止めているように突き刺した まま だ不思議に血がほとんど見られ ないこいつが人を殺さずに人に殺される などとは嘘のような話でまるで現実の事件 の中にいるような気がしなかっ た誰が殺したってこんなやつ 私は全く小君がいいと思う心が強いだけで あんまり何でもなく死んでいるので帰って 生きているんじゃない か何か騙されてるようで不安であっ た塚医は脈を取りまぶをひっくり返したり し てたくに死んで ます地合自得 さそういう言葉が自然に私の口をついて出 てき たかは黙って凝視していたがようやく我に 帰った様子 でじゃあともかくこの部屋を 出ようこのままにして おこう仕方がない警察へ内密にごまかす こともできないの か我々が廊下へ出るその時気がついて 腕時計を見ると8時22分であった 村の駐在へ電話をかけるそれから食堂へ 戻って沈黙の一座が言葉を流しているのに かも海老塚も喋らないから私 が大人は死んで ます殺されてい ますはっきり多か分かるの かと ピカ一はっきり 多人は君とと同じぐらいの怪物かもしれ ないが自分の心臓へ担当をぶち込むゲトは 多分できないだろう な私はその時明子さんの表情が大きく動い たのを見逃さなかっ たびっくりしたのだろう か何 を私の視線が注がれているのを見て急に 厳しく私を見つめたがしかしそれを私以外 に観察していたもう1人の人物があった 玉さんだ急にあき子さんをさして ヒステリックに叫ん だ犯人は分かっています女流作家内木明子 先生やっぱり偉いのね人殺しぐらいできる んだ からたおさんは立ち上がって手品の 種明かしをするように握りしめていた 小さな何者かを指先につまんで人々に示し た このライター内木先生ご愛用のダンヒル でしょう内木先生以外にダンヒルご使用の ハンサムボーイはいない から人さんの枕本のデスクにあったんです デスクの灰皿には口紅のついたシガレット の水差しもあり ます私が咲夜あの部屋を立ち去るまでは こんなものはなかったの です前巻の 終わりさんはライターを食卓の上へ投げ こがしてあびでもするように椅子に めり込ん だ秋子さんは宣告を受けた罪人のような顔 だっ たそして力尽きたように顔を伏せたが やがてビリビリ震える顔をあげ て私が殺したなんて嘘です わ担当なんてそんな私は知りませ んよしましょう犯人だなんてそれは確かに 誰かが殺したんでしょうけど誰だって あいつを殺したい気持ちなら同じように 持ち合わせているだけのことさ尊敬すべき 代表選手に犯人という称号は当たらない や犯人探しに内もめをするよりも無罪単願 所の相談でもするのが我々の偽らざる心 でしょう私がそういうと塚 が百 やこ当たり前 だそう呟いて立ち上がっ た私は彼と並んでいたから私の耳にはその つぶやきが聞こえ た彼が立ち上がって去ろうとする から海老塚さん調べが済むまで我々が動い ちゃいけない でしょう私は勇敢人種じゃないです 患者が詰めかけてきてい ます音部されて未名から3里も山道を歩い たり ねえ殺人なんか遊戯の果てにすぎんです百 勝どもの命なんて虫ケラに毛の生えたよう なものでも虫ケラよりは貴重です から虫ケラどもの人皿 ださようなら皆さん 木や打て 者めい 先生ピカ一が後ろ姿へ反省を浴びせ たせっかく患者殺しにせを出すんだ なあんたの目玉の色は精神病院で見かけた ぜ木ぐいに脈を取らせて山の奴らは呑気な もんだ な駐在の巡査が駆けつけ たこの南川友一郎巡査は探偵小説は愛読し ているが本物の事件に巡り合ったのが 初めてだから全身緊張そのものに張り切っ て意物々しく現場の扉にぺったりと封印の 紙を 貼り付ける一道に向かって現場を見出さ ないように心を大に申し訳て本へ電話で 連絡 する大事件が起ったですがああ聞こえとり ますか東京の流行の文子持月大人士流行の 人気の 文子流行り 文子わからんかな3問分の反対じゃよえ 面倒な本書に文学巡査はおらです か 5猫の 鈴県の本書から一向が到着するのに5時間 のありもかかるので あるところが南川雄一郎巡査のうるさい こと一同を食堂へ缶詰めにして外へ散歩に も出してくれないおお いかん足跡が消える廊下もうろついちゃ いかん犯罪はですな発1本靴から落ちた1 粒の砂いいですかこれが鍵と なる微妙なるものです なあ皆さんのご協力数時間のご辛抱によっ て犯罪科学の偉大な機能が成果を 上げる1本のツールを決めて便所へ歩かせ てくれるだけで ある11時半頃小博士が来 た私はその来着を一同に披露して待ちかね ていたのであるが何がさて御石そこそこの 男でまん丸いクリクリした顔愛嬌の良い 23士の小子にしか見えなくて喧嘩となる と素早そうだが大探偵のおかげなどはどこ にも ないかや私が説明するのをまるで自分が 尋問を受けているようにはあはあと恐縮し て受けたって いるこれがその偽造の手紙だが君の眼力に かかっちゃ真相を見破ることは意図安い こと だろうとんでもない僕なんかとてもダメだ な ええこっちが歌先生の本当の筆跡です か同じじゃないですかうめえなあ本物と 見分がつかねえもの大したもんです ねだから小博士は全然評判が 悪いその代わり愛嬌があってくりくり 可愛くてご夫人に丁寧で全くすごみがない からご婦人連には表 でこせさんいい人いらっしゃるのえ あははお恥ずかしい次第で 連れてらっしゃるばよかったのに前方で 呼んであげなさい な人見知りをしますんで17のカレンな 少女ですから あらあらじゃあまだ切粉もなさらないの ねそれが 一度なんです彼女は真っ赤になってしかし 怒らなかったです ははそれじゃあもう新婚旅行なさっても よろしいわ早速お呼びしましょうよ ねそれがここのうちじゃ具合が悪いことが あって洋食の食べ方を知らないものです からナイフとフォークを握ったことが なかったもんでもっか練習中なん です裕一郎巡査に缶詰めにされているから 小博士を慰み物にして鬱憤を晴らして いる2時半に半 警官の一向が観葉の自動車で到着かから 頼んで小博士を警官並に現状出入を許して もらっ た警察位の検修が終わり現場からかなり 多くの指紋が取れ た捜査部長平野豊警部は神眼の眼力 いかなる知能の反抗も一目でかり2度3度 4度目にギラリと睨む時には見破って しまう 田舎にはもったいない探偵の大分で神警部 といえばその道では全国的に流れて いる現場をじろりと3睨み4つ睨みして あれこれと綿密に操作を 命じる出血がないのは特別の理由があるん じゃないですかなすでに死んでいたとか なんと か解剖をしてみなければはっきりは申せ ませんがこの場合は俗にポというやつで 心臓へ直角に狂気が打ち込まれた時に稀に 内出血だけで終わることがあり得るの ですしかし解剖の上でなければ何とも断定 は申されませ ん解剖のため死体をトラックに積んで県立 病院へ送っ たはてなこれは何 だろう刑事の1人が寝台の下から真中の 小さな鈴を拾い上げた この刑事は荒広助という部長で県内切って の探偵 だどんな手口でも嗅ぎ分けて犯人を 書き出してしまう英敏な 六感刑事中まで八丁花といえば一目置かれ ている敏腕家であっ たなんだいそれ は鈴ですが ね見たところ極めて安っぽい品で猫の くったりぶら下げるような鈴である 寝台の下にもっと何かないかおい読みすぎ お前ちびだから潜って みろと八丁花が兄貴風を吹か せる読みすぎと呼ばれた刑事は本名は長畑 千冬というのだがどこでどうして覚えたの か似合わぬ知識が あるドイツ語などをかじって医学の心得 などがあるが探偵のこととなると決して 敏腕とは申されない 単純な犯罪を複雑怪奇に考えすぎ途方も なく難しく解釈して1人で打ち込んで しまうから読みすぎというあだ名を取っ た今度の事件は東京から来たインテリ連の 複雑な犯罪らしいから案外今度の事件に 限って読み過ぎに馬が合うかもしれないと 神刑事が考えたから八丁花とコンビに連れ てき た八丁花は八丁先をで出す敏腕だが根が 慌ての1人飲み込み田舎の犯罪には勘は 確かだけれどもインテリの計画犯罪には 読み方の足らないウイがあるのであっ た読み過ぎはベッドの下へ潜り込むと四 つばになった がおやおやこりゃおかしいよベッドの下に 洋服の上着が ある上着を引き出してみると1箇所に誇り がべっとり ちょうど雑巾のように何かを拭いた後を とめて いるおやおやどこを拭いたんだろうこの テーブルの上から机の上 からそんなところでこれだけのゴミがつく ものか い決まってるじゃないか上着のあった場所 さベッドの下です か覗いてみろうんなるほど確かにここを 吹き回した後があり ますしかしなんだってベッドの下を 吹き上がったんだろう血も水も一滴も こぼれた後はありゃしないの に上着は被害者のものであっ た現場の綿密な操作を終わったのが夕方で 狂気には指紋がなく枕本の卓上のフラスコ とコップからいくつかの指紋が出 た1度の指紋を取って合わせてみると被害 者の指紋の他に玉さんの指紋とあき子さん の指紋がぴったり 合うあき子さんの指紋は明らかにフラスコ を握ってコップに注いだものであっ たフラスコにはごく少量の暗い褐色の液体 が残ってい た窓は初めから空いていたの かベッドの足の方の窓は開けっぱなして ありましたしかし犯人はそっちから侵入し たものではありませんなはしごをかけた後 もよじ登った後もありませ んと裕一郎巡査が無駄に張り番していた わけではない手並のほどを疲労に 及ぶこの辺は蚊がいないの かとんでもないやかの名所です よそこの違い棚にカ先行をいす瀬戸物の 容器があるでしょう それぐらいのことを知っているしかし中に 先行の肺が残っていないから聞いたの だ机の上には50枚ほど書かれた原稿と 500枚ほどの現行士整頓して手の触れた 後は ない部屋をかき回した後はなかっ た解剖の結果を待って正式に尋問を始める ことにしてこの日中書に泊まり込み数を 残して式の1は 引き上げるその時一光を送って出た神警部 が1人に向かっ ておい明日アタピンをこっちへよこせどう も俺歴のインテリご夫人がまじどもへと 絡んでいるからこっちは苦手だアタピンに 限るこれを小耳に挟んだから私も驚い てなんですかアタピンというのは 聞こえましたか本書の名物婦人探偵ですよ 田舎の警察じゃ役不足の掘り出しもで飯塚 文子と申しますが ねちょっと小生行きな美人で色っぽくて なんですなちょっとからかいたくなります ぜところが ひどいうっかりからかって立てたが最後 付け上がること男という男を花できかして 尻に敷きまくる魂胆なん で本件じゃ全科10般の人殺し屋でも縮み 上がるという八丁原がアピにかかっちゃ 鼻息であわれて まさその代わり天才的な神眼で何でも頭へ ピンと くる見たもの聞いたもの頭へピン黙って 座れば頭へ ピン最も割型外れますけれど時々当たる 推理抜きの飛躍型時々当たればたくさん さ何でもかんでも頭にピンピン来るのだ から忙しく賑やかな頭で さあなた方のインスピレーションがどんな 具合のピンスだか知りませんがアタピンの ピンスぶりは迅速突入流線系見事なもの ですな 神国警部の一向も一緒に夕食のテーブルに つく八丁花も読みすぎも片づけを あげる神警部はあとだっ たこうして打ち解けていただければ我々も 栄です な警察と言うと偏見的にいきなりテで迎え られるのが我々の辛いところで警察は犯人 製造会社じゃありませんやど でせっかくお食事中不粋な話ですがしかし こういう際には事件の話題を回避するより も率直にそれを話題に取り上げて明々が 服装なく話をかわされる方が気持ちが整理 されて互いによろしいのです ないかが でしょう軽い座談の気分で行ってよろしい ところまで気軽に語っていただけません かこの離れの建物はに不合な感ですがこれ は鉄筋コンクです なそうですライト式というやつ です立ててから15年くらいになりますか 屋の方は150年ぐらいになり ますすると入り口の鍵などは極めて成功な ものです なこの山奥に鍵をかける家なんてありませ ん よ泥棒の恐怖なんて存在しません から最も夜間の侵入者はあります呼ばと 申しました ね刑事さん無益な話はよしましょう犯人は 外から気やしませんよ分かりきった話 ですそんな風に至られるのは我々の神経に はからかわれると同じ意味に響くの ですと私はいさ気を悪くしていった 何でもズバズバ思う通り言い切って ください文学の仕事がそういうもので 私たちはそのやり方に慣れているのだから 変に持って回って言われるとこっちは ひねくれて返事もする気がなくなります よいややさんあなた方はこの事件について ともかく何か知って いらっしゃるところが我々は全く白死で これから知らなければならないの ですですからあなた方に分かりきったこと が我々には分かっていないそこを教えて いただかなければならないのです よでは社さんにお聞きしますが犯人は外 からキアしないとおっしゃるそのわけは なぜでしょう か物取りの仕業でないからですよあいつを 殺す目的で外から誰かがやってきます かこの家の住人以外に月さんを殺すものが あり得ないというわけ はそんなことは知りませんよただこの家の 住人なら大概の連中が持月の息の根を止め たがっていましたよ外から来るまでもない のだ からなるほど しかし折の内容だけでは外部から犯人が来 なかったという理由にはなりません な廊下の出入り口から入って階段を登る 登ったところにあるのが月さんのだから まずそこへ入ってみる目を覚ましたので 殺す狂気の担当は談話室の棚に飾られてい たのだから犯人は内部の事情に通じたもの でしょう な初めから殺意があってそこから持ち出し たの でしょうなるほど しかしそれも必ずそうだと断定しうる性質 のものじゃありません担当はその日もそこ に飾られてました か誰も返事をするものがなかっ た飾られてあったはずですとかが答え た昨夜も皆さんはこうして食卓について おられたそれ からそれからいつもでしたら食事の後は みんなバラバラになるのですが夕は社たち 新が到着したので隣の広まで遅くまで飲ん だり話したり踊ったりしてました が兄さんよし て警部さんは何が知りたいのいつ誰が殺し たかそれだけ でしょう私が教えてあげますわ大人さんと 私は人足先に大人さんの寝室へ引き上げ ました何時頃だか覚えていませ ん私が人さんの部屋を去る時人さんはもう 眠っていまし たそしてその時はデスクの上にこの ライターも口紅のついた吸殻もなかったの です私はタバコを吸いません から私は伝灯を消して部屋を出まし たそこから先はこのライターの持ち主内木 明子先生が話してくださる番です わ内木先生 どうぞ明子さんはすでに覚悟していたよう だ 私が大人さんのお部屋へ行きましたのは1 時頃 ですときっぱり行っ た大人さんは眠っていまし たいびきを書いていらしたから間違いは ありませ んゆり動かしても目を覚ます気配があり ませんので椅子にかけてタバコを1本吸っ たの ですその時フラスコの飲み物を召し上がり ましたかえ 飲みましたいくらも残っていなかったの ですあの飲み物は何です か現の証拠大人さんは丈夫層で胃が悪いの ですお茶の代わりに毎日ガブガブ現の証拠 を召し上がる習慣でし た失礼ですがあなたはちょっとよその部屋 へ行かれるにもライターを持ってお出かけ ですか いつもそうとは限りませんでも大人さんは タバコを召し上がらないの です私も昨夜はライターを持たずに出かけ たのですするとドアに鍵がかかっていたの ですそれで1度は戻ったのですが考えて みるとおかしいのです わ大人さんの鍵は偶然私がお預かりして いることに気づいたの です探してみるとありました でついでにライターとタバコを持って 思い切って出直したの です嘘おしい私は鍵なんかかけてきやし なかった わとたおさんが叫ん だでも鍵がかかっていたのですもの ははあそれは奇妙です なそしてその鍵はどうしました かまた私が持って戻りましたお部屋に鍵を かけ て私はわざとライターを残してきたの です大人さんが目を覚まして私の訪れに気 がつくよう にそして誰かが鍵をかけたことにも気が つくよう に私も来たしかし私の他に鍵をかける どなたかも来たそのどなたかは大人さん だけがご存知 でしょう私のダンヒルはその講義を語る ために置きのされてきたのでし た嘘ですお 嘘私が今朝大人さんの死体を発見した時 ドアの鍵はかかっていません現に鍵を持た ない私があの部屋へ入って死体を発見した ではありません かはてさてややこしくなりましたな 一体このうちは各々の部屋の鍵が共通です かいえ各々違っていますしかしうからも外 からも1つで間に合う鍵なん ですすると望月さんの鍵は内木さんが持っ ていらっしゃるその他にあの部屋の鍵を かけたり外したりできるのはどなた でしょう同じ鍵を持っている方 はそうですですね3つずつ同じ鍵を作らせ たの です1つは皆さんにお渡ししてありますし 1つはまとめて隣の広間のデスクの 引き出しに放り込んであるはず ですもう一束は確か金庫にあるはず ですその引き出しをおい八丁原1つ君 確かめてきた 前かと八丁原は確かめに去ったが引き出し の鍵は一束全部噴出してい た広間のデスクの引き出しに疑けのネーム 入りの陽線や封筒現行士など入れてあり 来客一度必要に応じて勝手に取り出す 仕組みになっていたので あるどなたか引き出しの鍵束を見た記憶は ありません か僕は見た よと背の宇やがあっさり言った いつです かそうだな僕は現行士を持たずに来たから 現行師があるというから引っかき回したん だ けど陽線と封筒ばかりで現行士がなかなか 見つからなくってね来て間もなくだから もう1ヶ月以上昔の話 さ何月何日だかわかりゃしない よ月さんの部屋と隣室の間にドアがあり ますがあのドアの鍵 は部屋の間のドアは鍵をかけたままでその 鍵はお客様方にはお渡ししてありませ んしかし盗まれた鍵玉の中にはその鍵も もちろんありまし たあの隣室はどなたでした かと神警部は各人の部屋の位置を記して もらった図面を広げて ああ単子由彦さん作品はかねて雑誌で拝読 いたしており ます昨夜は何か隣室に変わったものとをお 聞きになりませんでした か毎晩変わったものとばかり聞かされてい ますからいちいち気にかけちゃいられませ ん さ大人が死んで今晩から安眠できるだろう な愛欲の音と殺人の音と一体どこに区別が あります か食事が終わってどやどや隣の広間へ流れ ていく波の中で発ち花が出し抜けに彩佳 さんに呼びかけ たもしもし奥さん失礼ですがそのスリッパ ははあ何でしょうこのパントゥ フル パントゥああなるほどスリッパじゃない靴 ですなそのおははいつも履いて いらっしゃいます か随分悪趣だとおっしゃるのでしょう皆 さんにからかわれるの よでもこんなおもちゃみたいな華やかなの が好きなんです もの他に7足ほど似たような悪趣な部屋靴 があるわその日の気分であれを履いたり これを履い たりみんな鈴がついているのです か鈴のついているのはこれ だけ昨日もそれをお履きでした か 昨日昨日 ねそう昨日も履きましたでも他のも履き ましたわなぜです の鈴が1つ取れていますがいつ亡くなった か覚えていらっしゃいません かそうこの鈴が1つ ね今朝履く時に気がついたのよ 飛んだりかけたりつまづいたり私は ちょこちょこしてるからでもこのパン トッフルは私は特別に好きなのよ可愛いの よねえそうでしょそう思うでしょ はあいや 全く我々はどうも我々の街じゃ見かけた ことがないもん で警官たちが引き上げた後で我々はまた酒 を飲ん だあまり酒好きでない木米が深酒をして 押し黙っていたが内木明子も飲めない ビールを時々一息に飲み干してい た僕たちはここへ来る以前からすでに夫婦 ではなかったようなものだ がと木米は低い声で言い出し た不慣れな深酒で青ざめ目がきぐじみて いる しかし弱気の彼は明子さんを見ることが できず安倍小部の法学に一戦を向け てしかしともかく同じ屋根の下で他の男と たれるこれは品性の問題じゃない か疑と別れて僕と一緒になっ たそれを僕は秘めに覚えていなかったのに 今になってそれが恥ずかしくなっ たあれにかかると我々自身が犬になるん だ犬の知力を感じるのだところがご当人は 全然人間のつもりだから笑わせる よ明子さんは黙ってい たするとピカイチが口を出し て今時ハムレットものセリフ回しは予想 じゃないか かここでできてここで別れりゃ因が摘め 守備一貫し てらおめでたい話じゃない か黙れブラカン貴様は貴様の友達にだけ 話しかけるここには貴様の友達はおら ん何がブラかだ昔の女房を犬呼ばわり紳士 ずらがあきれ な元々俺は男友達は嫌いのたちだ よ内木さんはさすがだな女を犬呼ばわりの ハムレットはないから な女を犬と呼ぶからにはライオンぐらいの 精神力を持つが いや思想と生活のとちん感なこんなやが 外国文学の紹なんかしているから日本は いつまでも田舎なんだ よねえ内木さんそう でしょう我々はお友達になりませんか第一 こんな奴と一緒に暮らしてたんじゃいつ までたっても本当の男を書くことができ ません よ我々は本日を持って我々の記念日垂らし ようではありませんか あなたのおいくつ目の 記念日それはあなたカトリックの暦を食っ てごらん なさい記念日ならざる日はなしです よ我々もまた天主教に習って365日全て 記念日垂らしなければなら ぬピカ一は遠慮なく立ち上がって明子さん の手を取ったが子さんは知りとい てあなたもお人の悪い方殺人事件の犯人 容疑者をからかうなんて れ古風なことを言うお方だ な大人追悼に我々の切粉を捧げるとは神聖 にして純粋なる心出しというもので さ生生ルテは人生の真相だから恋人の殺さ れ当から ルテこれでなく ちゃ私 は今夜は頭痛がする わあき子さんは振り向いて立ち去ろうと するピカイチが後を追おうとするといくつ かのゴルフボールが飛んできて頭へ1つ 続いて1つ肩へ当たっ たゴルフボールはさっきから彩佳夫人がお 手玉にして遊んでいたのだからピカが 振り向くと彩佳さんはそしらぬふり椅子に 持たれて荒らぬ方を見て いるこんな 野郎ピカ一は彩佳さんに飛びかかり首を 閉めて椅子ごと押し倒すところであったが 私が立ち上がるのに瞳コがビールの空き瓶 を持って立ち上がっ た私がピカイを突き飛ばす瞳コの剣幕が ものすごい 彼は昔は左翼の投資で喧嘩名人の噂の高い 男 だ私はしかしさらにそれ以上に安心なのは 小博士がいるからで彼は学生時代からよも の10人ぐらいを相手にたった1人で血の 雨を降らして引を取らない裏町の顔役でも あったので ある博士は我々の喧嘩の方は目もくれず ニヤニヤ酒を楽しんでいるがいざとなれば 火星に来ると思っているから私も大いに気 が強いので あるち泣とぶり やがるヨーロッパなみに血闘を申し込む なら1人ずつ相手になって やる固まらなきゃ何もできやしねえだろう バカ めピカ一はテーブルの上のビールを2本線 を開けて1本ずつ両手に掴んでラパのみし ながら庭の方へ出ていった 一度のす必要がありますなぐるりと囲んで 鉄拳制裁はいかがです か神山東洋が言っ た彼ら夫妻は大概使用人のたまりへ遊びに そっちでは喋りまくっているそうだが我々 の一座混じるとほとんど口を出すことが なかっ た君は腕っ節が強そうだなギャングが商売 じゃない のとセシ詩人遠慮のない直感をあっさり 述べるしかし彼は常にニコニコ悪意がない から誰も腹を立てないので ある恐れいりましたなそんな風に見えます かこれで実は気も弱く腕っぷしも全然 見かけ倒しなんですよ僕みたいにご夫人の ために鉄拳を振る実力がなくちゃ恋愛の 資格もないのだろうな 時代はますます礼人のために鉄拳の用意が 必要らしい やど大木米フランスにもセの見学というの はないか いうみさんは私のために刺繍を作って くださるのよ心辞める主婦のためにという 台なんですってさいいでしょうんと私を 賛美するの よそうすれば鉄拳の必要はいらないのです ものからかわれたことがないのです からその代わり私も陽気なセを賛美連産し てあげるわ ねと千草さんが言っ た私はどうもこの見にくいお嬢さんが好き になれない心がひねくれているので ある率直正直のようで実は言っていること がみんなアコで自分のことを婦というが ないはうれがあり自ら勝負と称するだけ 卑屈にひねくれているので ある心痛めるだけ余計だよ僕のはただ主婦 のために歌えるというの さあら柄になく照れるわね2人の時は いろんなことおっしゃるくせ に主婦が不男を口説いちゃだめだ よ主婦は美男のためにひずむをこがしブ男 は美女のために門出するのが値打ちなんだ よ僕に比べりゃ白のなぞはブ男のうじゃ ないのだからなしも僕よりはうまそう だ僕には取りえがない な内は両手で頭を抱え た彼の指は細く長く節くれていた両手で頭 を抱えると両手の中にに顔全体が収まる くらい彼の顔は小さかっ たセシ詩人は立ち上がっ たなれ僕は引き上げて今夜はでも作るかな 主婦のため に待ちなさいちょっと散歩しましょうよ 部嫌じゃない でしょ決して希望はしていない ねこっちの庭はだめピカイチさんがどこか でビールをラパのみしているはずだから こっちの方からブナの森へ出ましょう よと千草さんは戸棚の引き出しから懐中 電灯を取り出して高飛車にセシ詩人を促し て食堂の出入り口から外へ消え た いやらしい玉さんが吐き捨てるように呟い たなかなか枯れんじゃないです かと神山東洋 彼でなければ不快な意味が目に見えている こんな時に言葉を差し挟むものは ないあれがカレンというのカレとはどう いう意味のことなの よチグサさんは美人なみに男を操ってみ たいのよセ詩人なら操れるというつもり でしょうあれで女王のつもりなのだから なんて真北たな らしい孔雀の羽をつけたカラスだってって まだましだわ な女という人種は意地の悪い観察にかけて は天才なので ある美しいものよりも汚らしいものの方が はるかにはっきり目につくもの らしい玉王さんは戦国から相当酒を飲んで いるそれも今日は不機嫌に押し黙って グイグイ煽っていたから相当目つきも 変わってい た今日はうんと飲んでやる わもよしなさいなたおさん後で吐いたり 苦しむ からと彩佳さんが言う胡蝶さんも口を添え て本当よたまおさんそんなに飲んじゃ毒だ わもうよしなさいね ええでもよもうちょっとだけ飲ましてだっ て私ねこう黙って飲んでいるとね幻が見え てくるのよ 大人さんが殺されている幻 がはっきりと よ1人の女の人が担当を振り下ろす時の 表情まで実にありありと見えるの よ確かに鬼の顔よ焼きもちの鬼の 顔よしましょうそんな話今日はもう休み ましょう えごめん なさいごめん なさいたおさんは彩佳さんの手を取って やがてしくしく泣き出し たこの兄嫁と玉さんは気持ちがしっくり 行くらしいがあき子さんが兄嫁の頃は ことごとに衝突その頃から権限の中であっ た泣き出した玉さんを抱くようにして彩佳 さんが連れ去る10分ほどして戻ってくる と追っかけて女中がやってきて 奥様お嬢様がゲロを吐いて苦しみなすって いますが海老塚様 に海老塚がむっと顔を上げ てバカな酔っ払いの解放に医学者が往信 するなんて女王様だったありやせん 下がれすごい見幕だっ たこさんに願い なさい はいとのは看護婦のな だ30分ほして再び女中が来てお嬢様は すやすやお休みになりましたと報告した その時10時5 分そこへピカ一が戻ってきたからそれを きっかけにさあ寝ようぜとみんな 立ち上がるなんだい俺が来たからって逃げ なくともよがろうああ行った行った俺は 静かに1人で 傾けるへ向きだ なあそれを聞き捨てて私たちは各々の部屋 へ引き上げたがすると瀬戸だか酒瓶だか 荒々しく割れる音が する扉を分けて下の気配を伺うと彩佳さん が結露を変えて逃げてき たどうしたのですか えあいつ私が後付けしていたらいきなり 立ち止まってフラフラして気を取り直して 自分の部屋へスタスタ廊下を走っていっ たその時部屋靴の鈴の根が耳につい た私は八丁花刑事の言葉を思い出してなん となく不安になった私は小博士の部屋を 叩い たどうだい目星はついたか い買いかぶっちゃいけませんよ ホームズ先生じゃあるまいし全然ゴリ夢中 です よ僕は第一ここのうちは犯罪よりも エロチシズムの刺激の方が強すぎますよ こっちの刺激と争う方が精一杯でして東京 のあの子のおかを思い出しては気絶を 食い止めているようなもので さところでもしや人の殺された現場に佳 夫人のパントッフルの鈴が1つ落ちてたん じゃないかお察しの通りベッドの下 にやれやれなんたることだ彩佳さんが第一 等の容疑者 かまさか猫だって鈴をぶら下げてネズミを 取りに行きません よところでこの図面ですが皆様方のお部屋 の配置これは誰の意ですかうみさんだけ 開花にいるの はさてね それは僕には分からないかに聞いてみよう じゃない か私たちはかの部屋へ行っ た彩佳夫人が着替えをしているというので ちょっと外で待たされ たさあどうぞ彩佳は昨夜から僕のところへ 泊まり込みさどい光一が現れおけを振って いるわけ さだって普通じゃないのですもの誰かが 何か企んでいるのがはっきりしているの です もの今日の事件もたみの一部としたら一体 お母様の命日に何が起こるのでしょう か誰かが鍵を持ってるなんてねえあなた ドアを紐で言われていえ張りがねで なきゃそれほど神経質になることはないよ 小性君も来てくれたことだから犯人の寿命 も長くはなかろう よ博士が客人の部屋の配置について誰の 意志が働いたか知りたいそうだが宇だけが 絵花にいるわけ は宇の場合は宇の意思でね階段の上下が 疲れるからというのだよそれに便所もすぐ 近いからその他の方々は別に特にどうと いうこともなく僕が当てずぽに決めたよう なものだがど光一だけ同じ2階に止めるの は嫌だと彩佳が言うから 2階にまだ空室もあるけれど下の2本前へ 部屋を当てがったというわけ さ私たちお客様のない時でしたらこの感は 使わないのよ屋の裏屋敷玉さんが寝室に 使ってらっしゃるお部屋の2階にあたる玉 さんが寝室に使ってらっしゃるお部屋の2 階にあたるサンマが私たちのお部屋なん です神山東洋という方はタと利害関係が あります かかはしばらくためらっていたが語りでし た神山は以前父の秘書だったがその後秘書 を辞めたからも出入りを続けているのだ けれども父が弱みを握られていて多分ゆら れているのじゃないかと想像できる だけ父に聞いても深い事情は聞かせてくれ ないから知らないの です昨年死んだ母が神山を毛虫のように嫌 がっていまし た嫌い方が尋常一様のものじゃないので もしや母についての秘密じゃないかと思っ たこともあったけれどみんな僕の想像で ともかく僕の親父は相当に策略的な政治 生活をやっていたからゆすりの種は相当 あるのが当然で子供の僕がそれを立って 聞き出すわけにもいかないから聞いてみた こともなかったの です時々やってくるのですか 年に45回は来る でしょう昔父の目かけだった今のさく昔は 新橋の芸者でしたかねいつもそれを連れて 堂々とやってきて我が家同然数日止まって いくのです よそういえば昨年母が亡くなる23日前に もやってきて偶然臨時にぶつかったのです が死ぬ前の日病性の母と人を遠ざけてで 言い争っていたということも聞いており ますだからゆすりの種は父だけじゃなしに 母を通して父そんな風なこともあるのじゃ ないかと想像したこともあるのですがこれ も単に僕だけの想像なん です私は彩佳夫人のパジャマがあんまり 華麗なのであけに取られてい たそれは最も手のんだ衣装の1つで品服に 西洋風な加工を施したようなそして色彩の 組み合わせに微妙な技工が施されてい た奥さんは寝巻きの方が晴れ着じゃあり ません かと私が1つ冷やかしてみるとかが苦笑し てこんな晴れ着みたいな根巻き分かり 145着はあるだろう来年の今頃は何十着 になること やら同じ根巻きを2晩続けてきるのが残念 だというので今もブツブツ高一を呪い ながら着替えていたところなんだ よこの部屋には自分の着物が置いていない から朝昼番決まって着物を着替える髪の形 を変える首飾りを付け替える根気の良いの に驚くばかりだ よ彩佳さんはかかに笑っているばかりで 返事をしなかっ たどのような表現によって話題にされても 要するにごく愛せられていることを確信し ているの だろうこの人の愛情はどんなに可愛い だろう かそれは全く夜のために生まれた女のよう なもの だ彩佳さんは殺人犯人を恐れているが しかし実際はそんなことは差したることで はないはずなの だただ可愛く 美しく先天的にそれだけしか思い巡らす 本能がないようなもの だ私が質へ戻ると子がいくらかむっとした 顔つき で今旦那様の小遣いの方が来て明日朝食の 後で2人に来てくださいっ て出向いて行きたいけれどお体が行けない んですっ て楽しい知らせじゃ ない歌タモは風を引いたところへビールを 飲みすぎてお腹を壊してちょうど私たちが 来た日の朝から寝ていたのである 毎日ただ村のごうを迎えて子を打ったり 退屈しているから感の晩餐には時々出席し ていたそうであるが私たちはまだその顔を 見ないので多門の病気が一層我々の滞在中 続いてくれればいいがなどとないない願っ ていたほどであっ た下さんて小遣いの方はとても可愛い子よ 18ですっ てさんとうまくいってる もう良してくれ人間どもの繋がりの話は もうたくさん だ私もいさ酒がすぎて疲れてい た そしてすぐ眠ってしまっ た6第2の 犯罪欲張警官の一向は6時前にやってきて すでに何かやってい た昨夜から進行へかけて直に解剖が行われ たよしであるがその結果新たな事実が現れ たらしく監視の一向が未名の街道を全速で はせて到着していたので ある大人の遺骨を受け取りに大人の弟子と 関係の出版会社の社長だか社員だかが例の 容疑者で昼頃来るはずになっていた 大人の死体は解剖後の始末をつけてこれも 昼後の到着のはずで早速ダビにふして今夜 は遺骨でおつをする手はずになって いる我々が朝食を終えると待っていた警官 の一光が食堂へ現れた神警部が陰金に一礼 し て早朝からお耳を汚すのは不本義ですが 解剖の結果意外な事実が現れましたので ザックバランに申し上げて同時に皆様から もご助言を仰ぎたく存じ ます望月さんは担当によって刺される前に かなり多量の催眠薬を服用されておりまし たしかし我々の調べましたところでは望月 さんの所持品からは催眠薬は現れませず また調査の結果多分他の何人かによって 飲ましられたということがぼ明らかとなっ ております あああき子さんが小さな叫びをあげ た睡眠役はもし発見の証拠の中 にそうです何かお心当たりがあります か昨日の朝変に眠くて頭が重くて変にを 思っていましたからそれ にそれになんで あき子さんはちらと一座を見回した がたさんも眠いとか頭が重いとか おっしゃっていらしたようですから多分た さんもおのみでしょうとふっ今ただそんな 風に頭がひらめいただけです けど玉さんだけがまだ食堂に現れてい なかっ た深酒のせいで覇苦しんで朝の食事は見る のもにそういなかっ た現の証拠は誰が煎じる習慣でした か大人さんはたおさんがご招待したお客様 ですからたまおさんがご自分でおやりに なるか女中に命じて作らせるかいずれか でしたけれど先月の終わりから壺平さんが お客様々専門のコクに来てバンジーやって くださるようになったからは時々壺兵の 女将さんも信じていたようでした 朝と晩2度煎じる習慣でした の大人さんはお茶もお水も一切召し上がら ずアルコール以外の液体は限度証拠 一点張りなんです から彩佳さんがこう説明するのを引き取っ てちぐささん が夕べじゃなかった昨日の夕方か現証拠を じたのはたさんおじきじき ね私もお料理のをしていたのよコロが足り なくなったから壺兵の将さんが玉さんの ところへ現の証拠を下ろしていいか聞きに 行ったの ですあの方はご自分でやってることに人が 勝手に手を入れるとご機嫌スコブルなめだ からいちいちお許しを受けに出かけなけれ ばならないの よするとたおさんが女将さんと一緒に来て 火から下ろして冷やした後でフラスコへ 移したのです あの時彩佳様もいらしたわね ええ肉をこらえて私のただ1つのご自慢だ から次はうの輝きねいやどうも我々下々に はお話を受けたっているだけでよだれの 始末に苦しみ ますと神警部は柄にもなくわざと下品な 笑い方をして見せた 様お2人奥様壺平さんご夫婦5人の他に薬 を煎じている間に調理場へどなたか見えた 方がありました かもういちいち記憶していないわだって 調理場はあれで殿方がとても往復なせるの ようみさんは毎日ね雪で足を冷やすのよ変 な 人冷たい水は単子さん場は冷たい清水が 流れている からひさんと人さんはビールを取りに いらっしゃるしか兄様まで何かかかで時々 いらっしゃるわ ねあの日はあの日は内木さんもいらしたわ ええずっといたのよあの日はおそばを打っ た でしょうそれを見学してそれからなやかや お手伝いして私はたおさんが現の証拠を コロから下ろしていらした時も言わせまし た わで現の証はずっと調理場にあったのです ね玉さんが清水の落口で冷やしてフラスコ へ移して人さんのお部屋へ持ってらしたの よたまおさん以外はどなたも触る余地が なかったはずです わ千草さんは断言して賛成を求めるように 見回し たすると現の証拠を袋から夜間へ入れて コロにかけたのも煎じた後でコロから 下ろしてフラスコへ詰め替えて持ち去った のも玉さんですねええその 通りと千草さんは取りしていっ た一体大人は睡眠薬で死んだのです かと私が聞い たいいえ睡眠薬でらせて担当でさしたの でしょう現の証拠に投入された睡眠薬を まとめて人のみにすると治療ぐらいになる でしょうがうさんも飲まれたしお嬢さんも 飲まれたらしいようですから持月さんの 飲んだのは全体の33ぐらいそれによって 死ぬという分量ではありませんでし た睡眠薬で殺せばいいのにどうして二重の 手間をかけたんでしょうねこ に何か意味があるのじゃありません かそれに警部さんは催眠薬で眠らせて指し たとおっしゃるけれども眠らせたのと指し たのが別人の仕業でないとは言えない でしょうそれとも同一人の仕業だという 証拠が上がっているんです かごもっともな疑問です同一人の仕業か どうかなぜ睡眠薬で殺さなかったか我々に とっても不明であります ただ分かっているのは望月さんは何人とか によって睡眠薬を投入された元能証拠を 飲まされたことと睡眠中に差しこされたと いうこととこの2つの事実 だけそしてもしもこの2つが同一人の仕業 なら犯人は睡眠薬の治療を知らなかったか 知っていたとすれば睡眠薬は殺す目的で なしに眠らせる目的にちいたらしいという こと殺す目的にしては分量がやや少な すぎるという事実 ですちょっとしたいたずらじゃないのか なあの人ならそれぐらいのいたずらはやり かねない よ浮気風人にコンコンと眠らせてやろう てんでちょいとフラスコへいたずら する面白そうなことだから なとセシ詩人がニヤニヤしながら 言う警部はちょっと考えていた がそうですねあるいはそんな軽い意味の いたずらかもしれませ んしかし睡眠薬はフラスコへ投入された ものではなく戦時つある夜間の中に投入せ られたものでそれは今朝吐きために残って いた戦時カスの葉っぱを調べた結果明らか となりまし たあの日の調理場はおばを打つやら賑やか でした からと明子さんが言いかけると千草さんが 引き取っ てそうよ大変な騒ぎだったわだけど現の 証拠の電気コロは扉に近い隅のところです し私たちが騒いでいたのは窓のところで 離れているのですものあっちの隅にはよう がないから誰も近づきはしません わあっちの方には彩様が肉をこいらした だけ現の証拠の香りがお嫌いだから ブツブツこぼしていらしたわね うん私公約だの戦人薬だの古風なものは 大嫌い 嫌な匂い真光臭いんです ものあの日じゃないの窓の外でピカイチ さんが大蛇を捕まえたの は 大蛇一件くらいの青大将に過ぎないのよ 庭鶏飲んでる腹を咲いて晩飯のおかずを 出してやるから包丁を持ってこいなんて うつぎさんたら物好きねあんなもの見に いらっしゃるのだ もの私は蛇嫌見るのも嫌だというの に私はヘビー怖いけれど怖いもの見たさ 引きつけられるの よ壺さんたちも飛び出していったわは親父 さんなんか窓から飛び降り てたまおさんは蛇を平気で掴んで ぶら下げる ねとセム詩人が言うと千草さんはご機嫌 斜めの顔 で そうそんなんが好きなのトランク1つ ぶら下げる力もないセムさんが私たち蛇 なんか見るのも嫌よねえ彩佳 様私たち2人はピカさんなんか振り向きも しなかったわ須のの命みたいなそんな いやらしい須のの命かなるほどね奥さんは 天照らす大御神かもしれないけど千草さん は何 だろうおのひょっこ よ千草さんは真剣に怒ってしまったから白 の2世も降参し て大一さんあんたはやたらに出しゃばって 喋りたがるくせにこんな時には喋ってくれ ないのか な須のの命となると下界の奴らと話がし たくなくなるわけか な俺は美人以外に話しかけないという開立 を守る行い正しい紳士だから さその時誰かが扉を開け た扉の開くにつれて1人の若い女が ヒョロヒョロと現れ たやえという女中で ある扉に捕まって人々の方を見たと思うと へたへたと座ってしまっ た何のために座ったのかと思ったが実は腰 が抜けたのだということが後になって 分かったのである 茶お嬢様 がお嬢様 が声が続かなかった え 何 何殺され て神警部は私たちに向かっ て皆さんしばらくここからお動きのない よう に駐在の裕一郎巡査を見張りに残して現場 へ 去る小博士とかだけが一緒に行くことを 許され た45分ほど経て博士が1人戻ってきた からたさんが死んだ え ええ殺されてい ます毒殺 か さあまた睡眠薬でも飲まされているのだか それは分かりませんけれど電気コドで首を 締めこされており ます女の23名が同時にためをもらし た胡蝶さん彩佳さんあこさんも 多分自殺じゃないのこさん覚悟の 自殺とちぐささんが聞い たそうですね一見考察と見えるような自殺 があるものです ねしかし玉さんの場合はどうやら多は疑い の余地がないよう ですよっって熟睡しているところをなん なく殺されたもののよう です何か犯人の手がかりはと私は早速聞い てみた が何1つ手がかりはありませんよただ霊に よって物取りの仕業じゃありませ ん一座は深い沈黙に落ち たどうも変ん ねじゃあ一体 千草さんがいかしそうに口走っ て何か考え込んでしまっ た7探偵小説教の老成 客玉さんの首にアイロン用のコードが二重 に巻きつけられていたがこれはその寝室の 棚に置かれていたものであっ た教皇は大体12時から2時までぐらいの 時間だろうということだが泥水して熟睡中 をやられたから全然抵抗の後は ない暴行の形跡もなく胸から下にも布団が きちんとかかっていて乱れがなく蚊屋も 釣られたままでありただ女中の証言による と枕本のアド型の手塗りのスタンドをつけ たまま眠ったはずだがその伝統が消えてい たということだっ た部屋をかき回したとは見られなかっ たただたった1つだけ変わったことがあっ た玉さんは泥水のあり吐いて苦しんだから 枕本には新聞紙を敷いた洗面機と盆の上に 夜間とコップの水にモヒの粉末が投げ込ま れてい た盆の上に少しばかり白い粉末がこぼれて い たコップを取り上げて透かしてみるとかか に白いが見 られるこれを発見したのは八丁花で昨夜 解放したという女中富岡やえという26の まるポチのちょっと可愛い田舎娘であるが これを呼ん でこのコップは塩水かね はあいいえ真水でござい ます女中の話によると玉さんが吐き気を 模したからまず器を持って駆けつけてそれ から夜間に塩水を作って持っていくと一度 うがいの後で塩水は嫌だから真水に 取り替えてきてと言っ たそこで夜間とコップを持ち帰って真水を 満たしてきたがその時バケツと雑巾を持っ てきて汚れたところを綺麗に拭い た女中が広間へ海老塚石を呼びに来て 怒鳴りつけられて引き下がったのはこの時 で仕方がないからもろい看護師に来て もらっ た玉さんはいくらか吐き気が収まってきた が洗面機がおでいっぱいだから取り替えて 差し上げ なさいもろい看護婦がこう言ったので女中 は新しい洗面機に新聞紙を敷いて持ってき て物の溢れた洗面機は持ち去って洗い流し たそれから後はもうほとんど吐かなかった からこの洗面機には少量の液が吐きのされ ているだけであっ たお嬢さんは真水でうがいしたか ね そう女中は呆然としてうろうろしまた泣き だしそうになるばかりで あるこの白い粉はあんたが盆を運んできた 時からあったか ね女中はますます泣き出しそうになった血 の巡りの悪い娘なの だろうおろおろして顔をわかめてあったか なかったかわからないと いう考え出し追走を新たにする頭の働きも ないような頼りない様子であっ たしかしふと顔を上げ て私の立ち去る時コップの水は8分目通り ありました がと いう事実コップの水は8分目通りあっ たこのコップの水と夜をへ送ってモヒの 検出が報告されたのは翌日のことであっ たもろい看護婦の話ではただ背中をさすっ たぐらいなもので酒の上の吐き気に過ぎ ないから一切薬は与えておらず特別の 手当ては何1つ施さなかったと いうそして解剖の結果は胃の中にもモヒは なかったし吐たおにもひはなかっ た人が殺されたには私のごときはただいい 君だと思ったばかり死体を眺めても両院が 下がるばかりでこいつ本当に死んでるのか な騙されてるんじゃなかろうかなそんな 心配まで浮かんでくるような有様だっ た私ばかりの話じゃ なかろう大人の消えてなくなることはまず もって大方の希望であったにそうい ない私と大人は作風が全然違っているから 私を悪く表するものは大人を褒める大人に 天の辛い評価は私に高く採点するという 具合にこういう立場の作家同士は途的な 対立意識はあっても本当の嫉妬というもの は少ないので ある作風が食い違っているから本当の敗北 意識というものがないの だそこへ行くと彦と人はどちらも腕力型の 歳出で人間を扱う角度や発想の角度が同形 であるからこういう場合には抜き差しなら ぬ勝敗感があるもので大人の野生本法な 歳出に圧倒されがちな単語には痛烈な嫉妬 があったにそうい ない作家の嫉妬は他人の明星流行などには 案外タパでもっと本質的な抜き差しならぬ に絡みついた問題だから苦しいもの だたさんはそういうことを知ってい た単子も大人も玉さんが好きだったがた さんは悪どい人だから才能で負けている 単子をさらに自分の問題でも苦しめて 遊ぶそんな風な嫌な感じのところがあっ た単語は表面冷静な気取りやおすまし屋 さんだから内々の苦しみをちくちくいじめ て やる玉さんにはそういう人の悪い 思い上がったところがあっ た私は大人の消滅には祝杯をあげたい 気持ちで犯罪とか犯人などということには 全く無頓着念頭にもなかったが玉王さんが 殺されてみると私は初めて犯罪ということ をひしと考えさせられ霊のかの手紙のこと 招かれざる客たちのこと それからそれへと考えざるを得なかっ たこの山中では夜は特別冷えるからマでも 雨戸を閉ざすのは当然で玉さんの寝室の 廊下の雨戸も閉ざされており貫抜もかかっ ていたがしかし例の田舎の習慣で戸口の 閉まりはいつもゾロ平なので ある玉さんの寝室は私たちの住む感からも からも人に知忍び込むことは容易でその上 ここの庭には滝が2つ ある1つは一乗くらいだけれども1つは3 段に分かれて合わせて60尺ぐらいの被爆 をなしており深夜になると滝の音で ピストルの音でも分からぬぐらい飯して屋 のこの辺は滝のすぐ下だから音が立ち込め て いる私たちの感では南面の部屋はさほどで はないが北面の私の部屋などはいさか音に 悩むことも多いので ある我々文子は一種の精神分析派で 思い詰めるばどいつこいつの区別なく犯罪 者に見えないものはなくなるという立ちだ からあれからこれへと犯罪について考えて も拉致の悪者では ない朝食が住んだら遊びに来てくれという 歌多郎からの話もこの騒ぎではうしたも かちょうど幸い行かずに済ませるつもりに しているとまた下さんがやってきてご都合 よろしかったらお越しくださいませと いうしさん飛んだことになりましたね ええ下さんはあけない輪郭の美しく整った 顔をあげて私を見 たその目は履行で よく住んで静かで正しく美しいものだけを いつも見つめ考えているような目であっ たこの可愛いあどけない娘が本当に多門 老人のめかけなのだろうか私は信じられ なかっ たこの体はまだ娘の体で ある歌さんはびっくり取り乱していられや しません かいえもう落ち着いていつもと同じ御様子 でいらっしゃい ます私たちが出向いてみると全く多門老人 は普段と変わらぬ様子に見え た私たちに対する怒りというものはもはや 全く見られなかっ た思えば私の取り越し苦労でこの人は霊の 大人物という日本の英雄豪傑のあの方なの だろう 一向にくっくのない様子でむしろ明るく 生き生き とさあさああなた方よく来てくだすっ た私の方から皆さんの方へ遊びに出たいと 考えながらこのところ風を引いて胃を痛め ていたもので根拠するとちょっとのことで 病気する病気が 答える仕事のない味はもろいもの です一はあなた方に腹を立てたこともあっ たが今はもうそうじゃないむしろ懐かしん でい ますみんな私のわがままのせい じゃ多門老人はジフのように機嫌が良かっ た私はしかしたった2人の子供のうちの 1人娘が殺されたというのにこの老人の 平然として全く何もなかったとしか思われ ない態度にはいさかならず感動し た全く性と思われる不がない一体がこの 老人は家事には超然たる人物であることは 知っていたがそんな人間に限ってまさかの 人事にかって激動して取り乱しがちになる ことはままあることであり私と教子の場合 などでも大変な立腹だったということを 聞いて いる立の悲しみとは別の感情なのかもしれ ないがこうなると私もいさ反発せずにはい られない気持ちも首をもたげざるを得ない から本日は大変なことでした思いがけない ことでさぞお気落ちのことと存じます いやいや 老人は遮っ たさえぎったという以外には別に他の 顔つきではなかったいくらか気難しい様子 に見えただけだっ たこれも私のせいかもしれ ぬ私がこんなものだから子供も毛色の 変わったやつが生まれてくるのだね是非も ないこと じゃ私はしかし1つ腑に落ちないことが ある が多門老人は口を継ぐんだがすぐ明るい顔 になっ ていや私の取り越し苦労かもしれ ぬ体が暇だからつまらぬことを色々と 考えるの じゃろうそれをおっしゃっていただけませ んか案外そんな漠然たる感が物の急所を いいていることが多いもの ですまあさあこの話はよし ましょうせっかくお招きしておいて表しも できないがこれを記念に納めていただき たいこれは外遊の右北京で手に入れた8大 山人の商品じゃが表名たる 静寂これを孤独というのかね身にしみる魂 の深いものが あるそれから京子にはこれも私が外の右 パリで求めたネクタイピンですがポットで の田舎侍ポットでの田舎侍も何がな1つ人 の気のつかぬところへ意外な装飾を ぶら下げて見せてくれようと思って ねこれはダイヤだが18からっとあるの です私がこれを喉首にくっつけて歩いても 誰もダイヤと思わぬガラス玉だと思って おるそれでまあそう思わせて密に院を下げ て無事に日本までぶら下げてき た私の死んだ女房なども冗談だと思って 取り合わぬ始末で私もどこかへ投げ込んで 忘れていたのが最近現れてきったの です多門老人はひひ線骨を帯びてあっさり くれるけれども18カットのダイヤといえ ば大変な金目のもの だろう伊坂薄味悪い始末 最も八大山人の商品とても天下の丸物に そうい ない可いがった昔の女を今は娘のように 慈しむ温かさが私たちにも自然の安と温情 を 湧き立つ私は気がついたこの部屋の書棚に は色々の書物が ある主として歴史の書物だがいくらかある 小説の半分ぐらいが探偵小説の翻訳本 だ類子もあるバンダイも ある小説本もモンテクリストとかレ ミゼラブルとか風と共に去りぬというよう な翻訳本が主であっ た探偵小説がお好きなようです がと私が尋ねると他門は頷い て若い頃から類子などを愛読しておったが 外遊のおりずれれに探偵小説の趣味を覚え たの です岡倉天心が探偵小説の愛読者で家族の ものが病体を重んぱかって思うように晩酌 をくれないものだからノイルなどの探偵 小説を一隻半分だけ語って聞か せる境に入ったところで口をつんでそれ からどうなったのですかと聞くといやいや 本日はこれまでとじらしておいてどうじゃ 後が聞きたければもう1本持ってき なさいドイルなどは晩酌用の作戦に ちょうど手頃の一石になる ね近頃の推理小説は小味で微妙で入り組ん でいるから読むには確かに面白いが晩酌の 作戦には適しない 私も探偵小説はいって好きな方ですが どんなものがお好きです か私はイギリスの女流あクリスチーという のが好き ですバンダイとかクイーンとか無益の玄学 でいやらしく焦らしたりもったいぶったり するから気持ちよく読み続けられ ない私が昔マゼへ足を運んだのはもっぱら この探偵小説のためで 老人は初夏の隅から積み重ねた要所を 取り出して見せ たみんな探偵小説だっ たクフもあれば赤毛のレドメンジゴマ フリーマン何でも あるそれでしたらこの度の事件についても ご感想があること でしょう老人はしばらく口をつんでいた がきさんの犯人と玉の犯人は同じ人間か ね同じ人間 ならまた口を継ぐんだ がしかしなんだね社さんあなたはどう思う ね人間はどいつもこいつも人殺しぐらいは できるの だどの人間もあらゆる犯罪の可能性を持っ ている どいつもこいつもやりかね ないタモンの目が急にギラギラ光った そしてその光を隠そうともせず私たちを じっと見つめ たそしてまた何か言いたそうに口が震えた がやがて思い返し て喋るのをやめてしまった 8ありいはただ 1人タモの部屋をじして洋館へ戻るために 玉さんの殺された部屋の廊下を通りかかる とその部屋から想のすらりとした30女が 呼び止め てもしもしちょっとあなた方お名前 は なぜあなたは何者ですか 私は警察のものです皆さんのお顔を覚えて おきたいからお名前を聞いているんです ああなるほど 私は思わず吹き出し たするとあなたはあピン 先生もうしけ なあピン女子竜尾を逆立て てなんですかあなた方は分かっていますよ ここへ来ている男も女もろな人間はいない のだから文子だの女優だの惚れた晴れた いやらしい年年中神の手数を煩わして挙げ の果てにこの様じゃないのいやあごもっと もおせの通り ですそこでどうですか早速頭へピンスとき ましたか犯人はどこのどいつですかお たまりいや失礼 失礼生きすぎようとするとぐいっと手首を 握って引き戻し て名乗りませんか失礼 なまあさあなたのアピで私たちの名前 ぐらいは当ててください名乗りを脅迫する のは憲法違反だ から私はピン女子を怒らせておいて 逃げ出し た私が小博士やか夫妻とかの部屋に 落ち着いてゆっくり話し合うことのできた のは午後3時大人の遺骨を迎えに彼の前週 の出版元の社長と出版部長若い社員と大人 の弟子が1人昼前に到着したが解剖した 大人の死体がまだ本書から戻ら ない戻り次第ダビにふすはずでこの村には 御坊はいるが仮装場はなく野天へ巻を積ん で 焼く丸一晩かかるので ある私ども実務に疎いものの集まりへ実務 化が加わるとにわかに火のついたごとく 別天地の段取りが起こって大人の意外を 迎える部屋の支度坊主の交渉仮装場との 連絡どこからどうして来たのだかちゃんと 黒幕などが運ばれてくる またたくうちに座敷に早場らしいものが 出来上がってしまっ た私はしかし個博士に秘密に話したいこと があったようやくその機会が来たの で実は君たちだけに報告しておきたいこと があるんだが私は昨夜自分の部屋へ戻った が寝つかれないので散歩に出 た時間ははっきりしないが11時ぐらい じゃなかったかな 京子はもう休んでいたから知らなかったと 思うが うお帰りになったのは薄ぼんやり覚えて いる わ食堂の戸口から出てブの森へ行くつもり だったが裏戸までで行くと気が変わって庭 へ回った池を回って中腹の夢殿のところへ 行ったの だそこからあの方へ行くつもりで滝つぼの 上へ出ると下に釣りが見え 明りが漏れて いるその時一瞬ちらりと闇へ消える女の姿 が目に移っ た出ていくところは見ていなかったわけだ が確かに釣殿から出て五ソプの沼間の外を 回って勝手口の方へ帰る途中の姿だろうと 思われるの です女だとは分かったけれども誰だか全く 検討がつか ないところがしばらく立つと今度は釣殿 から男が出てき たまず池の水で手を 笑うこれは海老塚石です半袖でシャツに ズボを履いてい た判決で手を吹いて庭の山の方へ登りかけ たが振り向いて女の消えた方へ去っていっ た私の見たのはそれだけだが私はそれから 10分ぐらいそこに戻ってきた から夢殿というのは多門老人が徳大使の 夢殿にもして小型に縮めて作らせたもの 釣殿というのも大和の何かの動を持して 作らせた茶室で中には畳の敷かれた部屋と 品風のテーブルと椅子を置いた部屋と2つ あっ た そうそれじゃあ海老塚さんは昨日も釣りへ 止まったのだね頃はほとんど毎晩止まっ てるんじゃないかな僕は気にかけたことが ないから村の誰かがうちのどこかへ泊まっ ていても分からない別にいちいち主人の 許可を受けるというような堅苦しいことは このうちの習慣にはないことで主人側と 召使い側と2つの生活が独立しているん だ海老塚さんはこのうちでは家族の一員の ようなものだから野分遊びに来た時はまず 大外は止まって く委員まで山道で一理もある上足が不自由 だから無理も ないうちも戦争前までは自動車があったが 戦争以来は自動車どころか村全体に1台の 人力者すらも ない海老塚さんは変わり者だからや絵は寝 たがらずにいつ頃からか釣りの専門に 寝泊まりするようになったの だ時々休刊が来てから電話の来ることが ある夕べも何かそんなことがあったの だろうじゃあやえに聞いてみましょう か彩佳さんは室内電話で女中のやを呼んだ がやは陽田市に村へ出ておりやってきたの は諸井看護婦であっ た諸井さんは委員へいらっしゃらなかった の ええ今日は警察の御で昼近くまでかかっ上 にさんが今朝から腹痛で駐車しているん ですおゆ様が いいえなおじ さん夕べ委員に休刊がありませんでした かござい ますもろい看護婦は冷たくちろりとかを 見つめて返事をし たじゃああなたは委員のよか何かで さんに会うようなことはなかったわけです ねあるはずがないと思います が海老塚さんは夕べも釣殿へ泊まったの です かけさんはこのうちにいらっしゃいました わね夕のことは存じません がもろい女子は冷たく横を向いてうぶい たもうご用はよろしいございますかええご そろでした変な質問で気を悪くしないで くださいもしや何か海老塚先生とご夫人と の問題でしたら多分千草様にお聞きになる と分かる でしょう先生が釣殿へお泊まりの夜は夜中 に1度は大概釣殿へお出かけになります から皆様はご存知ないかもしれませんが下 の者たちの間では知らないものがございま ん千草様はこそこそしんで行かれるわけで はございませんで帰って何かご名誉のご 様子です からじろりと私たちに目をくれてきちんと 45度くらい頭を下げて振り向いて 立ち去っ た取りしましたひねくれ女前体温まで 冷たいのじゃないか いやあ案外持ち肌か何かでぼちゃぼちゃ あったかいかもしれません やと小博が処女趣味に似はしからぬ事を 労してご婦人殿をびっくりさせ たどうだい博士誰か容疑者らしいのがある か ねいいえ一向 に警察の人たちは何か証拠を握ったのじゃ ありません かかがこう聞いたが博士は両手を後ろ頭へ 組んで髪の毛をゴゴこすりながら間悪そう な笑い方を ていいえ一向に警察の人たちは全くどうも 根気よく調べていますがますます雲を掴む 具合だろうと思い ます第一エコだか常智だか天で同気も 分かりません やしかし君風来棒の物取りの偶然の教皇と 違ってともかく考察 だろうしかも君非常に微妙な事実の 食い違いが現れているじゃないか ああそれは何です か大博士が拙者に聞くとは意地が悪い なまあ笑わずに素人探偵の意見を聞いて もらおう かたおさんが大人の寝室を立ち去ったのが 11時15分この時僕はまだ起きていて玉 さんがシャンソンを歌いながら階段を 駆け降りていくのを聞いていた それをきっかけに時計を見て伝統を消した の だこの時玉さんは大人の部屋に鍵をかけず に去ったというところがそれから2時間 ほど後内木明子女子が大人の部屋へ行った 時には鍵がかかってい た鍵を取ってきて室内へ入ると大人はまだ 生きてい たいびきを書いて寝てい たっても目を覚まさなかったというのだ な明子さんはわざとライターを置きのして 鍵をかけて立ち去っ た翌朝玉さんが大人の死体を発見した時に は鍵が翌朝翌朝玉さんが大人の死体を発見 した時には鍵がかかっていなかっ たこれは一体どういうことを意味してい ますかえ博士ええ 僕もたおさんがシャンソンを歌いながら 立ち去る時はまだ起きて聞いていました よそれで先生はどういうことを意味して いると思います か僕に分かるものかただ分かるのは犯人は 鍵を持っていることまた大人の生きている うちに1度鍵を閉め た殺してから鍵をかけずに立ち去った ね君内木さんが鍵を開けて室内へ入ってき た時犯人は室内にいたんじゃないかね ええ多分いました ね博士はあっさり答え たかと彩佳さん京子は一時に顔色を変え た私も思わず緊張してえ本当かい僕のは 深い根拠があるわけじゃないんだが犯人は どこにいたんだ ええそれはまあうさんの言葉に偽りが なければ多分そこにいるより他に仕方が なかろうと思いますが大人さんの寝台の下 にそこ以外には隠れ場所がありません や神国警部原八丁読過ぎ刑事皆さんその 見込みですいくらか見込みというやが立っ ているのはまだそれぐらいのもの でしょうご婦人連は緊張のおため息を 漏らし たなぜそこにいた の彩佳さんが叫ん だ さあそのなぜに説明を与えてしまうと犯人 に馬鹿にされるかもしれませんまだまだ何 も仮定してはいけないのです案外犯人は その時室内にいなかったかもしれませんや いなかったという家庭が成立する根拠も ありますかと かずありますとも実に彼犯人士は テクニシャンで さ兼ねて諸々のテクニックをご用意の様子 もあり ます最もそう考えてもいけないのかもしれ ませ んつまり彼氏案外無容易なのかもしれませ ん や万事始めのうちはらず触らず抜き差し ならぬやだけ信じる以外に手がないですよ もっか抜き差しならぬことといえば大人 さんと玉さんが殺されたということだけで さするとかがふと思い詰めたような顔を あげ て僕も昨日の大人の殺された夜は明け方の 3時頃まで起きて仕事をしていたの だ彩佳が僕の部屋へ逃げ込んできて僕の 寝台へ寝てしまってから僕はふと起きて 仕事を始めたの だ去年からフランス象徴師について エッセーを書いているがなかなかはらない のだ ねすると多分1時頃だと思うけれども隣室 へ鍵を差し込む音が聞こえ た寝詰まった洋と言ってもこの滝の音だ から相当な音でなければ聞こえし ない人の足音は聞こえなかったから出る音 だか入る音だか分かりゃしなかった が博士は頷い てなるほど ね犯人しなら手荒な鍵音はさせんでしょう 内木さんでしょうかねじゃあ奥様はずっと ここに寝ていらしたんです ね思いがけない質問にかはびっくりして おえ昨日も夕べ もそして歌先生は明けがの3時まで仕事を していらしたのです ねそうですしかし昨日のことですよ夕べは もっと早く寝まし た明け方の3時まで奥様はずっと休んで いらしたのでしょう ね全然眠り同士 ですやれやれ するとここにようやく1人ありの成り立つ お方が現れたのですその他の方にはどなた にも犯人でない証拠は ない玉さんに至ってはまるでもう殺される にはあえ向きの特別席に寝ていたような ものですもの場所といい条件といい殺して くれというようなもので さ歌川先生のお母様のご命日はいつでした か この最後の一言にかは顔色を変えて東 しきってしわしわ言葉を失っていた が来月の9 日やっぱり何かその日ありますか いえでも分かりはしませんあの脅迫場と 今度の殺人事件と連絡があるのかどうか 全く検討はつきません やさん殺しと玉さん殺しが同じ犯人だか それも分かりゃしません ものしかし脅迫上については用人の必要は あるかもしれませ んその時大人の死体が到着したという 知らせが来 た9仮想の 帰り道座敷へ設けた場で度胸と症候が 終わると容易の第八車に棺を積んで直に 仮装へ出発し た来客の男子は揃って仮装場まで行くこと になりか木米ひ孤丹波由彦博士もピカ一も 上山東洋に至るまで棺に続いてぞろぞろと 出て くるセ詩人が森の羊刃の杖みたいなものに すって玄関から出てくると外に勢揃いの 見送りの上司軍の中から彩佳さん がうみさんは無理じゃありませんこと半道 ぐらいあるそうよ失礼させていただき なさいなえ 本当私たち女だけ残されるとなんだか 寂しいわ ねと明子 さんあらモテるわね梶本さん と千草さんが大きな声で冷所を浴びせ て言っといでまさか頭にのって霊人方の おもちゃになりたがるほど鈍感じゃないわ ね全くどうも照り返しのない人 だ不美人というものは自然にひねくれて 下品になるものかどうもしかし論外極まる 下品な言葉 でしかしまた背のやは変わりも だ彼はむしろ遺を放って無無学下品粗雑な 千草さんにそれだから俺は好きなんだと いうようなうう奇妙なところが あり彼は機嫌よくヘラヘラ笑ってああ行っ てくる よ僕がイドを渡してやらなきゃ大人のやも めでたくお骨になれないだろうから な誰よりも1人遅れてコツコツ歩き 出すそれと並んで彩佳さんが門の外まで 見送ってき た仮装場はブの森を通り越して山の奥底人 の通らぬ裏山の密林の中にあっ た100m四方ほどの平らな草原を囲んで 釣り場型に山がかさり森に山場が泣いて いるすでに仮のが積み上げられ傍に本坊の 夜番小屋があっ たここでまた改めて度胸をやり火にかける 暴vol無人狼藉者の大きな死体がこれで いよいよ煙となって消え失せると思えば私 の考もさすがに 深い明朝お骨を上げにくることにして 私たちが引き上げる頃はいくらかたがれて 薄くモヤが浮き出してい たいつのか谷からやが上がり山々が暗く紫 にたがれてひぐらしが泣き ですこれが私の記憶に染みのっている夏の 山の日暮れの段取りであるがまだひぐらし は泣く時期になら ないさすがにうは疲れきって日頃に増して 顔色がしらしらと苦しげだからピカイチ がおいセ 先生俺がしてやるから大俺が押してやる から大八車に 乗れよ棺桶の帰り車だが演技を担ぐことも なかろう老少浮上水星 無視全く気候なぞがこの五郎霊まで 生き延びるとは増加の妙というやつ ださあ乗ったり乗ったり 妖怪変は長生のもの さ遠慮なく乗っけてもらう かうみが第八車にのこのこ乗っかると百姓 が車を引いて動き 出すピカ一が後を押して車は異性よく谷の 道を登っていっ た続いて僧侶の一段とかと上山東洋が一塊 に先に立ち単子弓彦孤木米それに小博士と 私が一塊にブラブラ歩いてい た突然弓彦が霊の皮肉な顔で私たちを 見回し て玉さんのことは知らないがこの4人の誰 かが大人を殺したんじゃないのかね小瀬君 を覗いて ね冷静な木米はふんとも言わず知らぬ顔の 木米で歩いているが 馬正直の瞳コがやや荒い息遣い でなぜこの4人の誰かなんだ えこの4人の中なら差し詰め君だろうなぜ そんなことを言い出すん だ大体君は何かにつけて腹で十分試案を 重ねて駆け引きのあることしか言えない男 なんだ な君が実は王もたさんも殺したじゃないの かだから4人の誰かがと言ってるの さ君自身のことだけはっきり言ったらどう だい我々がみんな文学者だから言葉に責任 を持とうじゃないか探偵じゃないんだから な弓彦はいくらか照れたがますます皮肉な 笑いを光らせ て例えば物強盗が人を殺したんじゃ全然面 もないから なまた例えばだねかが妹の問題とか人の ブレーとかそれやこれやで大人を殺す妹を 殺すありふれたことは真実であるにしても 面白くないじゃないか君はそう思わないか ね僕が大人を殺し玉さんを殺すこれも 極めてあり得ることらしいね 極めてあり得るから真実にしても面白くも ないじゃない か僕らは探偵じゃなくて文学者だから なあ真実を探したり犯人を突き止める必要 はなかろうと思うがどうか ね僕は犯人をこえてみたいのだ人殺し玉 さん殺し面白い素材じゃないかこいつを 使って可能性の犯人というのを捜索するの は文学者の道楽には面白いことじゃない かチプの犯人なんか追放するのが僕らの 義務みたいなもんだと思うが いかがコは怒って返事をしなかっ たなんだい文学の話かい商売の話はよそう じゃない かないたが人にしろ君にしろ もあるんだけれ極めて植物的な作風なんだ からこの殺人事件も即物的に考えたらどう だ い真実は真実犯人は犯人極めてあり得る ことだがなぜチプなん だ可能性の犯人だってちょっとした目新し さ以外にチプでないものがあるのかい えこと人間性に関して 何かチプならざる犯罪 が木米が静かな声で理論的に畳みかけよう とするとコがブリブリしながら引き取っ て単子は腹に一物があるん だろう可能性の犯人とか真実はチプだとか 実は自分自身の弁護に過ぎないのじゃない か君みたいな奴は軽蔑する な人はともかく傲慢ブレーなやつではあっ たがザックバランで愛すべきところがあっ たよあの後方な妖精に比べりゃ単語が作家 として大人に崇歩負けているのは明らかだ よ腹に一物とか考え深く陰性だとかそんな ことは作家の資格じゃないん だ大人はずけずけもを言うが考えるだけは ちゃんと別のところで考えているはずで 考えなんてことは表面に見せることじゃ なくて作家ともなればみんなそれぞれ考え ているに決まっているんだそうじゃない か大人の作品は現に単語の作品に比べりゃ 簡潔で断定的だが思考の根ははかに 深いだからスケールが大きいの さ単語はケチな思考にこだわっているから 思考も浅いし問題も狭い文学が小さくケチ なん だだから君が殺人事件の犯人について言い 出したりすりゃ君自身の弁護のために 決まってるん だはっきり言うがいい よ君が大人を殺したの か君がたまおさんを殺したの か君が殺したのではないが犯人と見られる ことが怖いの かここには小君もいるのだからな 君はそれも意識してるんじゃないの か単子は皮肉な微傷を絶やさなかっ た谷を登って村道を出る とじゃあしけ僕は少しぶらついてから帰る から単子弓彦は別れて村とアコの方へ歩き 去っ たそっちの方には光線の出るブラがあり 光線宿が一件あるが光線宿と言ってもよそ の土地から客の来るような名しれたもので はなくていわばブラの共同油に過ぎないの だっ た私はふと気がつい たあの光線宿には雑貨売薬などを売って いる戦争中もカルモチンがあっ た私はあの頃は酒さえ飲めば眠くなる立ち で眠り薬の必要はなかったが近頃は不眠で 困 い是非とも線宿で昔のカルモチンの有を 確かめて買いたいものだと予定を立ててい たものだから単語の立ち去ったきっかけで 思い出し たそこで私も別れて単語の後を追ったが 山頂も行くと山頂も行くと単子が戻ってき たどうしたい光線宿へ行くんじゃなかった の か ああ宿へ行ったしようがないさじゃ しけそこから宿まではしち終わっ たそこにはブラクが15件しかないそう だ光線宿の主人は四重前後のなかなか 抜け目のないところがある青白いインテリ 顔の男で私の要件を聞く とさね東京門は抜け目がないからわしらの ところまで目当てにして買い出しに来るが 時々あるからね東京門は抜け目がないから わしらのところまで目当てにして買い出し に来たのが時々あるからね今の相場を知ら ないから占い方がいいさね昔は知らずに 安くて温存さ今はもういくらも残ってい ない ねでも探してくれないかねあれば無論闇の 相場で譲ってもらうから 闇の相場をわしら知らんもの何でも100 倍だから100倍か ね薬は昔の九そ倍さ食べ物の方は100倍 かもしらないが薬は100倍にもなってい なかろうしかしまあ値段は後の相談にして 品物を探してくれないか ね棚の隅のボール箱の中へ昔の薬が 一まとめにしてあっ た1つ1つ調べてみたがカルモチンはもう なかっ た色々世話をかけたから何か買わないわけ にもいかず胃腸役だの虫下しだのその他 23ピ買って戻っ た目ぼしいものは1つもなかっ た何の薬だねカルモチンての は眠り薬 さそんならあんた何でもつきほど前に歌 さんのさんのさんさ歌川さんの妹のおゆ ばあ様さあの人が来てなんやかや買って いったねそん時眠り薬もあったそう な帰る途中で夜になっ たブの森は明りがないと足元の危ない ところだからいくらか残る明るさを頼りに 疑わけの山の裏手の感動を抜けると三山へ 行く山道に交流する そこから裏門へ回るつもりで坂道を降りて くると裏門の前でばったりかに出会っ た彼は前時前の感動の方からやってきたい 君か今自分遅いじゃない かかはびっくりして言葉をかけ た光線宿へカルモチンを買いに行ってきた からさ戦争中売れ残っていたのを見かけた のだがに ば様に先手をやられた後 さなるほどそうかあの光線宿の残りの品も 近頃はかなり知れてしまったから な手紙で言ってくれれば買っておいてあげ たのに僕は総林寺へ妹の葬儀のことで話し に行ったのにいくら待っても誰1人い ない本道に腰を下ろして30分もぼんやり 物思いにふけってきた始末なのさ 表もの方の坂から懐中電灯がポカポカ動い てき た海老塚石であっ た私たちを認めるとびっくり立ち止まって こんばんはと言った が大人合欠もいぺの煙となりました かと聞い た大人ついに一辺の煙と なる私のうちに解とするところだけれども も同じことをこの足の悪い医者のやが言う と私の腹の虫が穏やかでは なくなる要するに大人だけでなく私たち 全体をちゃかし日に来るところがあるせい でこいつが何か言うたびに私はぽかりと ぶん殴ってやりたく なる私はしかしその時ひどいことに気が ついて大いに混乱し始めてい たそれは私がかにも言ったがさっき谷道を 登って村道へ出て他の3人と別れる時も 行ったことで私は光線宿へカルモチンを 買いにと言っ た私はすっかり忘れていたが大人の場合に は現の証拠に睡眠薬が入っておりまた今日 も玉さんの死体の枕元には異様な白色の 粉末がこぼれていたというではない かまるで私は私がか何か睡眠薬を常用して いることを恋にひけらかしているような 次第で何かいかにも下手な芝居をしている ような安梅で あるみんなにうられているのじゃないかと いう気がしていかにも私は不快な惨めな 気持ちになっ た海老塚医師はどの入り口から別れたが 私たちが洗剤を回って感へ行こうとすると 小屋の 表さ昼は早場であったところに4名の坊が 並び多門老人とゆば様を交えて食前につい ているではない かかは座敷の縁側へ近づい てなんのこった尚さんはここでしたか僕は また知らないもので30分も本道に腰かけ て頑張っていました よ 全く詩人なるというやつは世事に言うと いうやつじゃ と多門は下打ちをして背の顔を眺め て無の後は決まって相聞の方々を生じてお を差し上げるのが日本古来の習慣じゃ よ何か御用かとロソが笑いながらかに尋ね たこのロソは戦争前まで大学でインド哲学 士を講じていた日本著名な仏教学者でこの の出身だっ た戦争中から村の全寺へ引っ込んでいるが 見たところはただロソというだけで学者 らしくもない貧相な年寄りであっ た彼は全デラ前の感動の方からやってきた ええお食事中ですからまた明朝をお伺い いたし ます広間へ来るともう食堂の用意ができて 1度数を待って いる食卓に着くとうみが語り出し た僕は今日棺桶の帰り車に乗っけてきて もらったけど車を引いた百姓が妙なことを 言ってた よ僕は俺歴の中に殺人犯人がいるものだと 思っていたけれどそうじゃないらしいん だって さ村の疎買い物に福音の木ぐいみたいな 文学成年だが政治青年だかいて ね大人みたいなエロ作家は殺さなきゃ日本 のガだというテロリストなんだそう だ懐に担当を飲んでいてそれを村の人に 見せてこれで大人を殺すんだと言っていた そう だこの先生はたおさんがまた大嫌いでああ いう女が日本を滅ぼすとかなんとか言って たそう だ警察もこの男に目をつけ始めたという話 だ よかは困りきった顔をして聞いていた がその男は疎か者と言ったって村の出身な んだ よ奥田ト郎という製図校かなんかの福音 軍人で印したら家が焼け祭も行方が分から なくて少し気が変になってるという男なん だ最も気が変になったのは戦地にいた時 からで士にいたんだがその頃から甲子に 行こって今でも初会の部屋の窓に甲子 研究所とか論語研究会という看板を出して いるそうだ よ一ずに聞いた話だけどいつか道で人に やって何か言いがかりをつけたら人にと やられて敗退したということで ね痩せてヒョロヒョロの男だから大人に かかっちゃ問題にならない子犬みたいに キャンキャン尻尾を巻いて逃げたそう でしかしねこの先生は大人をエロ作家だと 言うけれどこの先生だって妙なんでうちの 彩佳のところへ時々変な手紙をよこすんだ よ彩佳さんも困った顔つきで でもラブレターじゃないわやっぱり大人 さんに関係のあることなんです もの大人さんみたいなエロ作家に騙される な なんて気狂いかもしれませんが筋は通って ます な人さんにやられた後で私の委員へ傷の 手当てにきましたよちょっとしたかり傷 です その時彼は言っとった です腕力あるものはギャングである全て 体力とか勢力とかいうものは文化的なもの じゃ ないまあなん です病的ですが当たってもいます よその時こんな話もしまし た歌田方周回なるバタへという手紙を出し たと言うんです ね返事がなかったそうです よ特になざさなかったから多分バタが たくさんいてみんな譲り合ったんだろうと 言ってました な海老塚がまた不快なことを 言う おいその木屋の君面の破いしめつまみ出し たらどう だいピカが腹を立て て全く浅ましい神経質な野郎じゃないか木 な野郎だ極楽汗というやつだ よお前自身は何者なんだ不快な連中の 集まる席なんだってお前は出席するん だつつか歩いていってエの腰かけている 椅子ごとどっこいと持ちげて広間へ 持ち去って置いてき たしかしピカ一が席へ着く頃医者は椅子を 抱いて足を引いて戻ってきて平然と 気難しいいつもの顔で元の席に座ってい たピカ一は余分収まら ずノートルダム先生も全然甘っちょろい頭 じゃない かふざけちゃいけないよ殺犯人はこれだけ の人間の中にちゃんといるに決まった ななぜだい外からしんでくることだって ありえるじゃない かと うみバカなここのうちにいるものでなきゃ できない証拠があるじゃない か犯人は大人の部屋の鍵を閉めたり開け たりすることができるんだぜ 鍵を握っているん だながらここにいる俺れの誰かでなきゃ そんなゲトはできやしない やするとかずがイライラ叫ん だ我々は探偵じゃないんだ犯人の話は よそうじゃない かとピカ一は吐き出して よかろう望むところ だエロ話これあるかなこれに限る さ食卓とは常にそういうものなんだ男と女 が顔を揃えて酒を飲みながらあられもない 文学だの芸術だのとつまらぬ話をしている からそコラの作品はいつまで立っても青 っぽいの さともかく さすがに人先生の小説は大人の小説だった よなからエロを断じ大いにエロを行い ましょうや今夜こそは内木先生に因縁を つけなく ちゃしかしなんだな僕は校長さんの冷たい おすましが好きなんだ がどうも僕はやっぱり日本人のせいか仏像 趣味なんだな アカ時代だ なもっともジャバのバリ島のエロダンサー もアカ時代の原色エロさ腰の線が震いつき たいの さピカ一はまた立ち上がって内容の腰振り ダンスをやりだし た歌までちゃんと心得て いる手振り腰振り 歌声鮮やかなもの 難そのままの童 へご婦人連はあけに取られ一同の目はゾ から隠しがい三々の色に変わっ た10木ぐい 揃い9時40分であっ た広前へゆバー様がやってきた 辺りを見回していたが海老塚石 にちさはいません か知らん です愛そのない返事で ある傍にいた内木さんが引き取っ てちぐささんはずっとお見えになりません わ食卓にもお見えにならなかったよう ねそうでしたわね塚 さん知らん です彩子様千草さんご 存知食卓にいらしたかしら いえお見えじゃなかった わまあどうしたのでしょう ねこちらかと思っていました けどじゃあどこにいるの かしら老婦人はたどたどしい足取りで 引き返していった ばあ様は一度中風でひっくり返ったことが あるそれ以来歩行があんまり自由じゃなく 引きずるように歩き階段の上下は辛いと いうのだが他に適当な部屋がないので不便 を忍び会うように階段を上下して いる老夫婦は夜の便所は便器で間に合わし ているということであっ た私たちは皆酔ってい たピカ一も珍しくに飲み内までかなり ビールのコップを重ねて いる殺人事件の東の集いは神経的になんと なく鋭く苦痛になるのも仕方が ない誰かしら人殺しが混じっているという ことが何かにつけてちくりと意識に上がる のが不快なので ある木米は普段酒を飲まないたちだが たまたま用としつこく絡むやつで国から だいぶに どうした風向きだか屋に先をエに向け て気難しいあのメイ先生ちょいと君ここへ かけませんかはあやかね よかろう君は我々を木ぐいと返されるよし 密かに受けとっているが僕の見たところ キングルイはまさしく君だね 名言 名言ピカ一は大喜びで1度を 精し緊張 緊張僕は人のスキャンダルを暴き立てるの は嫌いなのだが君の場合だけはこの慎みを 適用したくなくなった ね君は我々文人の思考を貧のご様子だが君 自身は釣殿なるところへご宿泊で毎晩何が 市上とご婚のよしじゃない かまたかこさんは君の診察が嫌いで 立ち合い人がなければ君の診察は受けない そうだ ねその寄ってきたるところを権助小鍋一等 の風雪からはずるに君はおさんの手を握っ たりお乳を長くいじってみたりするないか また近頃は下さんという可愛い小遣いにこ の他ご就寝で胸に病があるようだとかどこ か内蔵に異常があるようだとか仕切りに 診断を受けさせるようにほのめかしている よし以上当てないだけで3 件委員の方じゃ何をやらかして いらっしゃる やら党内の3だけについて判断しても我々 文人の人間波の愛欲に比べていさ異常陰性 変態と見たのは日か ねよしよしそこ だとピカ一は大喜びだがご婦人連は なるべく知らないふりをして何がし死後を 交わすことに努めようとするのは彼女らの 社交的な思いやりと礼儀のせいだろうが 木米の言葉は黒人連の社交的性癖などを やがて一気に凍らせる迫力を潜めてい た明衣先生君 先生その目だよその目だ よみんな見なさいあの目ギラギラ木ぐいの 目人を殺す 血に上血の海を見ても飽きたらぬ殺人鬼の 目この正体は隠すことができない ぜさあ見たり見 たり木米は良いに青めてさき立ち彼自身 ギラギラ悪気的な沈んだ目を光らせていた がまさしく海老塚の目はその日ではなかっ た私は初めからその経過を見て気づいてい たが彼は怒りにブルブル震え逆上的な興奮 からまさしくギラギラと狂人の光を目に やしてい たそれは確かに飛びかかって人を殺すこと のできるその一瞬の目の光で ある八にすることが できるひねりこすことも できる狂人の行いうる全てのことを行い うる凶暴無比な光であっ たご婦人連は息を飲ん だ木米は海老塚をはったと睨ん だ彼はまさしく演出者精神分裂というのだ が妄想教というのだがともかく木の1人 です よ自分は決正義派だと思っているんだ さんのお父をいじり去るご夫人とご婚を 重ね下さんにそれとなくお父をいじる チャンスを作らせようとしながらです よ自分のなつことに気がつかないのがまず 演出者キグの遊園じゃない かそしてただ他人の不純不潔を妄想する彼 の潔癖はつまり人の病です よ皆さんそうではない か海老塚の目はますます燃え たそれは極点まで見開かれもうする術も なくそして彼は言葉も身動きも全てが失わ れているゆえに今やにわかに唐突に全ての ことが可能であり何かが突発しそうな様子 が見え たその引きずる足音がしておば様がもろい 看護に手を取られながら入ってき たチグさんがどこにもおりません よどうしたの でしょうもしや皆さんにお心当たりは ございません か一座に別の恐怖が走っ たそんなバカ なまさか 殺されやしない だろうピカ一が大声でわめい たおばあさん安心しなあの子は下がりが ついてるのさばあさんの前だけれどもあの 子と来ては慢心これ性欲じゃない か一座はそのまま沈黙し た誰も続いて物を言い出すものが ないするともい看護婦が水子林が水の中 から物を言うような静かな沈んだ声 でそう です千草さんは合挽きにお出かけでし たなんでっ てじゃああなたは知っていらした の小ゆばあ様のあけに取られた視線も もろい看護婦の冷たい顔には取りつく島が なかっ たちさんは引きの神記念を受け取り ですヒラヒラ振り回したお店でした私は 読みはしません がそして6時頃お出かけでし たどこ え存じませ ん誰ですか男の方 は申し上げてはいけない でしょう冷然と言っ た一座は再び沈黙し 海老塚がクのようにゆらゆらと腕を振った なんという変わった仕草 だろう興奮のためであろうかそして 飛び上がるような激しさで振り向い たスタスタと片方の尻を振りそして腕を ゆらゆら振りながら部屋から立ち去ろうと し たと廊下の入り口で急に振り向い てバカ 郎慢心の絶叫だっ た小柄のくせに全く木ぐいの 万世なんという張り裂けるような声なの だろうそしてまた飛び上がるように 振り向いて歩き去っ たピカ一が木ぐいのように笑い出した 茶番だらけだなに殺人だって茶番じゃない かももここのうちが茶番そのものなの さ真面目なつをしていられるか いイバ宿と言いたいがそれどころかまるで もう性欲の塊り色狂いの巣じゃない かうるさい つあんたは東京へりただいまさっさと帰っ てちょうだい 彩佳さんは怒りに震えて電気のように ビリビリ神経が飛び出すような激しさだっ たなんだとこの 野郎もう1度行って みろそう言い終わるとピカ一の人証が 変わってしまっ たまさしく鬼だ塚には殺人鬼のメのような 静寂があったがピカ一ときては 凶暴人間のそうではなしに鬼狂いたつ野獣 であっ たパッと弾みがついた時彼は踊りかかって 彩佳さんをつみあげ大きく1回転振り回し て振りし た彩佳さんは物の2件も振り飛車れて4 つばにつんのめり服は避け膝を打ち 起き上がることができなかっ た私たちが抱きよこすとすぐ起き上がり 見かけによらぬ貴重なとこのある人で きっと顔をあげ て こつ 犯人この 野郎我々があっと思った時にはもう彩佳 さんがピシャリとぶたれて突き飛ばされた 時で全くこいつの腕力は矢のような早で あっ たしかし私たちがその次にあっと思った時 はそれどころじゃ ない奴はいきなり傍にある大きな花瓶を 振り上げていたので ある瞳コがむしゃぶりついたからよかった ピカ一は花瓶を投げ下ろしたが誰にも 当たらず床に砕けて無人に割れ たピカ一は猛牛の怪力でコを振りました 彩佳さんは殺を悟ると身をひがして 逃げ出した食堂へ飛び込み食堂から庭の方 へ逃げ出し たピカ一はすでに追ってい た私たちが追いつくことができた時庭の松 の木に押し付けられ彩佳さんは散々ぶたれ 突き放されて息も絶大のところであっ た私たちが鈴なりにむしゃぶりついて ぶら下がってようやく引き分けたがどう やら10件ほども引き分け彩佳さんも婦人 連に守られて去りかけピカイチもふふ ひとまず牛の息をまとめているからもう 終わりと油断したのがしくじり急に矢の ごとく追い出し たそれを悟ると彩佳さんはこれまた矢の ごとく逃げ出し た全く彩佳さんは身軽な人ですらりと細い 体だが魚のように一直線を引いていく見事 な速さがあるのであっ た彩佳さんは出てきた食堂から逆に屋内へ 飛び込ん だ私たちは後を追ったが追いついた時には 彩佳さんは自分の寝室へ飛び込んで内側 から鍵をかけておりピカ一は階段を 駆け登る時つまづいたのが失敗で若干距離 ができたので あるピカ一は狂気のごとく彩佳さんの寝室 の扉を蹴飛ばしている 私たちが追いつく とこの野郎だ も私たちを追い まくりちくしめずべため出てくると殺して やる ぞしめして やる締め上げて やるピカ一は自分のシャツの襟を掴んで 自分の喉をグリグリ締め直したが 散々扉を蹴飛ばして挙げ句ゴロンと扉の前 へひっくり返って大の字に伸び たそういうことが1時間近く続いた だろう私たちが近づくと起き上がって 飛びかかって くる毛物のごとく吠えて 飛びかかる私たちは諦めてそれぞれ自分の 寝室へ入っ たピカ一は10分か20分おきに 起き上がってさんの室の扉を蹴飛ばすのが 聞こえるがあは大の字にひっくり返って わめき続けているの だ私は呆れて寝てしまったがピカ一はそれ から3時間もわめき続けていたということ で翌朝誰かが目覚めた頃はピカ一は疲れて 彩佳さんの扉の外に大の字に眠りこけてい たと いう彩佳さんは無事だっ たピカも翌はり静かに落ち着いていたが しかし計らざるところに殺人が行われてい たセ主人がその寝室に殺されて おりまた我々が手分けして千草さんを探し てみる と千草さん は三山の森の中で殺されていたのである 11仮装場からの 戻り道翌を私が散歩に出る時ピカ一はまだ 彩佳さんの寝室の扉の前で大の字に 眠りこけてい た裏山を出て例の三山の方へ差し掛かると おい向こうにステッキを振って呼びかける ものが ある神山東洋と下男の作じいさん だ馬鹿に早起きだね神山さんニッカーを 履いてお散歩とはおしゃれなお方 だ私はいつも早起きですよ冗談じゃ ない日中眠るのはあなた方文子と泥棒 ぐらいのものですよ私は散歩じゃありませ んよ操作 です千さんが昨日の夕方出かけたまま今 もって帰らないのです よ社さん全く演技でもない話だけれども これじゃどうもまたかと思わざるを得ない でしょう ぜ私は見かけによらず心臓が弱い方なんだ から君悪くってこんなジャングルみたいな 山道を歩くのはやりきれません な一通り探したんです かまあ大体 人間の通れるような道の上だけは ね美神社から三池までは歩いてきました よ私たち3人は一緒に美神社の裏手へ回っ て密林の山を見上げ た熊がはびこり雑草がつが絡みもつれて イグ極まる暗さとしけさが張り詰めて いるまるでいかにも人が殺されていますと いうようなジャングルじゃないですかええ 社 さんこの中へ踏み込めたって私は嫌ですよ 全くそう言いながら神山は地上に何物か 認めて立ち止まった おやなん だろう神山は拾い上げ たこりゃはいけ ないこりゃはこ夫人のルーチュだ よどうやら追いなすったかな ああそこの雑草が踏みにじられた後のよ じゃないかするってと こりゃごっぽ進むとハンドバッグが 投げ捨ててあり中のものが散乱して いる10歩ほど進むと大木の根の影に千草 さんが うつぶして寝ているように殺されて いる風呂敷で目隠ししてその目隠しの上 から女の腰紐のようなもので締めこされて い たその渡りには抵抗し格闘したような後は なかっ たほとんど抵抗していない ね私たちが最初に見つけた雑草の踏まれた 後が殺された場所じゃないかね 死体をここへ運んできて捨てたん だ暴行も受けていない ねこの犯人命ご夫人の低そについちゃ大変 紳士的な個人じゃない か千草さんはスーツにズボを履いてその 服装は全然乱れていなかっ た私たちが警官の一向に報告 刑事博士の一向を私と神山が現場へ案内し て朝食に戻ってくると今度はこっちの方に 宇明がその寝室に差しこされているという 騒ぎで ある食卓に宇明が見えないので彩佳さんが 迎えに行ってみると寝室は血の海で パジャマ姿の内が部屋の中央の床の上に うつぶしている 脇腹に3箇所胸に2箇所首に2箇所差しが あり担当は現れて化粧台の上に乗せてあっ た犯人は手を洗ったので あるこの担当も談話室の飾り棚にある中の 1つであっ た内のスリッパは足から2尺ほど離れて 飛んでいたが扉の傍に犯人が室内へ 脱ぎ捨てていったスリッパがあった それは宇の寝室の隣にある便所のスリッパ であっ た他に犯人の移流品は見当たらず指紋も なかっ た現場の検修が終わった頃知さんの意外と 一緒に県立病院の医師が出張して総林寺の 本道を解剖室に仕立てて新しい2つの死体 の解剖が行われ た千草さんの殺されたのは18日午後6時 から7時の 間セシ詩人の殺されたのは夜の11時から 12時頃の間と推定されたが宇は寝床の中 でラロの危険な関係を読んでいたらしく本 を伏せて身体を降りて殺されたもののよう で便所へ立って戻ってきて殺されたのか 犯人を室内へ迎え入れて殺されたの か多分顔見知りの中で殺を全く悟らぬうち に背後から脇腹を刺されよろめいてのめっ たところをめった差しに差し込まれ心臓を 刺された時はもう完全に死んだ後でそれを またうつ伏せに戻して首をさした らしいつまり顔見知りの反抗なので あるだから蘇生を恐れて必要にめった差し に差しいたにそういないという話であった 夕食後午後8時半神警部は私たち洋館居住 の全員を広間に集め てさて皆さんこうなってはもう説をおじて ばかりいるわけにはいかなくなりました よ皆さんを容疑者の中から省くわけには いかない次第となりましたから虚心階に 捜査へご協力をお願いいたす次第 ですさんの仮想に度胸が終わって加して 引き上げてから夕食までのりばを立証して いただく必要がありますがまず総括的な 状況についてこさん引き上げた時は何時 でした かそれがどうも僕は生来迂闊者ですから 滅多に時計なんぞ覗くことがないたちなん でまあ合びきの時 ぐらいと博士が顔をわかめて苦すると上山 東洋 が私は時計を見まし た度胸が終わり火をつけたさあ帰ろうと いう時社さんが何時って確かそうわたんだ かずさんですなにお聞きになっ たそこで私が自分の時計を見ると6時6 分かさんは6時9分とおっしゃっ たところが私の時計モバードの安物ですが 1秒の1/10と苦いのない掘り出しも でして ないかがですか10万円なら売ってもいい がするとアピ女子がキンキンとかん高い声 を張り上げ てあら社さん腕時計をつけてらっしゃる じゃありませんかどうして時間が大きに なった の昨日は机の上へ置いて出ましたから さあピンさんは自分の所持品を全部年中身 につつける主義です かなんですっ てあたピンさんとはしけなお 黙り神警部はきりと人睨みなるほどすごい 睨みである それで皆さんは全員一緒に変られました か答えるものが ないすると神山東洋 がまずです な土井高一画伯が第八車の後押しをして この第八車には宇さんが乗ってました なこの一向が先発で若い週が2人で引き ますからど先生の和しも入れて3人猛烈な 速さでぐんぐん谷を登っていきました な第八車がなぜありました か死体を運んできたの です死体を運んできてすぐ戻らなかったの はなぜです かそれは都会の人力者や円卓とは違います よ 田舎の若い週が旦那の家へ手伝いに出て すぐ帰りゃしません ぜマを積むとか色々仮装場では人手のいる ことがたくさんあるじゃありません か警部は読みすぎ刑事を振り向い て2人の若い週は来てる かはあ昨日の関係者は全部あちらの部屋に 呼んであります そしてわろに清という2人の若い臭を呼ん でき た宇さんをどこまでお乗せしたかね はお屋敷の裏の山道の上で がす三山の別れ道のところだね はあその30件ほど上手でがすそこから 30件ほど坂を降りると別れ道で がすなぜ裏門までお乗せしなかったの だそこから下り坂になりますねもう たくさんだ降りるとおっしゃったでかす 下り坂は乗り心地が悪いがす からそれに違いはありませんかど さん僕は知らないね僕はとこに車の後押し はやめたから さ仮装場からの谷を上がり切るまで死後町 のところを押しまくってやっただけさ あれからは曲がりくねっているだけで勾配 のないただの道だね2人の若いがただの道 を引っ張る車の後押しってのはダトさんの 後押しとあんまり変わらないことだ あれ車と一緒にいらっしゃらなかったの です か車はすごい速力ですよはみがついてい やがるからさガラガラ回ってち見えなく なっちまったよ僕が三山の別れ道へ来た時 は背の姿は見えなかった ねどなたか宇さんを山で見かけた方はあり ませんでした か答えるものがなかっ たどさんが戻られた時宇さんは戻ってい ましたか ええ僕が1番さ宇が2番目それから後は もう知らないよ僕は見張りをしているわけ じゃないから なあなたが帰られた時は何時でしたか 分かりません かこいつは何もんだ僕が戻った時初対面の ご挨拶を交わしたのは内木さんだが内木 さんの方が時間の観念がありそうだ な7時 頃7時10分前ぐらいそんなじゃなかった かしら私も時間の観念がない方だ から他の方は皆さんご一緒でした か私とかさんと尚の一行が一塊まりにその 次 です他の方はだいぶ遅れたようでした なと神山東洋が答えたそこで私が さよ私と単子と木米とコと小博士が一塊に ブラリブラリと論戦をかわしながら のたくってきたです よ谷を登り詰めたところで単子が別れて 光線ブラの方へ行きまし たこれは論戦の気詰まりによる一種の徐々 的お散歩というところだろうが続いて私が 同じ光線ブラへ薬を買いに行きました 2丁ぐらい進んだところで戻ってくる単語 にすれ違いましたが ね私は光線宿で薬を買って暗くなって戻っ てきた裏門でかに ぶつかるそこへ海老塚先生が哲学的足取り で懐中伝灯をピカピカやりながらやってこ られた次第 です神山さんのご一行は一緒に戻られたの です ねさよです途中で別れたものはおりませ ん裏門で尚さんは一旦寺へ帰られ たかがそれに続い てそうでしたですから僕はおしさんは寺に いるものだと思ってたん ですそれで一旦戻りましたが尚さんに用が あって寺へ行っ たいくら声をかけても答えるものがないの で30分ほどの前に待っていまし た諦めて戻ってくると裏門で社とあって 座敷へ来てみるとそこに尚さんが来ておら れたというわけ ですなるほどわかりましたそれで歌川さん が総林寺によられる間誰かに会われました かあそこは道から引っ込んでおりますから ひこ1人見かけませ んつまり僕にはあがないわけ です単子さんと社さんは各々単独で戻られ たその他のひさん三宅さんこさんはご一緒 ですねいえええ僕がまた単独ですと木米が 冷たい顔を振り上げ た人小さんは林の道へ曲がりましたが僕は 裏道を通って つまり宇の大八車が通ったという道の方を 歩いたわけ ですその時うみさんに会われたのです ねどういたしまして全然一っこ1人見かけ ませ んあっちの道は山の密林の間ばかり 曲がりくねって畑も他もないところです から村の人の往来もなかった ですそこへ海老塚医師が遅れて1人入って きたいやあお待ちいたしておりましたお 忙しいところ呼び立てして愛すまぬ次第 です毎晩欠かさず統計お見えのよしですが 今晩は休刊がありました か 馬鹿馬鹿しいなぜ毎晩来なければならない のです か医師は腰を伸ばすような構えをして王兵 にきらりと目を光らせた そして また バカバカしいとつぶやい た海老塚さんが昨晩統来られた時間は何時 頃でした かそんな時間をなぜ覚えておく必要があり ます か病院を出られた時間はお分かり でしょう私は時計の万人じゃない です加熱機動の童森の他の人間はは いちいち時計を見て生活するものではない ですしかしですな一般に我々がよそのうを 訪問する場合には今が何時何分頃だから あそこへ着くと何時になるそう考えるのが 自然だろうと思いますが海老塚さんはそう ではありません かもしもそうでなければいよいよ彼は木 です 海老塚先生お分かりか警部の言われる通り だよ人間がよその家へ行くために自分の家 へ出る時は必ず時間の意識がなければなら ぬもの さと木米が突き刺すような冷たさで言っ たおそらく彼には咲夜の記憶がまだあるの だろう学級肌の木米は女性的に執念深く1 つのことにに深くこだわるたちであっ た勝手に調べ出すがいい探偵はそれが職業 さ私は病人を見るのが職業だからそれに ついては責任を持つ他のことは知ら ん社さんと歌川さんは裏門で海老塚さんと 一緒になられ た社さんは例の裏道大八車の道を来られ た歌川さんはゼダから来られた海老塚さん は村の方から来られたのです ねその時の時間 はまあ大体8時頃でしょう日がとっぷり くれたとたというところだからそうじゃ ないか なこの辺の山中じゃ山に隠れて日暮れも 早いかもしれない な私がそう言うと警部は いや分かりましたじゃあどさんが1番に 戻られて7時か6時50分 頃次に宇さん次が神山さん宇川 さん宇川さんは一旦戻ってまた出かけられ た次に は僕とひ さんと小 博士それから三宅さん単子さん社さんそれ で全部です ねご夫人方はどなたかその時間に外出 なさいました か私たちは全部揃って広間にいまし たそこの調理場にいた方もありますけれど 多分揃っていたようです わと内木明子が答え た揃ってと申しますとどなたとどなた 私と胡蝶さんはここに彩佳様は調理場へ 行かれたり私たちのところへ来て話をされ たり神山さんの奥様もそうでし た千草様はこっちの部屋にはいらっしゃら なかったと思い ますそこでちぐささんを最後に見たこと は 私と一座の中にわっていたもろい看護が はっきり答えたそれは他の人を威圧する ような思い上がった自信がこもっている ようであっ た私はあの方が6時頃裏門から出て行か れる姿を見ましたそしてその1分前には私 に1枚の紙切れをお見せになりまし たその紙切れを読みました か読みました と虫のランデブー捕まるべく そ本日6時半より7時頃みは神社 裏イサ面談の 上うみさんは私に夢中なのよと千草さんは 得意のご様子でし たその紙切れは私が宇さんに頼まれてお 渡ししたのです わさんが困ったようなないような顔つきで くすぐったそうに言いでし たうみさんは東京な方なんです わランデブーと言ったってありきたりの 意味じゃありませんわ繁子ですの よちみ毛量の3日いたなんておっしゃる ことがお好きなの よただ会いたいということをチミ猛りだの 不美人とセの密かなどとおっしゃるだけ です わあの方は主婦に捧げる死とかいうのを 本当に命を込めた書くつもりでいらしたん です ものちぐささんはその死のための存在でし た わ千草さんのために使用作りではなかった のです わなぜ分かるんだそんなこと がとピカ一が軽蔑しきった言葉を浴びせ た一体その詩は書き出していたのか い警部さん宇の原稿を調べましたかと瞳コ が聞い たさあ現行は一応調べましたが私はその方 の門外観です からこせさんその原稿はありました かありましたしかしただ題名が書いてあっ ただけのよう です神警部はそこで態度を改めて一座を 見回し た昨晩は大変賑やかだったということでし た がと笑いを含んでピカイチをちろりと見た がピカイチは知らねえよとばかりソポを 向い たそこで警部は彩佳さんに目を 転じる彩佳さんは昨晩の負傷で膝小僧や 二の腕や肘や手の指に包帯しており困り きった顔つきであるが この人は美人の天生というのかどんな時で も一応どこかゆとりがこもっているという 感じいつもさえざえとした印象を 与えるすると警部の目はぴたりと海老塚石 の上に止まっ て海老塚さんは咲夜は大変ご立腹とのこと ですがなぜまっすぐお帰りにならなかった の でしょう私はまっすぐ帰りましたよ 海老塚の顔はまるで怒りに燃えているよう だ牙でも向きそうな感じで ある神警部はそんなことには無頓着海老塚 の両手の包帯に目を止め てその手の大怪我はどうなさったのです か夕べ山道で転んだの です海老塚さんは足がお悪いご様子ですが から病院までまっすぐ歩いて4時間半は 時間がかかりすぎるようです な昨夜当家を出られたのは9時半でした ね毎晩泊まり込んでいた海老塚が昨夜に 限って帰宅していたとは初耳であっ た私は思わず耳をそば立てたが海老塚は ギラギラと大きな目を顔いっぱいに光らせ て警部を睨んで返事をしない 真の悪い巡り合わせで昨夜に限って夕間が あった午前0時半 です病院から統計電話が来てもい看護婦が 釣殿へ海老塚さんを探しに行ったがい なかっ た海老塚さんが帰宅したのはそれから1 時間半後の2時だそうですがその間海老塚 さんは4時間半かかって帰宅の道を歩き 続けていらしたわけではないでしょうな 僕は歩き続けていた です海老塚は肩を張って吐き捨てるように 言っ た ふん僕は歩き続けていたしかしまっすぐ 帰宅の道ではないだけのこと だ若者どもハレンチ男どもの濁り汚れた 空気を払い僕自身を取り戻すためにやをえ ずうれな処方の裏山道を彷徨っていただけ のこと だだから手に怪我もし たここは犬の宿じゃない か バカバカしい誰か似合うとか人を訪ねて話 を交すとかそんなことはなさらなかったの です かふんこの村に僕の訪問に値する何者が いるか バカバカしいちぐささんは昨夜9時半には もう殺されていたから さと木米が冷やかし た海老塚は怒りに震え拳を握りしめ顔 いっぱいの目の玉でギラギラと木米を睨ん で息を飲ん だ神警部はその時目を彩佳さんに向け て奥様昨夜は5歳なんでしたなお怪我は よろしいのです か彩佳さんはにっこり たありがとうございます左足の膝が ちょっと痛むだけあとはカス傷です の奥様が寝室へ逃げ込むどさんが 追っかける扉を叩く 蹴るどさんは12時頃までそれを続けてた のです ねピカ一は平然たる顔で恐れげもなく刑事 をはっきり見据え て俺はよく覚えていないの さ刑事さんは虎になった覚えがねえのかな ぐでんぐでんに酔っ払いば誰だって前後不 になるじゃない か俺の咲夜のことは他の連中が俺以上確か に知ってやがるに決まってるだ 警部は頷い て人が近づくと掴みかかったそうですがか さんそうでした ねわざと近づいたわけではありませんが僕 の寝室へ入るには近づかざるを得ません からすると襟首を掴んで突き飛ばされた その次には蹴飛ばされ たようやくそれをすり抜けて寝室へ 逃げ込みまし た小さんなども掴みかかられた口でした ね僕も寝室が近いもんで扉から顔を出して 覗いても牙を向いて手を振り上げて叫びを 上げて突進してきましたね初めの1時間 ほど でしょうすると神山東洋が頷い てさ よ11時頃までは扉の前に立ちはかり ランランたる眼光 人王様のごとく怒鳴りたてていました なああっぱれなむしぶりでした なあ11時頃からは廊下に尻もちをついて 扉に背を持たせてかつ歌いかつわめいて おられました な私は見かけによらぬ読書家ですから昨夜 も寝転んで読書していましたよ どさんの怒鳴り声が衰えて終わりを告げた のが0時18分でし たその時そっと扉を開けて覗いてみたらド ヶはまさにいりつつ扉へ持たせた背中が 釣り落ちようとしているところでした よ警部は頷い た神山さんは弁護士のご職業 勘所に時間の注意が行き届いて いらっしゃるおかげで大変よくわかります よ奥様の寝室の扉はうまい具合に廊下を 見通していますからあの扉に持たれている と皆さんの廊下の出入りが全部見通しの わけですがどさんどなたが出入りしたか 話していただけません かピカ一はいさくすぐったそうな顔付きで 照れていたが どうもねそら拙者は昨夜人の出入りの旅に 怒鳴りつけたり追いかけたりしたかもしれ ないけれどどうもよく覚えていないのだ ねしかしなんだね扉に持たれて尻もちつい てから後はもうみんな寝てしまったのか 1人も出入りがなかったようだ な 待てよ彼は考え込んだが思い出せない様子 であっ たどさんご自身は扉の前から1度も離れ ませんでした かピカ一は頭をかい て正面ぐらいには行ったかもしれねえな どうも記憶が全然ない からいや絶対に扉の前から動きませ ん神山東洋がきっぱり行った なぜなら同じ位置で怒鳴りたてている声が 5秒と途切れたことがなかったから ですそれは誰よりも奥様にお聞きしたら はっきりしやしません かまさか奥様は虎の方向をしりめに悠ゆう と眠ってしまわれたわけではないでしょう から なあ彩佳さんはその言葉を真顔で受けて ええ私は全部覚えており ます12時過ぎるまで私の扉の前で虎の 叫び声が途切れた時はありませんでした わ私は虎がこの山へ現れた以来主人の寝室 で眠る礼にしておりましたが昨夜に限って 私の寝室へ駆け込みました のなぜなら私の習慣で私のお部屋では扉の 鍵を扉の内側に差し込みっぱなしておる ものですからとっさに鍵をかけることが できるという目安がついておりましたから ですから幸い人違いでうまく滑り込むよう に鍵をかけることができましたのよ日頃の 武将のおかげのようなものでした わその時神山東洋が聞い た犯人は窓から入ったのではないですか ななぜそうます かドヶがあそこに頑張っていたんじゃよば 現在土産は記憶がないとおっしゃるにして もそれを当てにして人殺しに出かけるわけ にゃいきませんでしょうから なそれとも犯人は酔っ払いの心理を承知の 上で悠々と仕事をしたものでしょうか なおっしゃる通りかもしれませ んと神警部はなかなか寝れた人物で我々に 操作の尻尾を見せることが全然 ない私はしかし小博士から聞くことができ たが犯人は外から来た形跡はなかっ た少なくとも部屋の窓からは来ていなかっ たこの犯人は窓から来たか扉から来たか そういう点にすることが全然なくて変な 小工を施さないだけむしろ手がかりがない のであっ たサクを施すほどむしろ心理の足跡を残し ているわけで私のような小説書には許し やすいようなものであるがそれがないので 素人探偵の取りつく余地がないのであっ た以上の質問が終わった時神警部は狙いの 本筋を切り出し たさて皆さんご承知のごとく1軒の家で3 日にわって4人の殺人が行われたという ことは日本において空前のことであり ますかかる場合に同一邸宅の居住者である 皆様がその平素の純礼な生活にも関わらず 一応の権を免れ得ないことは法国の合理 だろうと思い ます率直に皆様にお願いいますが皆様方の 出と所持品を改めさせていただきたいの ですそれにつきましては最高の文化人たる 皆様への経緯といたしまして東方の捜査の 主点をザックバランに申し上げますが つまり宇さんの生産な出血状況より推察 いたしまし て犯人の着意に結婚の付着しないはずは ないと思われますから人は着意を引するか 選択するか何らかの方法を施さざるを得 ないことが推定されるのであり ます私どもが皆様方の進出と所持品を改め ますのはそのためですが決して強制は いたしませ んただ皆様の公正な良識に訴えてご協力を 仰ぎ我々の捜査に皆様の有力な繁をして いただきたいのであり ます何がさてべして歴歴のご夫人方所持品 改めときては穏やかならざる次第でただ ならぬ気配が動いたが結局あくまで拒否し たものは海老塚医師が1人であっ たしかしざ明道の霊に漏れず結局血のつい た衣服の現れたのは彩佳さんのもの1つ これはピカに振り回されボロロに避けた 衣服でついている血液は彩佳さん自身の ものすなわち宇はB型であり彩佳さんは 大型で問題の余地がなかっ た我々のトランクの底までみんな改めた が霊の鍵も現れてこなかっ た 12セ詩人がなぜ殺された か連続3夜の殺人事件には大の男の我々も 震え上がって扉の鍵をかけただけではまだ 足らず紐で巻いて寝台に結びつけたり苦心 三々伊坂神経衰弱の君であるが日本間の ピカ一ほどのやつまでご多分に漏れず鍵が ないからおちおち眠られずもっぱら昼で 間に合わせている様子であっ た私は小博士が仮装場から裏門までの道を 時間を測って非常に綿密に調べているのを 知ってい たストップウォッチを持ち5日に渡って 同じ道を往復していたが1日彼の調査に 同行する と普通に歩いて40分から45分かかるん ですがねここにこんな小道があるんです よ仮装場から裏門までの工程のちょうど 真ん中頃と思われる谷川沿いから1尺 くらいの小道が谷底へ降りて いるちょっと見ると道とは気がつかない ような細さで谷底へ降りると石を伝って谷 を渡りまたさらに道の痕跡も定かならぬ 状態ながら密林の奥へ上がり込んで いく小博士に導かれて雑草を分けながら この小道を伝っていくと私は思わず声を 飲んで凝視せざるを得なかっ た目の下に美神社が ある私たちは美神社の横手へ現れているの であっ た私は思わず叫ん だなるほど分かった犯人はこの道から 先回りして千草さんを殺したのだ 殺しておいて別の道からやってくるうを やり過ごして帰ったのだ ないやいやうにあって何食わぬかを ごまかしてきたかもしれぬだからうみを 殺したの だろうそれでしたらうみさんもここで殺す 方が安全じゃありません か小博士はニヤニヤし た犯人がこの道を来たかどうかは分かり ませんや しかしともかくこんな小道があってみると 失礼ですが三宅さんも単子さんも先生も 疑われて叱るべきことになり まさ全くややこしい話です さ普通に歩いて仮装場から裏門まで40分 から45分としてみると大八車は半ば小走 に来たのだから30分とかからなかったか もしれ ない宇ので神社までの往復には25分か 30分はかかるかもしれないからピカ一が 6時50分か7時頃帰着してそれから5分 か10分遅れて宇が戻る歩引きの時間と いうものがほとんどないようなもので あるすでに千草さんは殺されていただから 姿が見えないのでうは千草さんが来てくれ ぬものと勘違いして戻ってきたにい ない千草さんに会っておればもっと遅れて 戻るはずでまた千草さんと一緒に戻って くるはずで あろうもろい看護婦が読まされたという 相引川はあるのか いそれを探しているのですが千草さんの 所持品には見当たらないのです よ私はもろいという女が虫がつかないので ある思いたところがあり誠に木な立面で ある彩佳さんが頼みを受けて千草さんに 渡したというまでは私は千草さんの芝居で なければもい看護婦のトリックだと思って い たたさんが殺された枕本のコップと水差し にモヒが投入されていたというがモヒは 海老塚委員も秘密に所蔵しているよである し実は多門老人が模中毒でこの屋敷には モヒが引退されているのであっ たある日小博士と私は多門老人の書斎に 招かれれ たダたまたま事件の話に移った時ちょうど ビタミンの注射にもろい看護婦が言わした ものだから私はわざと嫌がらせ にもろいさんは千草さんの生前もそうだが 玉さんの生前にも最後に遭われた人であり おまけに玉さんの枕本のコップと水差しに モヒが投入されていたそうだがこれを近代 探偵小説の流儀で言うと看護婦にモヒ あんまりありそうなことだからそんな馬鹿 な手口を残すはずはないということに なるしかしまたこれを逆にあんまりうられ やすい手がかりを残すからかってられない その見込んでとトリックをするという工も 成り立つじゃありません かもいさんは知性の勝ちすぎたお方だから ね失礼ながらあなたのような信元なご夫人 ともなると謎のように我々3問文章は色々 とかったりいたします よしけ先番な言い方であるが近頃この家の 客人どもは挨拶代わりにお前が犯人じゃ ないかねと一層言い切ってしまが潔のよう な状態になっているのであっ たもろい看護は私をじろりと見 て社さんは仮装場から一等遅く1人で戻っ ていらっしゃいましたわ ねおせの通りですよところでもろいさんは 随分体格がご立派だな失礼だが並の腕力が 終わりじゃないか な博士はニヤしながら聞いていた が大人さんの場合は靴の鈴玉さんの場合は ひなんとなく思わせぶりな何かが残して あるのですが千草さんと宇さんの場合は それに該当するようなものがありません な多門老人が聞きとめ てなるほどそれは 面白いさすがに1つの着眼じゃ ませんや そんな小博士は照れて打ち消し た着眼の妙というやつほど真相を偽り やすいものはありませんや当人がいい気に なるだけ救われがたいもんで さねえ社先生文学もそうじゃないです かそれは政治もそんなもの さしかしさんこれは非常にに計画された 犯罪でしょう なあただ私が疑るのはうみさんの場合じゃ ねえどさんが目を光らせていたという危険 の際に殺されなければならなかったそこに 謎があるのだ ね多分あの日でなければならなかった謎が そこにあるにそうい ないその謎が解けると事件の一に糸口が つくそんなものじゃありません からその謎をどんな風にお考えになってい ます か多門老人は答えなかっ たそこで私 がそれは多分宇を犯人に見たから でしょうしかし千草さんが殺されたという 事実については知らないからまだ犯人を 疑ることは知らないのじゃありません かだからその夜のうちに宇の息の根を 止めることがゼが日でも必要だっ た気球存亡じゃ ねえそれにしても危ない橋を渡ったもの じゃその時小博士が奇妙なことを言っ た1番危なくなかったのかもしれません やなぜ 博士はニヤニヤし ながらピカ一さんが下の日本もにいると うみさんを殺すのはちょっと厄介ですから で さ多門老人はぎらりと目を光らせて博士を 見たが別にそのことで何かを言い出しはし なかっ た 13聖処女も嘘がお上手 1週間は何事もなく過ぎて7月26 日ごprobから目を覚ますとかこさんが 京子を訪ねて私たちの部屋へ現れ たこの日はかの誕生日で小屋の方の台所で も赤飯を焚いたりしていたが洋館の方の 調理場では夕食の支度に大忙しでかこさん も今日は珍しくこっちの食卓へお客に来る ことになってい たかこさんは全く老たき聖処女であっ たしかしまたこれに比べて彩佳さんという 人はこれがまた花のように多彩のうちに妙 に娘らしい人で結婚している女のように 見えないので あるそういう魔生の怪しさは同性の敵を 煽りやすいのかなんと言っても男という男 がみん特別引きつけられるのだから嫉妬さ れるので あろうかこさんはかのことがあるから特別 で彩佳さんの話になるとその底にある反感 があまり神経的に営利すぎて私は苦しく なるのであっ た激しすぎる憎や嫉妬というものは相手を 引き立てるようなものでかこさんほどの 成人な鬼娘でもやっぱり聞き手に苦しい 気持ちを与えるから焼きもち焼きの美しい 鬼そんなものもあるんだなという実感を 与えられる始末であっ たかさんはやっぱり病院のせいであろうが 宗教的なところがありそれが予言者的な形 となって現れてい たけれども例えば大人のベッドの下に彩佳 さんの部屋interestの鈴が1つ 転がっていたということから彩佳さんが 犯人だという風に思い消していたり人と 彩佳さんとは関係があったということを 頑固なまでに決め込んでいるものだから そうではないことを知っている私たちには 神経だけが響きすぎて扱いにくいところが あるしかしかこさんそれは違いますよ大人 の場合には彩佳さん1人だけがありいが あるの ですかずのベッドに眠っておりかは夜明け 頃まで書き物をしていたのですから お兄様はお姉様をかっていらっしゃるの です わお姉様に完全に騙されていらっしゃるの です ものざっこういう具合であっ た彩佳さんの話になると全くイライラする のであっ たけれどもそんな話の途中に偶然かと彩佳 さんが私を尋ねてやってきた あらかこさん 珍しい彩佳さんは目をくりくり花粉が 飛び立つように喜ん で今晩の食卓は楽しい わかこさんは後期の高い鉱山植物のようだ からそっと座ってらしてくださるだけで 自然に花のあかが皆様に染み渡る でしょうかこさんはそのお世辞に反発を 表してうるさそうなそぶりを示すかと思う とそうじゃない嬉しそうににっこりし てお姉様こそ花束のようにかぐわしいの にまるで真から彩佳さんの華やかさに 見れるようにうっとりというのであっ た私はまさしくわけに取られた女という ものはこんな一本の潔癖そのもの娘まで みんな先生の嘘つき外交化所生家なので あるそれにしてもかこさんの場合は特別 ひどいと私は思っ た思うにかこさんはべして孤独な人であり 友達といえば京子が1人他の何人にも 打ち解けた思いを抱いていないのだから いつも外交化的に生きておるのが自然で ありたまたま教子と一緒のおかげで私だけ が効果でないかこさんの心底を知らされて いるわけなの だろう心底を見せれば女はみんなこうで あるが我々男は滅多に女の心底に触れる 機会に恵まれていないだけかもしれ ないかは案外にも立場に窮したように困っ たところは味人もなく落ち着き払ってい てかこはもう体はいいのか い先日まで微熱が続いていたそうじゃない かこんな事件続きで見舞いもゆっくりでき なかったが近頃は海老塚さんの薬まで嫌 がって飲まないそうじゃない か神経しすぎちゃいけないねお医者さんの 薬は飲まなければいけない よかこさんは寂しそうな顔をあげ て ええでも私長生きしようとは思わないん ですもの それだよそれがいけないん だねえ京子さんそうでしょう ええ本当に早く死ぬなんてつまらないこと です わ明るい希望をお持ちになると病気なんか すぐ治るに決まってます わ独断そのもので ある意も簡単に病気が治るようなことを 言うからこうさりられても党の病人はつい ていかれぬ気持ちで あろうかは私の方に向き直っ て恵医はしかし近頃困ったものだね例の 論語研究会の奥田ト吉郎という先生が 海老塚さんの紹介場を自賛して宣告やって きたのだけれど僕のところの客人方に一度 議論を講じたい自分の方から出張するが いつが都合がよろしいかとういうのだ よちょうど八丁花の荒博す刑事が来行して いたから頼んで追い返してもらったが ね海老塚さんの紹介場というものが 馬鹿馬鹿しいもので一石講じてもらうのが 皆さんのためだ奥田という人は天才であり 成人であるというような常識外れの文面だ から頭がどうかして よ論語の先生は正気なのか い強心のとはみんな要するに強心だから 狂人に決まったようなもの だろう愛嬌に一石講じてもらうのも面白 そうじゃないか差し詰め単語の小説なんか に出没しそうな人物だから先生大いに面白 がって色々立てたり冷やかしたりすること だろう録の金作なんかも終戦以来は変人 鬼人狂人ばっかり登場させて やがる戦争この方狂人が主役を演じるご 時世なのかもしれない ねへそだしレビューもロンゴ先生も背中 合わせの萩とつきか ね全くだね坂口安子という先生の小説なも へそレビューとロンゴ先生の抱き合わせ みたいなものじゃないか 実はね八丁花先生が僕たちに何か聞きたい ことがあるのだそう だ私たちはかこさんと教子を残して部屋を 出 た八丁花はかの部屋に私たちを待ってい た彩佳さんは夕食のお手伝いに調理場へ 立ち去っ た八丁花はアピ女子と一緒であっ たごそろ愛すみません 八丁花は無骨だけれどもなかなか礼儀 正しいところがあってペコンと1つ頭を 下げ た今日は1つ分断の事情についてお話を 伺いたいのです がもち月大神さんは敵がたくさんあった そうです ねどんな敵です か文学上の敵ですよ望月さんが亡くなら れるとどんな方々が喜びますか まず誰1人喜ばぬものはありませんなさか 仲間に毛嫌いされていましたよブレ粗雑な やつですからな元より私も大喜び です文子はみんな焼きもち焼き でしょとアピ女子がキンキンわめくように 突撃してき たあなたは自信がないんでしょ才能が足り ないからよだから気持ち焼きなのね 浅まし頭へピンと来ないからね全く不幸の 至りですよ私たちは確かに頭が悪いんだ な望月さんが亡くなるとあなたの元康の 売口が増すの ねお説の通り ですところで社さん文学上のつまり才能の 嫉妬からですな人を殺すということが考え られます かそれ は考えられます よ色々の可能性の中でそんなことは極めて ありそうなことじゃありません か最もココ東西案外実際にはそんな殺人は 行われていないかもしれませ ん人を殺したからって自分の才能が増す わけじゃないからです な文の嫉妬はは明星の問題じゃなく才能の 問題だから殺して自分の才能がどうなる わけでもないとすりゃ案外こんな殺人は 滅多に怒らないのが自然かもしれませ んなるほど全くそうかもしれませ ん何気によらず芸の嫉妬で人を殺すあり そうでほとんど聞かないものですから ななるほど殺したところで自分の才能に 代わりがなきゃ殺したところで仕方のない ようなものです なところで大変失礼な質問ですが皆さん こうして事件の家中に生活して いらっしゃるそれも1度の事件じゃなしに 3日も続いて皆様のお知り合いの方々が4 人も続いて殺さ れる別におかっpublic根性という やつじゃなくても誰しも心に自然にうり 思い当たるようことが終わりだろうと思い ますがこれは私の邪でしょう かそれは まあ誰しもいくらか素人探偵的な気持ちに ならざるを得ないでしょう ないやごもっともです人間の自然の気持ち が当然そういうものでしょう なつきましては厚かましいお願いですが1 つ皆さんの秘密の位を漏らしていただき たい もちろん差し障りのない方法によってです な例えば慰み半分で結構ですが犯人勝ての 投票遊びというようなことをやって いただく私どもが主催しますと角が立ち ますからこれを社さんから冗談のように 持ち出して いただくいかがでしょうか全く冗談半分 慰みでよろしいのです がそれはしかし 結局つまらぬことですよ大体我々が素人 探偵気取りで各々何かと看るところもある でしょうがおそらくその結果として誰が 犯人だという結論を持っているものはい ないだろうと思います ね私自身も元よりそうです よ犯人は誰かと聞かれたってとても答える 推理の根拠がないですから な元より それで結構ですよ分からぬ人は分からぬと いう答案でよろしいではありません かあるいはまた明確には分からなくとも誰 が臭いとか怪しいとか漠然と思っている方 もあるかもしれませ んそれぞれ自分勝手の方式で秘密の疑惑を 聞かせていただければありがたいことです な私はしかしその主催者はごめんですよ堂 とあなた方が催しておやり なさい角が立つと言ったって元々品の良い ことじゃないのですからあなた方はご自分 で責任を持たない方はありません よ人を手先に使うなんてますます品が悪く なるばかりのことです よあピンさんのご司会などが大変面白 かろうじゃありません かおっしゃいましたわね品がいいとか悪い とかご自分はなんですかあなたは歌さんの おめかけとできた人じゃありませんか おまけにそのおめかけを連れて元の主人の タへのこのこ遊びにくる心臓は毛が生え てるどころかクの毛皮でできてるような もんじゃない のそれで自分は品が良いとでも思っている なら警察のやることなんかは神様の審判の ようなものじゃないの身のほどを知るが いい よ大変なご件で あるしかし犯人あっこの投票遊戯などと いう慰み半分の悠長査は消しとばざるを得 ないような大変なことになっ た14聖処女と最後の 晩餐我々がまだ食卓につかずみんな広間に 集まって飲み助組はちびりちびりと ウイスキーなど舐めている時海老塚石が背 のひょろ高い30ぐらいの丸坊主の男を 連れて入ってき た頬骨が飛び出して青ざめて栄養不良の 見本のような男であっ たまさしくこの時この部屋の鳩時計が7時 を告げ た海老塚石がもったいぶったそぶり で皆さんここに奥田都木郎先生をご紹介 申し上げ ます論語の研究家と申しますよりも最も 誠実な論語の実践家であり苦行者であり 聖者であり ます成人は青めた顔をビリビリとふわせ ながら何か必死の持ちで一度を見つめ ながら人はパンのためにのみ生きるもので はないと申します がおいおいそれは論語の言葉じゃないぜ ののことと恐れげもなく現れやがっ て和洋接中の安説法ってのがあるがいキグ ざめ痩せても枯れても芸術家は金本の物 事体というやつなん だレデメイドと違うんだから 着いざるは 引っ込め酒の魚にもならん ぞとピカ一が腹を立てて青筋を立てて 睨みつけ た瞳コがそれを引き取っ て全く不愉快先番じゃないかおい海老塚君 我々の集まりに君自身が顔を出すさえ無益 不快であるというのに我々の同意も待たず 未知の人を連れてくるとは何事だ い我々は君の家の客人ではないのだ ぜ論語は霊を解いているが論語の先生 そもそも出現の方法からして論を裏切る こと華々しいじゃない かかも立腹し て海原さんこの集まりの主人である私が その人物の侵入を許しませんから去って くださいあなたも当分この集まりには出席 なさらぬ方がよろしいよう です計らざるかの動きに器を疲れて海老塚 は唇をビクビク振るわせながらしばらく 言葉を失っていた が皮肉屋の単語が私の予想通りにゆっくり と最もらしい静かな声 でロゴ成人のご説法なんて東京じゃ聞け ないことだ ね礼儀などという常識論にこだわることは ない さ霊の常を湧きまえざるところにこの成人 の偉さがあるかもしれないよ未だ進化を 極めざるうちに向こう水に追っ払うという のは芸能人の心構えに反するところじゃ ない かいい加減に しろお前は型通りのことしか言えないやつ だな 自分の好き嫌いも分からずに新しそうな方 でばっかりもを言って やがるだからお前の文学はいつまで立って も偽物なん だ大人とお前とじゃお月様とすぽ以上に 開きがあら なピカ一はつったって成人の肩へ両手を かけてぐるりと後ろ向きに回し てざあ歩いた 固く侵入罪という法律にも反している よ当局に訴えずに勘弁してあげるから ならんと消えてなくなりなさいさあ あにこの成人は昔は大人に人たまりもなく 伸ばされて海老塚委員にお世話になった こともあり見るからに大人に貫禄を劣ら ざる豪の出現にますますただも青めて2月 げずフラフラと押し出されて食堂の扉から 外へ突き飛ばされてしまっ た海老塚もその後を追って食堂の扉から 一緒に去って見えなくなっ た食卓の用意ができ た まくキグ医者にも手こずるけれど単語と いう偽物芸術家には嫌な思いをさせられる な 本人は気になって言やがるから花持ちなら ないことをねえかこ さんいい名前だなそれにあなたはいかにも 心の筋が通った感じだ な単語みたいな偽物に比べると物の本当の 姿を見届けている深さが伺われる なあさあお嬢さん 私はあなたの隣へ座らせていただきます よ私はねあなたのような心の正しい深いお 方はからかったり口説いたりいたしません からあなたの深い静かな心に移った物事の よもや話を聞かせていただこうじゃあり ません かはさんに椅子を進めてその隣へ自分が 座っ たおかげで京子はかこさんから離れて しまっ たしかしかこさんはなんとなくピカ一が気 に目した様子で彼の話にまともにあれかれ 話をかわしている様が私たちには異様で あるがしかし鬼娘というものはこういう男 にかかると手もなく手付けられるのかも しれ ない神山東洋の奥さん木曾と女中のの屋が いつもの例で9事に出て いる食事のコースが半ばを過ぎた頃海老塚 が思を回って広間の方から食堂へ入ってき たが彼の席の儲けがないので木野さん がお料理は用意してありますのよ今先生の 席 をと隅から椅子を動かそうとするとかが いつになく景色ばんだ顔を上げ てえ水さんこの集まりの方々とあなたとは 気質が違いすぎているよう ですあなたはそれでもこの集まりにこうし て出席なさるところを見るとどこかお気に 召していらっしゃるのかもしれません が他の方々はあなたの出席に不快を覚え られるばかりのようですからただいま限り この集まりから身を引いていただきたいの ですお食事は思の方でお取り まさしくそうでなければなら ぬ私も気質が違っているがこれは警官の 金属例によってこのましかららぬ思いを 抱いてしんでいる犠牲者だ よとピカ一は胸を叩い て 全くさんの美しさ静かさ深さに比べると やかなどという女は孔雀の羽をつけたなん とかいうあれです よ失礼ながら女流流行作家内木明子さんと いえどもその魂のあり方位置の正しさ魂の 悲劇的な深さ静かさそれにおいて果たして 聖処女かこさんにまさるところがあるのか な いやあ失礼あえて美貌の政党詩人を怒らせ てまでかこさんを賛美する私の順序という ものは我ながらあっぱれなものじゃない か いえ嘉一さんの順調はどなたにも増して私 が認めておりますの よとうさんがあみながら目にいっぱい媚び を称えていった さんならどんなに賛美なさってもよろしい わ本当に私なんかは女のクズのようなもの ですからいやあき子さんあすみません あなたの高成関大な気質については兼ねて 知り尽くしているのです よそこに甘えているのです なあ肝心 態度あなたは全くわのような正当詩人で いらせ られるこんな時せめてうみさんが生きて いらっしゃると何か一言ピカ一さんを やり込めるようなことを言ってくださる でしょうに本当に憎らしい方 ねうみだったら差し詰め 憎らしいねとは人間的だなというような ことを言いやしません かと瞳が明子さんの方をし た人肉的というの さと木米も不強な顔を女房の反対側に背け ていっ た俺は女房を肉欲的に下げすむ後人は軽蔑 する なあとピカ一は済ましたもの だその時彩佳さんが立って臨の教子に何か ひそひそさいていたが2人が立って食堂を 出ていった 数分の後戻ってきて京子が私のとろへ来 て彩佳様とご苦情へ行っていたのよ1人 じゃ怖いからとおっしゃって私も一緒に 行ってあげた のそしたら庭の奥を人が隠れる姿が見えた とおっしゃるのよなんだか怖いからあなた 見て くださる彩佳さんからかに話したものと 見えてかも立ってきた 私も立って小博士呼び彩佳さんの案内でや と感をつるかの便所へ行っ た妖怪の絵花の便所は宇の斬殺された隣だ からご婦人連が底を避けるのは当然であっ たすると廊下の 外重の表座敷の方に人影があるから追加し てみると読み過ぎ先生で あるあら さんでしたの ああちょっとブラブラなんとなく警戒 いたしておるの です毎日です かそうですよあなた方が寝静まってからも 私たちはそれとなく警戒いたしております よじゃあ今庭の奥の茂みへ隠れたのも刑事 さんかしら庭の滝の上の方にもどなたか 警戒していらっしゃる さあどうですか別に打ち合わせてはあり ませんが八丁原でもいるのかないや八丁花 は他の仕事があるはずだ が私が1つ見回ってき ましょう彩佳さんはホットアンドの様子で あっ た私とかはたったついでに世を渡して私が 先に戻ってき たみんなぞろぞろ出たものだからそれに 引かされたらし 私と入れ違いに木米と神山洋が立って用を 足して戻ってき たその時コーヒーが配られてい たやがピカ一のとろへコーヒーを運んで 卓上へ置くとピカイチは茶碗を手に取り 撫で回しひねくり回し てちくしおめえ相変わらずかけた茶碗を 回しやがる なとじろりとを たお前さんが暴れてコーヒージワを書いた のだから自業自得 すとややはピカ一を好まぬ らしいあれか様にあれをあげればよかった こっちがもっとかけている もの先日ピカイチが暴れた時テーブルが ひっくり返ってコーヒージワが1ダスほど かけたり割れてしまった それ以来コーヒー茶碗の数が1つ足りなく なってピカ一には必ずかけた茶碗を回す 習慣になってい た今夜はかこさんが現れたからかこさんに も淵のかけた茶碗が回ったので あるかこさんは女中の子供であるから客人 に比べて待遇が悪いのは仕方が ないややは習慣の通りいつものピカイチ用 の茶碗をピカイチに配ったからかこさんは はピカ一よりも淵のかめの大きな茶碗が 回ったので あるじゃあかこさんにはこっちの方を 差し上げましょうこっちはいくらかけめが 少ないや ねとピカ一はかこさんとコーヒーを 取り替え たかこさんはコーヒーをかき混ぜて一口2 口飲んだがなんとなく異様な顔つきで いかしそうにそっと茶碗を置きながら眺め てうちに茶碗を落としてにわかに 立ち上がると大きな目を見開き胸を かきむしって飲めるようにテーブルの上に 四つばになり倒れてしまっ たピカイチがあけに取られて抱きよこそう とした時にはピカイチの腕の中から ずるずると床の上へ沈み落ちるばかりで あっ たピカはを抱きゆすりながらアのような顔 を浮かべ ておい医者を呼べ何をグズグズしているか 早く医者を 呼べわからないのかちくしめおいてめえら 何よぼんやり おい医者を呼べと言ったらバカ野郎め が京子とかが飛んで行って解放する海老塚 医師も意外にすぐ現れて12分脈を取る とすぐ首を振って立ち上がっ たその 時桜乱した我がのようなピカイチの声が 轟い た動くな外へ出るなテーブルの上のものを 動かす なかこさんは毒殺されたんだ ぞ俺の代わりに殺されたんだ ちくし俺に毒を盛り上がったバカ野郎 見ろ死んだのはかこさんだけだ椅子に つけ元の席に つけピカ一の凶暴な目はララと燃えて彩佳 さんに注がれてい た彼はふに興奮してたで激しく息をして いるその時下上さんが戸惑ったように扉を 開けて現れ て海老塚先生はいらっしゃいます か海老塚は顔を上げていぶかしげに 振り向い た神山東洋が大きな声 でおりますよと答える とすぐ来ていただきたいのですけど旦那様 のご様子が変 でそう言いながら倒れているかこさんに目 を止めてもう少しで出身しそうにこらえて いる様子であっ た神山東洋の大きな声 が長生のように不気味に轟い た8 時40 分15 佐藤壺とピカ一の 手品かこさんの死体が運びたられ私たちと それに壺兵塞女中のやらが広間に缶詰めに されて食道と調理場は封印され た研修を終えた神警部の一行が下さんや もい看護婦を従えて広間へ現れたのは9時 半ちょっと過ぎたところで彼らはまずと 調理を調査した後我々の前へ現れ て皆さんまたまた野分ご迷惑なこと でしょうが付き合っていただかなければ ならなくなりまし た我々の無能を誠に残機に耐えません が我々の相手はまさしく悪魔の中の天才で あり ます神警部もどうやら坂興奮の君で平の 冷静を失い満々 年がもなくきって いる痕跡異なる場所において同時に2つの 殺人が行われました が2 つ内木明子女子が思わず叫ん だ神警部は頷い て作用2 つ歌多氏とお さんしかしみの行われましたはこの一角 ですつまりお二方とも食べ物に購入された 毒物によりますもの でよさんは生産借り歌タモ氏はモヒによっ て殺害されまし たこれには全く驚い た多門老人はコーヒーではなくプリンの中 へ購入されていたモヒで死んだというので あっ たまず壺兵夫妻が尋問されたが多門老人は 獣肉を避け魚肉もごくタパなものに限って 用いる霊であるから我々とは献立が違って いるこの日は鮎の塩焼き恋の洗いに吸物 やこ豆腐押しという献立であっ た多門老人の夕食には食後にプリンを 食べる昼食にはゼリーであるがこれはこの 春以来彩佳さんが作ることになっていた モルヒネはプリンの中に煮込まれていた もので製品の上へ誰かが振りまいたという 性質のものではなかっ たでも想像もつきませんわ私がプリンを こらえている間別に何事もなかったのです ものその場から離れた覚えもございません し怪しいこともございませ んいつ頃ですかプリンを作られたのは 4時頃かと思います刑事の方がお見えに なって社さんに会いたいとおっしゃいます ので社さんのお部屋へ参りまして言わして いらしたかこさんとご挨拶などしてそれ から調理場へ行きましたのまずプリンを 作って冷蔵庫へ入れまし た奥様もしやおさ にと壺兵の将さんが言葉を挟んだ 彩佳さんは目を大きく見開いて女将さんの 顔を見ていたが蒸気して目の輝きが増して き た一体砂糖がどうしたの ですと冠警部に聞かれて壺兵の将さんが 答え た旦那様はお体に行けないそうで普通の 砂糖はお召し上がらぬ習慣でし たビト刀を用いまして旦那様の召し上がり にに限ってお砂糖だけは特別の壺砂糖のお 砂糖を用いる例にいしておりますの でたちに食堂のお砂糖お醤油綿密な調査が 行われたが多門老人の砂糖ツに限って注意 してみればそれと分かる多量のモヒが購入 されていることが発見され た砂糖ツは一貫切りのガラスツであるが 砂糖はまだ半分入っておりこの日までは 料理に用いて異常のなかったものであっ たプリンに砂糖を用いたほ別の料理に用い ましたか ね夕食の召し上がり前には他に用いており ませ んと壺兵が恐る恐る答え た彼は顔色を失ってい たプリンの前に砂糖を用いたのはいつ頃 でしたね ご昼食の紅茶には用いましたご昼食は サンドイッチでしたので2号の牛乳に時間 に紅茶とお砂糖を入れて煮ました が相当多量に用いたわけだ ねまあ作用ですプリンに用いる分量ぐらい は用いたろうと思います が歌川さんはそれを全部飲みましたか 壺兵が答えることができずにいると下さん が全部飲みでし たあなたがお事したのです ね はいその後に別に異常はなかったのです ねございませ ん紅茶の支度はいつ頃でし た旦那様の昼食は12時半夜食は8時と 定めてありましてその10分前ぐらいに いつも下さんがお前を取りに参られます から間に合うように用意いたしており ますちょうど12時半10分前にでき たろうと思います が神警部は頷い た12時20分から4時までの間に誰か 佐藤壺に手を触れた方がありました か壺兵は恐縮して 手前はどうも一向に え注意もいたしておりません でずっと食堂にいなかったからね へい昼休みに部屋へ下がりまして手前は3 時頃まで一服平服しておりましたが女房は あと始末に1時半頃まで調理場におりまし たかと存じ ますはい皿洗いをしておりまし た神山様の奥様が手伝ってくださいまして お部屋へ戻りましたのは1時半頃でござい ますその間にどなたか調理場へ見えた方が あったか ねご昼食の後は皆様お昼寝をなさいます ようで3時頃までは調理場お見えの方は 滅多にございません です3時過ぎに私たちが調理場へ出まして からは奥様はめ内木様社様の奥様神山様の 奥様色々お見えになりましたが砂つに手を 触れた方はお一方もございませ ん一時半から3時までは調理場は無人だっ たわけです ねさよでございますただ2時頃でしたかあ が到来いたしましたそうで井さんが届けて くださいました あなたがそれを受け取ったのです ね いいえ冷蔵庫へ入れておきましたからと おっしゃって扉の外から工場だけで変られ ましたの ですここでは使用人たちが昼食後昼寝 いたしますのが習慣でして皆さんそれをえ ておられますので休息の邪魔にならぬよう 行き届いた注意を払ってくださるの です神警部は今日に狩られた顔つきで もろい看護をじろじろと見つめ たあなたは近頃病院勤務は廃業ですか ね午前8時から11時半まで千草様の事件 この方おゆ様の病態が悪化しておりますの で旦那様のご命令でござい ますもろい看護婦は相変わらず平然たる もので ある大人物と言われるほどの男でもと男と いうものは相手によって態度が変わるもの であるがもろい看護婦は水のごとき無表情 大公爵でも神鬼警部でもびくともしない 辛々は見上げたもので あるあゆを運ぶのもあなたの仕事のうち です かあの時間に当家で目を覚ましている使用 人は私の他にはございませ んその時調理場は無人でしたね いいえ1人い方があり ます思わず一座は緊張し た神警部は最下丹田に力を込める身の構え で誰でした かおか 様混乱した人々の思いが気配となって動い ている神警部の全身に気迫がこもっ たもいさんあなたは死人に口がないという ことを感情に入れています ねもろい看護婦は冷然とを抱い てそうかもしれませんそのために私の言葉 が信用されないという馬鹿らしさ をおさんは何をしていました かお水を飲みに来たのだとおっしゃってい ました私が冷蔵庫に鮎を入れているうちに 出て行かれたのです 私が調理場を出るとおかさんはこの広間の 椅子にかけて読書しておられまし た社さんの奥様を尋ねたけれどお昼寝の ようだからとおっしゃっていまし た私もこの広までおか様を見かけましたの 2時40分頃でしたわやっぱり読書して いらしたの ですと胡蝶さんが言葉を挟んだ もう11時近い時間になってい た神警部はイライラし てそれでは神山さん職業柄あなたは 行き届いた観察癌をお持ちのようですから 夕食の様子についてお聞かせ くださいそうです かそれでは皆さんを代表して私から 申し上げ ましょうさすがにに離れたものであっ た宣告まではまださほどではなかった けれどもこうして指名を受けて一座を代表 したとなるとまるで貫禄が違って くる神警部も秘めに見えるくらい調べの席 にはどにいった呼吸を備えているので あるまず夕食の始まる直前のことでしたが 私どもが広間へ集まりまして食卓の用意が できるまで思い思いにビール酒など飲んで おった時 ですちょうどこの鳩時計が7時を打ちまし た念のために申し上げておきますがこの 鳩時計は4分ほど遅れており ますこの鳩時計が7時を打った時に海原石 が論語研究会奥田何がしという青ざめて ひろ高い軍服の人物を連れてきまし た海老塚さんの一場の紹介があって早速 この成人が説法に 取りかかり人はパンのみによってくるもの にあらずと言いかけますとドイヶ白が成人 を張ったと睨ん でバカ野郎め皇子様にそんな文句があるか い 我々物自体の作家に向かって和洋接中の 説法は怪しかららんやつだひとコさんも 礼儀を湧きまえぬやつ目と 起こる単子さんだけが成人の見方をした ようですが結局主人のかさんが堅く侵入を 許さずということになってドヶ白が 回れ右おいにおいに食堂のドアから外へ 突き出しました よ海老塚さんも一緒に出まし たあの時私は気がかりでしたが恵さん あなた方は靴を脱いで小屋の方から来られ たのでした なあ裸で歩いて行きましたか 海老塚医師は光る目玉をぐるぐる回して いるだけで返事をしなかっ たこれだけの前走局があっていよいよ本気 に取りかかるのです がするとピカ一が遮切っ てその次のことは俺に言わせて もらおう食事の終わりに近い頃になって家 の人が京子さんに耳打ちして2人揃って堂 を出ていっ たまもなく戻ってきて今度は社君か君小君 を語って5人で食堂を出ていっ たその後で急にごちゃごちゃしてまだ23 人出入りがあったがそれは僕はよく記憶が ないその時コーヒーが運ばれていたの だ警部さんよく聞いてくださいよ私の コーヒージワだけは目印があるのだよ縁が かけているの だコーヒージワを1出すほどぶっ壊したの は正しく俺だけれどもしかしこれだけの 大下に変わりがないとはおかしいじゃない か1週間ほど前からあんたが壊したのだ からこれはあんたのよと言って必ずかけた コーヒージワを持って そこにいる女中目がそう言いおるのでさ 聞いてごらん なさいこれには差し金があります よ計画があってのこと だその差し金が何人であるかそれは言う までもなく皆さんお分かりのことでさ ねそして金ての計画通り俺の茶に生産借を 入れやがったので さするとあにかこさんの茶碗もかけていた 俺の茶碗以上の賭があるからそれじゃあ 変えてあげましょうと取り替えたのが悲劇 の元 さ俺だったら生産カのコーヒーなんかあ ピンじゃないがピンときてすぐ吐き出す ねふみでさ ね刑さん 食事の終わり頃食堂を出入りした連中を 調べてみりゃ犯人は出てきま ねあなたはなぜコーヒー茶碗を取り替えた のです か神警部が珍しそうに 聞く当たり前さ俺はご夫人のために現場の ロを尽くすことを人生の目的としているの だからさう おっしゃいあなたがご自分のお茶碗に生産 借を入れてかこさんに差し上げたの です彩佳さんは怒りに震えてピカイチを 睨んだがピカイチはふんという顔をして 取り合わ ない彩佳さんは怒り浸透に発し てこの人は手品の名人なんですコーヒー 茶碗へ毒薬を入れるくらい子供魂にやれる んですの よ花札でもタイスでも爆チチよりも インチキが達しなの です指先の魔術使いなんです わピカ一のソファーの傍にちょうど5番が あっ たピカイチはご石を1つつまみ上げた そして彩佳さんをからかうように指先に 小石を挟んで腕を突き飛ばし た指先の御石は変幻出没小石が人を からかうような生き物のような自在さで あるピカイチは指の魔術を使いながら優先 とし て都 東西ここ元ご覧に入れまする曲芸は白黒 無限の恋のき あい黒石の他にもう1つ白石をつまんで2 つ一時に指に 挟む出没自由熟の妙を極めて いるピカ一はゆうゆうと彩佳さんを見つめ て殺人教じゃあまいし俺が何のためにかこ さんを殺すの だ全て殺人には同機があるまず同級を探し てもらいましょうはい東西 東西警部はどうやら内心興奮を抑えかねて いるらしくしかしまずゆうゆうとタバコに 火をつけて人々を見回し たむに彩さんに向かっ て奥様が社夫人と食堂を出て行かれたのは 何か御用があってです か彩佳さんは顔をわかめたが京子も もじもじ答えることができないの でご府条へ参ったの です仕方なしに彩佳さんが言った 1人で参るのが心細かったものですから 京子様にお願いして一緒に行っていただい たの です便所の窓からふと滝の後ろの山の方を 見ました時誰やら人の姿が隠れたのが見え たの ですあそこにはあに1か所その他灯ろに2 か所ほど明りがありますので部分によって ほんのり見えるところと暗闇と入り混じっ ておりまして 私の見た人影はちょうどその教会あたりに 当たっておりましたから瞬間のうちに暗闇 へ消え隠れてしまったの ですこんな場合でございますので恐ろしく なって主人や社さんや小さんに来て いただいてちょうど長畑警部もいらしたの で調べていただきましたの です神警部は頷い て読み過ぎはさっき調べてきたのだねね はあ早速駆けつけてみましたがもう人影は 見当たりませんでした何分直線に 駆けつけるわけにはいかないところで感を 一回りしておまけに庭の道ときては迷路の ようなものですから なそれは1人じゃ手に終えるはずがない から仕方がある まい神警部は部下を至っ たそれで皆さん すぐ食堂へ戻られました か私はついでに4を足して戻りましたが かずも小博士も多分そうだったようです ね私がこう言うとかと小博士は頷い た3人ご一緒に食堂へ戻りました か一緒に戻る理由も別にありませんからな 別々に戻ったよう です奥様と社夫人は 先に一緒に戻られました かちょっと調理場を覗いたり女中に言葉を かけたりなぞいたしましたけれど私どもも 別に一緒ということを意識いたしてはおり ませんので京子様が先でしたかもしれませ んでもほとんどご一緒のようでしたわ私も 壺兵の女将さんに話しかけたりして ちょっと調理場を眺めていましたから別に 何という理由もなかったのですけど と警部は大きく頷い たその時調理場にはコーヒーの用意ができ ておりました か用意はできておりまし た彩佳さんは決然たる視線ではっきり警部 を見つめていっ たしかし声は決意にも関わらずさすがに 自然に低かっ た私たちが戻ります時ちょコーヒーのお 茶碗が広間の底のテーブルの上に並べられ ているところでし たお茶碗にはコーヒーが継がれていたの です か継がれておりましたお砂糖もミルクも 調理場で入れてここへ運んで並べている ところでし た神警部は食堂からピカ一とかこさんの 茶碗を取り寄せてゆっくり眺めまし たピカ一の茶碗の縁は1箇所は小さくかけ ていたがかこさんの茶碗は2箇所に大きく 2か所に小さくかけてい た神警部は顔を上げて女中の屋を見 たどっちの茶碗が土産の専用だ ねはいそっち ですと間違いなく掛け目の少ない方をさし て答え た他にかめのない茶碗音はないか ねはいございません戦争中からいくつと なく割りましたまま新しく買ったことが ございませんの で警部は頷い て近頃は安物ばかりでおまけに目の玉の 飛び出る値段だから ねそれから私とかに向かっ てあなた方もそこのテーブルの上の コーヒー茶碗を見ました か私たちも頷いた その他に23人お立ちになった方がある そうですがどなたでした か私が立ちました よと上山東洋が答え た続いて木米が僕もと答え たあなた方もテーブルの上のコーヒージワ を見ました か私が便所から戻る時はそれを食堂へ運ん でいる時でしたよ いくつかはテーブルの上に残っていたかも しれないがあんまり注意も払いませんでし たから分かりません ね僕が戻る時はもうコーヒー茶碗はなかっ たようだ な僕はしかし海老塚医師がその時コーヒー のコップを握って飲みながら調理場から出 てきたのを見まし た警部は意外な顔をした塚さんは食堂に いらっしゃらなかったのです か僕は調理場で食事をしまし た相口のような冷たさでぶっきらぼうで ある神山東洋がそれを引き取っ てこれには市場の説明がいるのです よドイ画伯が真ん中を飛ばして前走局から いきなりフィナーレへ移ったものですから ね 食事の途中に海原さんが多分成人に因果を 含めて別れていらしたのでしょうが食堂へ 戻っていらし たするとかさんが海原さんと客人たちでは 気質が違うからこの席へは出席しないよう にしてほしいとおっしゃっ たそれで食堂を立ち去られたのです 海老塚さんは食堂にいらっしゃらなかった のです か海老塚がそれからずっと調理場に食事を していたという事実は我々に少なからぬ 疑惑と動揺を与え たその中でもピカ一は面食らった様子で あっ たわけが分からなくなったという持ちで不 機嫌に口をつんで いる調理場のどこのとで食事をおりました がという問いに海老塚はじろりと反抗を 見せただけで返事をしようとし ない壺兵の女将さんが変わって答えて料理 の性質によって仕事場の多忙の場所が変化 するたびにあっちへ移りこっちへ行き時に は椅子にかけたり時には立ったまま食事を していたということであっ た尋問が終わって警官の一がきあげる ピカ一はやや難しそうな顔つき で警部さん俺もう嫌になったね東京へ帰っ ちゃいけないか なそうです なあ無理にお引き止めはできませんが特別 の差し障りがなかったらもうしばらく滞在 していただければ何かと都合です がそうですか別にはないけれどもね私は秋 の展覧会の作品ももう書き上げているから そっちの心配もないのだけれど嫌だな俺は とにかく明日から俺の食べ物は俺に作らせ てもらう ぜ行けませんわそんなあなたが いやらしいあなたこそ私たちを毒殺しかね ない悪者 です彩佳さんが叫んだ 神警部が口を挟ん でそうですなあそれじゃあどうでしょう アタピンを毎日差し向けますから料理に 立ち合わせたらえ心得ました私の目の黒い うちは大丈夫 ポンと胸をたかんばかりの心 笑顔この中に犯人がいらっしゃるかしれ ませんけど私が睨んだら怖いんです よそれから多門老人とかこさんのおつをし て私の寝たのは2時過ぎであっ た16疑けの 秘密警官からの希望で多門老人の遺言場を 調べることになったが金庫を開けると簡単 に出てき たしかし公式なものではなくただ他門の 署名があるだけのもの月日は昭和22年7 月24日つまり殺される2日前に書いた ばかりのものであっ たこの遺言はかずにとっては全く意外な ものであっ た多門はまずかこが玉泣きのゆい1の娘で あることを告白し遺産の全部をかとかの 両名で公平に2分すべきことを書き残して いるのであっ たその他に分配に先立っておゆば様片倉 政治郎を両名に20万円ずつ与えるように と書いてあっ た片倉政治郎とはどなたです か一生当家に使えた番頭ですが この春から病気になって給養しているもの ですもう76の老齢です から神警部は遺言のうを取り片倉政治郎の 住所を聞いて立ち去ったが遺言上の発見に よってかこさんの殺害に有力な同機が 見出されたということに関心を深めたこと は察せられ たところが警部の一行と行き違いに片倉は 家人にきわれ車に揺られて主へ長文に来た ので あるもう歩にもほとんど困難な病体だっ た彼は主人の意外の前にぬかづけて物の 10分は顔を上げることができなかっ た警部の一行は行先を知って引き返し意外 のある部屋で片倉老人の話を聞いたがかと 私もその席にい 当家に使えて何年ほどになります か私の16の年です から当年 7660年前の大昔になります なあその頃は家の財産も直で10万か 123 わずかそれだけの格で やっぱりその頃から屈の長者でありまし た自性の 移り変わりまた当節の大変動にも驚きます が配線とあればこれも然でありましょう か片倉老人は闇衰えていたが頭はしっかり しており何らの学歴もなかったけれど着実 な見識を備えているのが察せられ た警部の態度も自然に改まってい た岡さんの母親が自殺したということは 事実です かさ です倉老人はを閉じて物でもつくように口 の中で行っ た神警部は意外にも深い割りを込めて老人 を見つめ ながら片倉さん無論我々も警察や役場の 古い記録を調べて表面のことはとくに理解 しているの です一生の誠意と愛を捧げられた主家の 秘密についてお年寄りに無慈悲な告白を 強いるなどとは誠に心ない号で我ながら鬼 のようだと思いますがしかし片倉さん今や こうして当家に続出している機械な犯罪に ついて思いをいす時その無慈悲をあえてし ても物事の真相を突き止めなければ犯人の 姿もまた突き止めることができないのです よ誠にごりと思いますが決して多言はませ ん家の古い傷についても公人としては一切 聞かないことにいたしますから曲げて真相 を打ち明けていただきたいの ですこう言って神警部は老人を見 た老人の目は穏やかな理解の色が静かに こもって警部の心を受け入れたようであっ た岡さんの母親は自殺ではなく他殺であっ たということが一部の老人に言い伝えられ ているのですがこれは事実でしょう か老人は目を閉じてしばらく答えなかった が警部 さんそれは私にも分かりませ ぬ思えば私の警察が家にご迷惑ををおかけ しておるかもしれませんの じゃあの人の首をくった物置きは今は 取り壊してありません が首の後ろに1つ結んで物置きの針に ぶら下がったの がしごきが切れ て下 落ち て断れてい たこのしきがおかじ様の持ち物だったの とその場に残された死人の履き物がおじ様 のものと本人のものと方形ずつになって おっ たそそれを見 て私がとっさにはっとしておかじ様の下駄 を 隠し首の紐も解い て隠し て別の縄にすり替え た山奥の駐在の当時のこと で縄を解いて人口呼吸をしたと言ってなん なく言い逃れ て自殺ということで通りましたが秘密は 必ず漏れるもの でそんな噂が今もって残っているの も元はといえば私の 警察全くの ところ くくりまで自殺であろうということ を私は ずっと信じていますの じゃおじ様はヒステリー症のお方であった が 何人が さて痩せてひで人をしめす腕力などのない ことは冷静に考えてみれば誰にも差しの つくことだ がとっさのことで私は一途に思い込んで 慌てしたの ですまの悪いこと にその当時旦那様の秘書して当家に より私ととにかけつけたの が 神山東洋という悪ですの じゃ我々のは深であっ た私や警部にましてかの驚きはひどかっ た彼は 青め全身が石のように固まってい た警部は道場を表して頷い てよくわかりましたそれでは神山東洋と いう人が疑を譲っていたという風説も嘘で はなかったです な片倉老人は1分間ほど急速とでも言う ように沈黙していた が神山東洋のゆりに はもう1つ家の秘密があるのです じゃこのことは若旦那様もご存じないかも しれま このような事件がなければ全てを私の棺に 閉じてもらさぬつもりでおりましたのじゃ が何がさて今度の騒ぎは気がかりのこと じゃ私が本日ましたの も長文の他 に実はこのことを若旦那様に申し上げよう ためでしたの です老人はまた休息し た旦那様がまだ二十歳の 時東京の遊学先に 宿の女中とたれて生まれた子供がありまし たの ですこの子供を桃園にあたるエの家へ容姿 に引き取らせ女の方とは手を切りましたが この子供がちずるに連れて まに立ちの良くないお方 で詐欺は やるゆりは やるついには強盗を働いて使いたしたの ですこの方は二十歳の時にもう結婚し て2人の子供が残されたのじゃ が2人の維持の弟にあたるのがただいま この村で医者をしている海老塚浩二という 個人ですの じゃこの個人 は旦那様の孫にあたる個人じゃ その兄のケ太郎というお方 は3年前にサジを残して亡くなられ た三治の頭はまだ11ぐらいの幼少 でこの村から12mほどのM村に 未亡人が百勝をして育てておら れる今はもう同家と無縁 で別に仕送りもいたしてはおりませ ぬ神警部も二の告げぬ低落で あるかは全く青めてしまっ た旦那様の隠し後を海老塚へ容姿に 引き取らせた 時この海老塚という個人は誠に皇な後人で よく約束を守っ て歌は多門様の種であるということはつ ほどももらしませ ぬよって席は実施としてありまする から詐欺は やるゆすりは やるついには強盗まで働いたほどの立ちの よからぬ人物 が死に至るまで 歌多門様の調子であったということを知り ませなんだの ですその維持の元太郎と浩二の うち工事は仲裁でもありましたところ からムソの医者に仕立てるという名目で学 を出してやりました がこれ とても孫であるということは知るよしも ありませなん だただ 1人この秘密を知りましたの が神山東洋という悪者でありますしたの じゃそれ を海老塚医師に教えたのです ね片倉老人はそれには答えずまたしばらく 言葉を休めてい た神やめ はこのことをも種にしておかじ様をゆり おったの じゃ元より な秘密を知るよしもなかったお様は びっくりなされて私に審議を聞きたされた ようなこともありました が神山はえに全てを知らせて財産分配の 訴訟を起こさせるが それでもいいかと言うてゆりおったわけ でしたの じゃ私 は神山目を行くたび殺してやりたいと思う た か知れませ ぬま に殺してやればよくかっ た叱らぬ命 じゃ悔しさこのことばかり に今もっ て死にきれませ ん老人はハラハラと涙を落とし た深い沈黙を破って八花が思わず膝 乗り出し するとおじ様が毒殺されたという風説は根 のないことではありませんな うーんこいつはもう一度初めから新しい根 をほじくり返してかから なきゃ神警部は冷やか に1年前の発掘を掘り出して毒薬が出て くるとでも言うのか いそれから片倉老人に向かって 片倉さん最後にただ1つお聞きしますがか さんそれから亡くなられた玉さんかこさん の他にもはやタモさんの実施は1人も生き ておりません か他には1人も生きた方はおられませ ぬ子供の少ないお方でしたじゃ 17不連続殺人 事件当局の努力にも関わらず確実な証拠は 何1つ見出されないようであっ た神山と海老塚をうりだすとほとんど解決 がついて しまううみ殺しの場合にしても2階の神山 はピカ一の目をごまかせないがエなばん なく絵花の内明を殺すことができたはず だけれどもただ1つ千草さん殺しの場合に は2人のありいが成り立つので ある神山東洋は坊山やかと一緒に仮装場 から戻ってきて五夫神殿とずっと広間に 話し込んでいたことは五夫神殿が口を揃え て証明して いる海老塚は8時頃村の方からやってきて 裏門で私とかにぶつかっ た委員を出かけた時間について冠警部に 問い詰められており木米にやり込められ たりしながら結局返答をしなかったが調査 の結果患者の証言によって6時から7時 20分まで3人の患者を順に応しており この時間には犯罪の余裕が ない7時20分から8時までの間も最後の 患者の家からは歩いてちょうどそれぐらい のもので彼は足が悪いのであるから波の人 よりいくらか時間がかかることも不思議で はないのであっ た神山夫人木野さんも当日はお時の用意に 点てコマで手伝っており調理場を離れ なかったことは多くの証人がおり例の論語 研究家もその日は78に離れた町へ行って おりその町には彼のありを証明する確実な 証人があった 私は当局ばかりじゃなしに小博士も海老塚 と神山について綿密に調査していることを 知っ たしかしやっぱりこの割りをひっくり返す ことはできないようであっ たねえ 博士このいくつかの事件は犯人が別なん じゃないかな疑家の家族に関する事件と千 さんや人や内は犯人が違っているんじゃ ないの か時間的には連続していても同機も犯人も 別な事件が入り混じっていて結局は不連続 殺人事件じゃないの かそうですねこの事件の性格は不連続殺人 事件と言うべきかもしれませ ん私がこれを構成に記録して残す時は不 連続殺人事件と名付けるかもしれませ んなぜなら犯人自身がそこを狙っている からですよつまりどの事件が犯人の意図で あるかそれをごまかすことに主点が置かれ ているからで さなぜなら犯人は真実の同機を見出される ことが恐ろしいのですよ同機が分かること によって犯人が分かるから ですじゃあ全ての事件が同一犯人の仕業な のかい 小博士はニヤニヤしながら頷い たそれは無論のこと決まってまさなぜなら これだけの曰つきの人物が一同に集められ たことそれが偶然によるものではなくて 犯人の意思によってなされたものである からですご丁寧に僕まで呼び寄せやがった のだからいさか尺に触るじゃありません か博士は照れそうな笑い方をしたが私は彼 がすでに何者かを握っていることを悟っ たじゃあ犯人の真実の同気は何だ ね小博士は声を立てて笑っ たそれが分かれば犯人は分かりますわねだ が恐ろしく計画的な犯罪ですよ全てが綿密 に計算されているので さ日本における最も知的な最も大な犯罪な んでしょう なこの犯人は天才でさ ねインテリ型のケチな小工が点で撲殺され ているところなどあっぱれ戦盤というもの で さ扉を糸に結んで自然に閉まる装置をする とか密室の殺人をようとかそういう小工は 小工自身がすでに足跡というものですさ すでに1つの心理を語っているではあり ませんか この犯人は常に心理を語ることを最も恐れ 慎んでいます あれこの恐るべき沈黙性は犯人が天才の 殺人鬼である証拠でしょう な犯人の真実の同機は何かどの殺人事件が 犯人の真の目的であるかともかく事件は 犯人の警告通り8月9日に完結するでが 真実目的の反抗が8月9日に完結するとは 限りません や目的の殺人はとくに終わっているのかも しれません ぜそれなら何もこの警戒厳重の背中に余分 の反抗を付け加える必要はなかろうじゃ ない かつまり真実の動機を隠さなければなら ないから ですしかし8月9日に何が起こるか これは1つのクライマックスでもある でしょう僕はしかし思いますなこの犯人は 8月9日の予告を出したから必ず8月9日 に結婚するというバカみたいに切りがい トマじゃありません ぜなぜなら犯人は時に1日に2つの殺人を あえてするつまり彼氏常に器用を狙い器用 をつくのです 一度毒殺が行われればそれに対する警戒が 加わるだから一気に2つの毒殺を観光して それでおそらく彼氏の毒殺プランは終わり を告げているにそういないと思います よおそらく次の反抗は良きせざる方で行わ れるこれがこの犯人の性格です よだから8月9日をバカ正直に当てにする のも考え物かもしれませんや しかし小博士は決して確信があるものでは なかっ た私は博士が片倉老人を尋ね海老塚の成果 を訪れていたことも知ってい たしかしまたかに疑いをかけているのも 知ってい たなぜなら博士はかに向かっ て僕はしかし歌川先生が海老塚さんの叔父 に当たっていることを知らなかったなんて どうも想像がつかない なおじ様は知らなくっとも当家の跡取の歌 先生にはお父様から打ち明けてあるものと 思いますがあんまり常識外れだ ものかはひどく気を悪くし た私はかに変わっ て博士はあの時いなかったから知らないの だが私はね片倉老人が秘密を打ち明ける席 に言わせていたから見ているんだ よあの時のかの顔というものは呆然実質 全く愕然色を失ったもの だあの表情はどんな名優でも真似ることの できないつまり心の真相の発露だ よあの顔は偽ることのできないもの だこういう真実というものは嘘発見機より も確かだ ぜそうですかな 先生方の文学的方法というものは明々得て 勝手の独断的なもので嘘発見機みたいな 正確なものじゃなさそうだが なあ歌先生がこのことを本当に今まで知ら なかったなんて少なくとも神山東洋師が 知るほどのことを一家の相続人が知らない なんておかしい な神山東陽が知ってなきゃ納得もできる けれ かは全く気悪くした彼は正直にむっし て僕は本当に知りませんよ相続人と言っ たって僕なんかは全く他に相続人がない から相続するというだけのことそれに僕の 親父という人物はお前の代2はお前の勝手 にやるがいい人間死んでしまえば墓なんか もどうでもいいやというぐらい虚に徹した ところのある人物でした よだから旧家の党首に似合わず家という 観念は少なく本来無罪というような冷たい 人間孤独の層を凝視し続けていた人 ですですから案外文学なんかも僕よりも 深く理解しているところがあったかもしれ ないですから一家の古傷のような小さな 秘密など問題にしていなかったのも当然 ですよ たまたまこういう事件が起こってそれが 重大なことになっただけでこんな事件でも 起こらなければどにも足らないことでは ありません か小博士は伊坂照れ ながらそうです なあしかしなんですよそれは僕みたいなう も富もない家庭の出来事ならおっしゃる ようなものでしょうけど全く神山東洋師の ゆすりの種になるのも通り当家の財産を 分配するそういう事態の起こる場合を想像 するとこの分配の金額は取るにも足らない というわけにはいかないだろうと思います が神山東洋が訴訟を起こすというなら そしてそれが正当なものなら僕はゆすりに は応じぬ代わりに海老塚には遺産を分配し てやります よ僕は物質よりも正義の方の味方を よかは息を弾ませて叫ぶように言い切っ たところが小博は私のことまで疑っている ので あるねえ 先生彼は私の部屋を訪れて私と京子の顔を ニヤニヤ眺め ながら歌先生はあ言うけれど歌先生のこと は別としてもしや先生はさんが家の孫だと いう一見を知ってたんじゃありません かともかくですなゆすりの種になってる ほどのことだからおじ様に近い人女中とか それからかこさんかこさんなんかは知って たんじゃなかったか なかこさんが臭い なあ彼はますますニヤニヤし ながらねえ奥 さん奥さんはかこさんの親友だけどかこ さんからそんな話聞いたことがあった でしょう全く露骨極まる探偵 ぶり相口を振りかざしてうぶとこに いきなり飛び込むやり方であるから京子も いさか気を悪くし て あら御世さんひどい わいや奥さん悪く取らないで ください悪く取らないでと言ったって全く どうも失礼を承知の上であを書いて聞か ざるを得ない性質のことなん で実はね奥さんあなたはタモさんの愛人 だったお方ですからタモンさんからもその 話がなんとなく漏れ聞こえたというような ことがいえございませんでしたわそんな ことと京子は景色晩で遮切った どうもすみませ ん博士は照れてニヤニヤし たところで先生タンゴ先生は独身なんです か独身らしい ねそれで愛人はいらっしゃらないんです かどうだかなあんまりそんな話は聞かない な玉王さんには単子先生相当なんじゃ なかったんですかな いくらか惚れてはいたろうさあいつが何を どの程度に思い込んでいるかあんな ひねくれ者のことは私は考えてみたくは ない よ全く大作家ともなると気難しくて 付き合いにくいです な全然あらゆる人間を疑っているような もので ある私もいさかうんざりし た私はどうも博士をりすぎたと思っ たこれに比べてさすがに神警部ともなると 軽率なところがなくて慎み深く何か我々の 分からぬ狙いをつけて一途に掘り下げて いるような頼もしさが感じ られるある朝私が三山の方へ散歩に出ると 危なっかしい様子の男女の老人が2人 もつれるように道の上にうまるようにして いる見るとおゆ様 もう1人の男の方は私の初めて見る人だが 小ゆ様の夫の名老人に違い ない私が進み寄ってどうかしましたかと 聞くとおゆ様は困りきった顔にほっとした 色を浮かべ て無理に歩いてみましたらこのあり様で 年寄りは10日前にはできたことが今日は もうでなくなっているのです よあなたはご病気という話でした が ええ幸い今朝は気分が良かったものです からそれにこのおじいさんがいつになく 足腰がしっかりしてきまして ね少し無理かと思いましたが千草の死体が あったという辺りまででかてみよう と年よりの愚痴ですわ ねそれを承知でこうして向きに飛び出して くるというのも愚痴の他に年よりの切ない 思い先ほども申し上げました通り今日 できることが明日明後日にはもうできなく なる そういう無常が身にしみているからです よ今しなければもうできなく なる取り返しがつか ない死んでもいいから思い残すことがない よう に4つ5つの子供が明の我慢がないよりも もっと我慢がなくなるのです よあげくに疲れはててこの有様です ものまだこの春は光線までさ見つかれずに 歩くこともできたの にそうそう先日も光線宿でその話は受け たまりましたよカルモチンを買いに行かれ たそうです ねカルモチン いえそんな薬 はとおゆバー様は色をなして打ち消し たこの方はどなた じゃうずくまっていた老人が聞い たこちらは妖のお客様でやさんと おっしゃる 方ほら京子さんと結婚なさった方ですよ おその方 か私が手を出すとそれに捕まって 起き上がっ たなんなら背負ってと思ったが痩せてはい ても500発寸からの大男 でじゃあ鬼作じいさんに頼んで車でも回さ せましょういや いやこれで 十分歩け まる私の肩にすがって歩き出し たもろいさんは邪険ない人ですの よ患者の散歩といえば付き添って歩いて くれるぐらいの思いやりがあるどころ か途中で死にたかったら勝手にという人 ですから ねそれにこよ無道なのです よチップを始めばどんなことでもいたし ます よまとまったお金でも握らせてごらん なさいあの人は1服盛るぐらいのお手伝い でも平然とやりかない鬼ですの よおじいさんも私の肩にすがってふーふー やりながら苦しい息から無理に声を絞って おおそう じゃよほどもろいこじなるものが口惜しい 存在である らしい身持ちはどうです かと聞いてみる と身持ちて あなたあんな人に身持ちなんかあるもの です か私の 兄疑たものこと わ元々あれが病気の人でありましたがそれ は別として海老塚さんもあの人の身持ちが 良かったら本妻にも直した でしょう郵便局長だの学校の先生だ の近頃では金回りの良い勝だのとあの人の 相手を探せば数えきれやしません よあの人はその見入りで祭り以上の札の 札束を抱いて寝ているということです よ心に誠の情愛がない からお金だけが真味の友達というの でしょう ねいやらしい 人私は道で神山東洋に遭わなければ寸でに 伸びるところでだっ た神山は5尺発寸余りの大男だから軽々と 名老人を背負っておば様と肩を並べて歩き 出し たもろい こじこの謎の女がこの事件の片隅に必ず謎 の役割を果たしているということを痛烈に 考えざるを得なかっ た強欲無道の彼女の心を操るものは誰で あろうか 私は早速7月18日夕方千草さんの殺され た日の彼女のありいを調べてみ たするとあっさり失敗し たあの日千草さんが裏門から出かける姿を 最後に見た人がもろいであっ たそしてもい看護婦はその6時から7時 まで多門老人のマッサージをやってい たその後も 外出はしていなかっ た 187人 目8月3日であっ た私は近頃昼のうちは光線宿へ出かけて 仕事をすることにしてい たここも無論静かではあるがしかしどちら かといえば疑家の感の方がもっと静かだ がっしりした鉄筋コンクであるからよその 音もあまり聞こえないので あるしかし静寂ということよりも私は単調 に疲れてい たそれにああいう事件続きでお互いに気心 が知れないような気持ちを包んで顔 付き合わせているというのは気詰まりな ものでそれで私は光線宿へ 出かけるこの気持ちは私ばかりではなく 近頃はみんなに日中は外出し たがるバスに乗って町へ行くものも ある単子は村の後内を訪ねて豪打に行くか も神経衰弱の気味でイライラと落ち着き なくどこかを出歩いているようであり全然 外出しないのがピカイチと神山東洋でこの ご両名は連日賭の同級に打ち込んで いるどっちも300ぐらいの手で博士が わるこれがまた負けず劣らずのお手並遊び なら何でも達人生まれついての地打ちの佐 なので あるこの3人は昨夜から相談して今日は朝 から夕方まで1日中着きまくって勝敗を 決する全財産を失うとも帰り水ずなどと 大変な意気込みで神山東洋は早朝に目を 覚ますと欲にという話であっ た京子は長へ買い物に行ってついでに昔の 知人を訪ねてくると言って早朝に出発し た私が9時頃光線宿へ出かけようとする とちょっと社 さん彩佳さんが私を認めて呼び止めて目を 輝かせ た今日こそ戦へ入るわ連れてって は日曜だからまた混雑するかもしれません よあら日曜なんかで混雑することありませ んのよ山奥です もの全くそうかもしれ ない先日も光線へ入ってみたいと言って私 についてきたがその日に限って案外の混雑 で私も少々うるさくて仕事ができなかった ぐらい湯舟の方はいつも人が込み合ってい て男女混浴だから彩佳さんは入浴すること ができなかっ た都会地の温泉と違ってこういう山奥の当 はお湯だけが楽しみのお客だから入浴し ないと損みたいにほとんど1日 ごちゃごちゃ湯舟で暮らしているような ものなので ある彩佳さんは大喜びでタオルや石鹸意識 抱えて私の後からついてき た私たちがブの森へ来ると単子彦がを振り ながら浴衣でブラブラ歩いて いる私たちの2人連れと彩佳さんの湯道具 意識を変に今のこもった皮肉な目で眺め ながら珍しいね奥さんご当時と はあなたも高さん一緒に行きましょう よ僕は今日は郵便局長のところで誤解が あるんだけど ねあら局長さんのおタはこっちの方じゃ ないでしょう ええだからつまり僕はごは好きではあるが 貝となると嫌いのたちで ね貝は常に何の貝でもあって雑然たるもの だから さそれで会場へ向かって歩こうとすると 自然に足が反対の方角へ向かって歩いて しまうんです よ生まれつきのひねくれ屋なの ね足が向いたついでに光線宿へ行き ましょう よそう言われると自然にまた足の方角 がそう言いながらブの森の真ん中辺から道 のない森の奥へ上がり込んでしまっ た随分変人 ねああいうアジとは真面目に付き合わぬ方 がよろしいです白いと言えば黒いというに 決まったやつです よこの日の温泉は全く換算そのものであっ た大体田舎の当時客は2人ずれ3人ずれ などということはほとんど なく一家眷属引っ越し予算というやつ だだから幾組の客もなくとも1組で立ち まち賑い予呈するという特殊性があるので ある我々の他に客が全くないのだから彩佳 さんは張り番を頼む必要もなくのんびり 30分以上も湯舟で遊んで いる私の仕事部屋を覗きに来 てここは随分田舎にしては行きなお部屋 でそうなんですよ離れのこの部屋だけ特別 なんです よ目の下がすぐ渓流で ある私の部屋の窓の外を山の漁師がごめん なさいよと丁寧に挨拶して通っていった あら ここは庭じゃなくって道なんです のこんな山奥には庭も道も区別がないん でしょう よほらそこから谷へ降りる道がある でしょうあの降りたところに淀みがあって この辺で屈しの釣り場なんだそうです よごらんなさい私もちゃんと釣り竿を買っ たんです よ仕事の合間に時々窓から降りてあそこで 釣りをするのです よ釣れました のまだ1匹も釣れません時間が悪いから ですよそれに釣り道具もこの宿で売って いる最火九の安物だからあだの山辺の岩名 を釣るのは無理です よ釣れたら見せてちょうだいねじゃ さようなら と彩佳さんは帰って行っ たやっぱりどうも彩佳さんみたいな客が来 たりその客が引き上げていったりすると 落ち着かないもので私は仕事ができなくて ちょっと釣り糸を垂れてみたりしたがだめ だ昼食を食べて昼寝をしてそれから少し だけ仕事をし戻ってき た8時頃から8時半頃にかけて45人の 人々が戻ってき たこれは乗り合い自動車の時間のせいでN 長からのものN長行きのもの いずれも最終が7時前後に到着するが田舎 の乗り合いは一向に時間が一定せず30分 くらいの開きはいつも見ておく必要がある ので ある地下頃はめっきり人々の外出が多く なったので夕食の途中に戻ってくる人が 多いこの村へ着くのが7時前後だがN長初 は5時なのだから町へ出ると大概5時の 終発の御会ということになる 7時前後に村について男の足で急いでも疑 までは1時間ほどかかるので あるこの日のN長からの終発で帰ってきた のは木米京子木曾さんの3人であったがか と単子がF長からの終発で戻ってき たF長というのはつまりバスはN長とF長 の間を往復しておりこのN村はその ちょうど真ん中へ当たってい たどっちの方へもバスで2時間足らず かかるので あるF長発の終発は遅れてかと単子は8時 半頃家へ戻ってきたが内木明子女子の姿が 見え ない君たちのバスにあき子さんは乗ってい なかったか ねと私がかに聞くと乗っていなかったと いうN挑発の発にも乗っていなかったそう だN長からの終発には海老塚さんが乗って らした わ今日は日曜で求心なんですわ ね町でもろいさんもお見かけしたけれど 終発にはご一緒でなかったの よと京子が私に言っ た単子は5階へ行かずにF長までのしたの かいと私が聞く とああ君たちのおかげで光線宿へ行くわけ にもいかなくなったから さ胡蝶さんが不審顔 で内木さんどうなさったの でしょう私たち今日はこの村の青年会と 処女会の方々に講演と実演の会で午前中は 瞳が講演して午後は私が名キャップやら 実演してきたのですけれど私たちが朝9時 頃ここ出にはうさんはお部屋でお仕事して いらした わ疲れてお昼寝でもしてらっしゃるの かしら私見てきます わと胡蝶さんは出ていったが部屋にはかか の原稿がある ばかり姿は見えないということであっ た食事を終わった頃神警部がぶらりとやっ てきた から警部さん また事件かもしれません よと神山東洋が言っ たなんですか脅かしちゃいけませんよ あなた方も疑神願期というやつです なう明子さんの姿が見えないのですが ね大人の迷い子はよその土地じゃ笑い話だ けどここのうちじゃ穏やかならぬ霊です からな なるほどいつからお見えにならないのです か朝の9時 頃自分の部屋で仕事中の明子さんを胡蝶 さんが見たというのが唯一の消息なんです よ私とヶと小博士はもっぱら同級の熱戦中 でし て他の方々はかさんさんはF へ三宅さん京子さん木曾はN長 へ社さん は私は彩佳さんと光線宿へ9時頃出かけ ました よ結局みんな出払ってるんです なあ私たち同級組はあってなきがごとき ものですから な一体いつ頃どこへお出かけか なその時壺の将さん が私は9時半か10時頃内木様がお出かけ になるところをお見かけいたしました よどこ でこの昼間でございますああそうそう ちょっと調理場でお水をお飲みになりまし てねお出かけですかと聞きますとええ ちょっと散歩よとましたそしておりのまま 食堂の方から外へ出ていかれたよう ですそして昼食の時 はそういえばご昼食の時もお見かけいたし ませ んお食事のご用意はいたしてあるのです からお帰りになればお腹が減ったわ何か 食べさしてと言ってらっしゃるはずなので ござい ます内さんはその 翌日三山の奥の滝つぼ で出したとなって発見され た19アバ 比べ美神社の前を流れる渓流がある三池も 水が増すと流れ込むようになっているが 本来は水源が違っての山の泉を集めている もの平時も水量が豊富でそれがちょうどミ 神社から曲がりこんだ谷底で滝つぼとなり 100つぐらいの深いトロをなして いる地方は切り立つ岩で水面は日の光が 注ぐことが珍しいほど深く落ち込み緑の色 を称えて いるひっそり淀んでいるようだが実はいく つもの渦があってここでは水泳も釣りも できないので ある和服姿の内木さんはこの水面に浮かび ゆらりゆらりと渦の中で回ってい た崖の上から突き落とされたものらしいが サリとて自殺出ないという証拠があるわけ でも ない平地はひ続きでも山中の朝夕にはよく 雨が降り8月3日の夕方も4日の未名も 相当領の雨を見たから 足跡なども消されて崖の上には格闘の跡 など認める余しもなかっ た宇木さんの死体は翌4日の早朝を発見さ れ警察員が出張して例の総林寺で解剖が 終わったのは 夕方井の消化状況から大体食後3時間か3 時間半ぐらいに殺されたものだろうという ことであっ た近頃の食堂は外出の中が多くなって時間 も人数も極めて不規則になって いる1番バスに乗るには男の足でも7時半 には疑けを出発しなければならないという ようなわけで食事は天然バラバラ だけれども昨3日明子さんの朝食は私や 京子も神山夫妻も胡蝶さんも一緒で大体7 時半前後という一同の記憶であるがさすが の神山もこの日は自慢の時計を睨み忘れて 正確なところは分から ない教行は大体10時半から11時という 検討であっ た4日の夕食後神警部は我々それに海老塚 医師もい看護婦下さんらを広間に集め て全く私も自殺したくなります よまいまい皆さんのご迷惑お察しいたし ますがまた1つ我慢して付き合って いただかなければなりませ んうさんの場合は自殺か多か明白な証拠は ありませんがとりあえず多と見る方が自然 だろうと思い ます外して自殺者は自然のままに飛び込む よりも何らかの人為を施すもので例えば 履き物を縫うとか荷物を地上に置くとか時 にはその乱れを防ぐためにを着意の上から 縛ると かしかしこれも無論絶対のものではあり ませんからうさんが何1つ人為を残さず ハンドバックを抱え履き物のまま飛び込ん でいてもだから多だと断定するわけにも いきませ んただ今までの解決不明の数々の事件の後 の出来事としまして我々はこれをもう1つ の殺人としてに当たることが当然だろうと 考えるだけの次第 です神警部はまず高挨拶を述べた彼は ますます引金であっ たさてまたいつもの工場で恐縮ですが操作 の順序といたしまして一応皆さんの昨日の ありいを受けたらせていただく必要があり ますのでままの愛子に甘えすぎて恐縮です が今回もよろしくごひに願い ますとやおやみたいに砕けて出る ところなかなかもって我々をあうコを心得 たもので あるまず順序といたしまして宅さんにお 尋ねいたしますが昨日はずっとN長へ行っ ておられたそうです ね木米は頷い て僕はその前の日に壺のさんに頼んで朝食 を早めにしてもらい7時半に出発しまし た1番バスで出かけて終発で帰ってきたの ですその日奥さんに何か変わった様子をお 気づきになりませんでした か僕から見ればあの女はしょっちゅうた 様子です よ計来ても部屋は別しておりますしつまり 上我々は別状態にあるわけ ですあいつが僕を撲殺して平然と大人と あの状態であったことは皆さんご存知の 通りですし大体あの女は男の肉体なしに3 日と生きていられないやつでした からあとは皆さんのご想像に任せます よ僕とても想像以外に事実を確認している わけではありませんが僕と事実上夫婦で ないということはあの女が他の男と情報が ある明白な証拠みたいなものなんです ねすると日常も奥さんとご交際がなかった のです かそれは もう全然他人よりも遠です よつまり ですから他人じゃなしに敵です ななるほど いや不穏なる国際関係というやつは身に しみて忘れがたいところ ですそれで失礼ですが和平の医師はお二方 にいなかったのです かありませんでし た国際問題と違ってこれは宿命的なもの でしたよ国家は永遠かもしれませんが人間 は50年の命ですから嫌な奴と和平の必要 はないです よ要するに我々はすでに離婚しているよう なものでし たそれにしちゃ君の未練は目々しかった じゃない かとピカ一が遠慮なく口を入れ たミレンというやつはめめしいところにに 本があるのかもしれないが尊皇の未練は もう1つおまけがついてうれ屋のイリ屋 さん女房を女中化品物みたいに考える バカ殿様の1人なんだ なカソにも女流作家が無法を起こすのも 無理がない さいや気持ちやきもいいけれどよぼ君人前 で3日男の肉体がなきゃとは また薄たい根性じゃない か内木さんよりもお前さんの根性がみさげ 果てたささあさなん だ木米は青めて目を怒らせたが反撃の言葉 に急した様子であっ た神警部が容量よく取りなし てすると三宅さんその日奥さんがどんな 予定を立てていらしたかそんなこともご 存じないのです ね全然知るところがありませ ん三さんはN長にお友達でもおわりなの ですか いいえただ退屈に産んだから当てもなく 出かけただけで本屋を冷やすとかそうそう 買い物といえば雑誌を買ってきましたが そんなところで僕の顔でも覚えていてくれ なければ全然ありいはありません ねそれにしても1番バスとは早々のご出発 ではありませんかごとけの皆さんN長行き は1番バスというような習慣でもあるわけ です か答えるものがないので木曾の夫人 が昨日は私もN長へ参りましたが2番で 参りまし た私どもは品や 何かそれに歩く足も殿方に比べておそう ございますから外して2番で参るようで ござい ます昨日は京子様とご一緒に参りまして 停留場で看護婦のもろいさんともご一緒に なりまし た私どもはN長の対象通りで降りて京子様 に別れ私は買い物をいたしたりしてまた 偶然瞬発で京子様とご一緒になりまた三宅 様ともご一緒になりましたの です社夫人もお買い物ですか いえ私お友達を尋ねしましたの です23年前この土地に住んでおりました からその頃のお友達で本馬というご服屋の 奥様私昨日はずっとそこにおりまし た部は頷いて次にもろい看護婦 に私はどうもあなたに物をお聞きするのが 苦手だ なあまさかあなたは患者たちにも警官並み に突き放して答えるわけではないでしょう なあなたはどちらへお出かけでした か昨日は日曜の心美で薬を仕入れに参り まし たそれだのご要件で発まではかからないと 思いますができるだけ細かく教えて いただきたいもの ですあたんはブラブラしていまし たこんな山奥から町やれば誰しもブラブラ いたし ますいやごもっともあなたのおっしゃる ことはいつもごもっともで恐縮 です警部は助なく酬しながら各人の長の ありについて細かくいちいち尋ねかけたが 結局はっきりしているのは京子だけ木野 さんは色々買い物をしたり冷やかしたりし たが顔見知りがいるわけでもないので先方 が覚えていてくれなければどうにもなら ない諸井看護婦は2番で立って12時30 分にN長に着きバスの終点の前にある薬屋 で薬を仕入れて2時30分発のバスで帰っ てきたというがバスがつくとまず薬屋へ 注文書を届けておいて町をぶらつき2時半 の発車前に戻ってきてできている薬の包み を受け取ってバスに乗って帰ってき たその中間の2時間はただ街をぶらついて いたというだけであわいはなかっ た最もひどいのは木米だ始発で立つと江長 へ着くのが10時30分それから終発の5 時まで ただブラブラしていたというだけである からしかし三宅さん6時間半ですよどこか 1か所ぐらいあなたの顔を先方が見覚えて いるというような交渉ぐらいやりそうな ものじゃありません かそれは常識論ですよ人間には色々の性 平均があるものですから型通りに行くもの じゃありませ ん知らない土地というものはただ同じよう な道と家と森と寺の記憶がある ばかりそれがどの方角かどの道の次にどの 道があるか全然意識はバラバラで統一され た前傾がないもの です僕はそのバラバラの処方の位置に散歩 を楽しんでいただけでその間人間との交渉 がなかったとしても仕方がない 僕はアリバを意識して生活しているわけ じゃない から最もこんな事件が起こっていることを 知ってりゃちゃんとありいを作っておいた でしょうが ね神警部は頷い てところで三宅さん1番バスにどなたかご 存知の方が乗り合わせていました か いいえ僕はこの村に顔もありませんから それに僕は人の顔など見ないたちだから気 がつきません よ海老塚さんはご一緒ではなかったのです か一緒ではありませんと木米が答え たすると2番バスには社夫人上山夫人諸井 さん恵さん は塚は何をつまらぬことをという顔つきで それでも返事だけはした僕は3番 です3番は何時です か海老塚が答えないので警部はバスの発射 時刻表を取り出し た海さんは12時40分発午後2時30分 N 長着なるほど 神警部は心得たものひねくれ者との問答を 省略して今度は に歌川さんはF長へ行かれたのでした ねそうですF町からまた一流ほどの山奥の 親戚へ行ったの です始発で出発して終発で帰りましたが 歩行の心配がありますから午後0時半頃 親戚へついて3時過ぎにはそを出発しまし たなるほどすると方向は逆ですか どちらも始発ですから村の停留所まで三宅 さんとご一緒ではなかったのです かFF行きの始発は30分ほど遅いから 一緒ではありませ んそれに私たちはF町へ行く時はn村へ出 ずにTブラクの停留所へ出るんです距離は ほとんど同じことでこの家から大体僕の 足並みでどちらも1時間15分くらいたし の場合です ねTブラクと申しますとどちらの方へ出る のです かつまりブの森を通り光線宿を通り越して つづら折りを降りていくとTブラクの 停留所へ出るんです よここから光線宿まで反り余り光線宿から tブラクまでは1里まではありませんが 合計して1時半近くはあるでしょう ははあそんなコースもありました か神警部は珍しそうな顔神警部は今度は 単子に向かっ て局長の誤解に出席されるはずのところが 足が反対側へ歩き出したということですが 実は私も読み過ぎと2人局長の誤解に出て おりましてお手合わせを楽しみにしていた んです よ要するに単子さんも自然に足がエ長を 向いてやなくブラブラという形でしょう がいつのバスに乗られました か単子はそんなことは問題にあらずという ようにタバコを1本抜いて辺りを 見回す警部がそれとさしてライターをつけ て やるいやあありがとうペコンと単子は頭を 下げ て9時頃社寸士と夫人とブの森で別れて それから山道をぐるぐる行き当たり ばったり歩いているうちにバスの通る道へ 出ました ね檻からバスがきかかったから手を上げて 止めて乗り込ん だのれのれ時刻表を見せてごらん なさいなるほどすると10時50分n村発 F町行きというのがそれ でしょうF町へついて宛てずぽに歩いたら やがあってあを食わせるところが見つかっ たからあを食ってモヒをして帰ってきまし たよはいわかりましたその方が誤解よりも 保険的で結構ですよそれで奥様は光線宿に ずっとおられたのですか いいえ450分遊んですぐ戻ってきました の30分近く湯舟に使って遊んでました 燃料節約でとてもぬるい湯です ものけれども私はぬるまゆが好きですから 楽しかったのです わあそこの選出は何です か存じませんけれど白く濁っているの です私も毎日入っているが実は何戦だか 知らないので ある傷に聞くという話であるが別に病人が 当時に来ているのも見かけたことが ないかかに得意の周期はあるがそれも強烈 なものでは ないしかしあの光線の近辺だけはこの辺り の名物の蚊がいないのでそれだけ何かが あるの だろう神警部は最後に私に向かって昨日の 同棲を訪ねたが私は彩佳さんと9時頃家を 出て9時半頃光線宿へ着き 仕事ができなかったのでちょっとツリーを 垂れてみたり光線に使って昼寝をしたり それからいくらか雑文を書いて夕方戻って きたことはすでに述べた通りで あるしかし元より私の離れへ宿のものも めったに来ることがないから私が釣りの ふりをして三山へ行き明子女子を殺して くるという統が不可能なわけでは ない警部も抜かずこの辺はとに重い めぐらしているはずで彼が特別バスの時刻 表を回してチクチクとついているのは 例えば木米の場合などは実際に始発の場合 で行ったかどうかも明らかではなく始発で 行ったにしても引き返してあき子さんを 殺しておいて町へ戻り5時のバスで帰って くるということも考えられるからで あろう完全に容疑者のうちから除外できる のは長さんと瞳 コこれは10時から3時まで青年会と女子 会の連中に公演と実習をやっておりまた 神山とピカ一は小博士と共に賭の玉つきに かかり切ってい たところで海老塚さん神警部は改まって 海老塚を見 たあなたは12時40分にバスでN長へ 行かれた9時から12時40分までの行動 にについて説明していただきたいの です恵は例のごくぎらりと目を光らせて 答えなかっ たよろしい海老塚さん私も今日までは あなたの人権を尊重して随分しんできまし たよろしいですか塚さん私がしんだという 意味は私はあなたの人権を尊重し たそれに対するあなたのは我々への別で あったという意味 です今日はもう忍びませ んあなたが説明してくださらなければ私の 方から申し上げますがよろしいです か海老塚はふんと反抗に燃えくる目を くるりと1回転して荒に軽蔑を示してソプ を向い た神警部も堪忍袋の王が切れた様子であっ た では私から変わってあなたの行動を説明し ましょうあなたは昨日9時40分ないし 50分頃疑けの裏門をくぐりましたその時 散歩に出かける内木さんにばったりあった はずです ねあなたは歌家の台所へ回って女中の屋に もろい看護婦を呼んでこいと命じ たところがもいさんは国の話の通り2番 バスで町へ出かけており ますそれを聞くとあなたの顔色が変わっ た急にあなたの心を変えたらしくじゃあ 釣殿にいるから下さんをちょっとよして くれと言って釣殿へ行きました海老塚は 青ざめてブルブル震え てブれ も嘘 だと叫んだが神警部はビともせず突き刺す ように海老塚を見つめて交にもし ない兼ねて名を受けていたのか八丁原と 読みすぎが海老塚の左右に寄り添うように 立ってい たやから天言を受けた下さんは何事だろう かと早速釣殿へ行きまし たするとあなたはもう聴診器をぶら下げて 待っていてお前は確かに胸の病の様子が ある今日は健康診断をしてあげようと下 さんの手を取りまし た下上さんはあなたの様子がたごではない のに恐怖を感じていえ病気ではございませ んそれに今は他のよがございますからと 答えると急に飛びかかって 抑えつけこら言われた通りにしろさもない と 抑えつけても裸にしてしまうぞと矢庭に 切粉しようとしまし たでたらめゆうなブレ もまるで踊りかかるようにさきだって叫ん だが2人の刑事が左右からその腕を抱え た神警部はますます冷然と海老塚を見つめ て下さんは驚いて抵抗しましたれようとし まし たあなたは振りなされては飛びかかり振り なされては飛びかかりとうとを抑えつけた 時下さんが悲鳴を絶叫しまし た幸いにこの時池を散歩に来たおゆばあ さんが悲鳴を聞きつけて釣殿を覗きに来 ました隠してあなたの計画は破れ下さんは ここを脱することができました いかがですかこの席には下さんもおります がそれで足りなければおゆばあ様に来て いただけます かあなたはそれから狂気のようにイライラ と疑を飛び出しましたがその時が10時か 10時10分頃だということ ですさて海老塚 さんそれからあなたがバスに乗るまでこの 12時40分のバスは20分遅れ 午後1時頃江村へ着きました がその1時までどこで何をしていました か海老塚はラランたる眼光で冠警部を睨ん でいた がバカ 野郎 木ぐい矢庭に両腕を振って飛び上がって 絶叫すると振り向いて部屋を出ていっ た刑事が追って行こうとすると部は手でし たすると塚は廊下のとろで振り向い て貴様らは天罰によって皆殺しに合う ぞ金どもめ大野郎 めゴリラのように手を振って振り向いて 去っ たなぜ逮捕なさらぬのですか と神山が聞い たなぜです か神警部は平然と答え た何の証拠もありません よ 20第1級の容疑 者警察の取り調べが終わって部屋へ戻った と思うとかとさんが青くなってき た部屋へ戻ったら鍵をかけて出た室内に机 の上に1枚の紙切れが置かれていたという ので あるそれは今までの例と同じく疑の両線を 用いたものにペン で8月8日宿命の日と書かれて いるその日の夕方は明子さんの死体を仮装 場に送るためにごついており 我々全員総林寺へ出向いて解剖室から元の 本道へ半分化けそこねているような乱雑な ところでお経を受けたり車に積んだ明子 さんを見送って戻ってきてやがて食事と なっ たかと彩佳さんは何かにつけて多忙であり その時は実質に戻る余裕がなくて食卓に つき神警部の取り調べを受けてようやく 実質へ引き上げてきたのであった か夫妻と私は小博士の部屋を叩い た博士はトランクを引っかき回している 最中であったが我々の話を聞いても一向に 驚きもせ ずああそうです かますます多忙にトランクを引っかきまし て いるそして彼が何者か見つけ出して ようやくほっとしたのを見ると何のことは ないただ一速の靴下に過ぎないのでで あるなんだいその靴下は何かの証拠物件か いと嫌みを言ってやるとえへへと笑っ ていえ明日旅行しますもん でついでに東京へ出てあの子を尋ねる魂胆 なもんであの子は綺麗好きですから靴下 だけはなんです僕はいつも彼女の命令に よって心がけているんですさ と嬉しそうで ある敗北東走というわけか いいいえ勝利に至る道でさと1つ意気込ん で見せ てどうも面木ありません玉つきの賭なんか に夢中になっちゃって全く失敗しました よしかしなんです犯人は逃ししませ んなんですってああ8月9日宿命の日 か8月9日までには帰ってきますが歌川 先生ご夫妻はくれぐれもご注意 ください部屋の鍵は紐でぐるぐる巻きに 結びつけるのも結構です食べ物にもご注意 くださいそれから昼も1人歩きは慎んで なるべく数人固まって暮らしてくださる ことで さ用人第1人を見たら人殺しと思うこと です な小博士は今度は新しいネクタを取り出し て思わずニコニコして いる小博士は今度は新しいネクタイを 取り出して思わずニコニコして いる何のために旅行に出るの さ私がこう聞く と物的証拠探しに です証拠はここにはないのかね ああありませんただ犯人は時間と空間の 関係に抜き差しならぬ姿を表しているの ですが ねそれから心理におい てしかし物的証拠がないのですよそいつを 探しに出かけるわけで さじゃあ君は犯人を知っているの かそれはもうどうしてもこの人でなければ ならないとというこいつははっきりした もんだ さけれども何しろ時間と空間の三式なもん でこいつは法廷へ持ち出す証拠にはなり かねますん でしかしなんでさいよいよ証拠がなきゃ 時間と空間の三式だけで法廷へ持ち出し ますやけでさね散々舐められちゃって全く 腐った なと頭を抱えた どこへ行くのだ いホボですよ天下くなくどこまでだっって こうなりゃ意地とやけくそで水の中でも くぐります わと照れたようにニヤニヤし た翌朝の食卓は明子さんの遺骨を迎える こともあるのでみんな揃って食卓に着い たみんな揃ってといったところでこの食卓 の顔ぶれからは大人 玉さん千草さん内明子さんが殺され海老塚 が遠ざかり残っているのは12 名小博士が旅行に出ると11名に なる神山東洋が博士 にこさん物的証拠を探しに旅に出かける そうです がいかがです か推理の一端についてらしていけないもの です か私はこの事件の山は7月26日事件かこ さん殺しの場合にあると思うんだ があれがもしど画伯を狙ったものなら殺人 鬼の仕業だがかこさん殺しが狙いとすると 反抗の同機は極めて単純明解になるんじゃ ないかな 小博士はニヤニヤ返事をし ないピカ一が口を出して ええ俺を狙えば殺人鬼かそれはまた飛んだ デ人形に見立てられて恐縮だ なかこさん殺しが目的なら単純明解か犯人 は誰だい え我が悪徳弁護士 先生そいつは分かりません よ同期は単純明解と申したの ですじゃあ内木女子や大人やうはどうなる んだ いと単子が連勝するように 言うまあそれは別といたしまし てと神山弁護士話をさくに巧みであるが 文子が相手じゃうるさいもので 何が別なのと単語が 聞く神山はちっとも騒が ずまあそのさきは最後に探偵にお任せと いたし ましょうこの7人の殺人事件のうち別して 2つに区分することができます なあ第1が我々のうち誰でも犯人であり 得るもの これは大人殺し玉王殺し多門殺しの3件で 多門先生の毒殺も砂つにモヒを入れると いうのは誰にでもできたはずです よ第2が特定の人しかできない 場合これは千草殺しうしかよごし殺しの4 件である人々は完全に犯人でありえ ないこの完全に犯人でありえないという 人物を1人ずつ取り捨ててみたらいかが でしょうそうそうしてどうしても容疑者を 免れ得ないという人物に不服があったら 釈名を聞いて我々全員を売に1つ判定を くそうじゃありません か誰も返事をしなかったが神山東洋は平気 なもの でまず千草殺しの場合です なあ仮装場からの戻り道単独で戻った人は みんな剣技をまがれ ない23人連れ立って帰ったうちでもか さんは一旦戻って林寺へ行って30分 このありがないからこれも権を免れ ない結局怪しくないのはこさんとひさんが 組で帰り私と坊さんとかさんが組で帰って このうち小瞳坊さと私だけが剣技の外に あるわけです なあ第1着のトヶ 第2着の内さんかさん三宅さん単子さんや さん以上5人の方にはありいが ない誰も口を入れれるものがないから神山 夫人木野さんが口を挟ん ででも第1着の土産第2着の内さんは別に ありの必要もないでしょうよ当たりに歩い たお時間 でしょう神山は我が井を得たりと頷い てそれも ある内さんは千草さんと相聞に美神社へ 出かけたが千草さんが見えないので戻って き たしかしこの時千草さんを殺してきたかも しれないです よ一体千草さんが顔にすっぽりと式を 目隠しにかぶって風呂敷ごと締めこされて いたというのが普通じゃないようです なあつまり非常に親しい同地だから目隠し などのふざけた遊びが許せたわけ でその器用をついてしめし たそう想像ができる でしょうすると 内さんなんかも容疑者からまかれがいよう です なその間にドヶは内さんの先を越して戻ら れたからまあドヶ白に限って剣技の外に 置くべきかもしれません なあ私はしかしドイがも単独だから単独は ともかく剣技の1つですよ なぜなら私はこの村の地理に詳しいから 心得ていますが加場から峠へ上がる でしょうあそこから23頂来るとちょっと 一目につきませんが谷を渡って身神社へ 出る感動があるのです よ道というよりも稀にきこりが歩くような 道というよりも稀にきこりが歩くような そこの草だけが踏まれて生え方が少し低い という程度のものですが ねともかくこの参道を宮山へ出ると三山を 一回りして疑の裏門まで戻ってきても 当たり前の道を疑まで歩いたのと10分か 15分のがないの ですこういう抜け道があるから単独の人は みんな権をまがれないの ですただトヶ白の場合は宇さんよりも先に 帰っているからこれはまあ剣技の外に置く べき でしょうその他の方はいけ ない抜け道を 一走りみみやれます よしかしですなここにもう1つ問題が ある神山は人を食った顔つきであっ た私は元来この場所におられぬ方々につい ては言を避けたい主義ですが問題が問題 ですから仕方がありませ ん一体千草さんが6時頃相に出たという これはもろい看護婦の証言です よところがその他の人々は6時出発の千草 さんを見た人は ない要するに千草さんが何時頃まで家にい た か5時頃までは見た人がいますけれども その後の1時間は明白では ないもろい看護婦は6時から8時までは ありいがあるのです が実は6時以前にすでに千草さんが殺され ていたとし たらそれまで一向に取り合わぬ顔付きの 一度もにわかに緊張を隠すことができなく なってしまっ た上山東洋はそんな気配は気にかけてい ないように取りし てともかく 田舎のあんちゃん母ちゃんの犯罪でも伏線 義象なかなか額面通りに受け取れないもの で必死の知能驚くべきものがあるものです よ彼は教を誘っておいてすぐ話題を移し たさて次にうみ殺しの場合ですがこの時は 2階の廊下を見晴らす位置にドヶ白が目玉 を向いて頑張り通していらしただから2階 には犯人がいないはずだというのが通説 ですしかしドヶ白が酔っていたということ はやっぱり考慮しなければなら ないドヶ白が鎮座増します廊下の位置に 近い 人々かさん小さんなどはちょっと顔を出し ても怒鳴りつけられたかもしれませんが もう単子さんあたりからは相当離れている のだからふらりと便所へ行ってもどさんも 因縁をつけなかったと思いますが ね便所はドイヶ白の鎮座の位置の反対側の ことですから な彼は面白そうにじろじろと人々を見回し た 単子さんと向い合ってひとさんご 夫婦単子さんの隣は 私その次が三宅さんと内木さんその向いが 1つ空部屋を置いて社 さんところでです なあ2階の便所は便所へ行くと見かけて を降りることができるようにできています よこいつを見分けることは酔っ払ってい なくたってヶ白の鎮座の位置からは不可能 なんです なあ一座はまたちょっとめい たこれはしかし和術にすぎない決して実際 の心理を破しているという性質から来て いるものではないのだから私を尺に触っ て君の言いよじゃまるで私なんかいつでも 海花へ降りてうみを殺せると言ってるよう じゃないかしかしそんなことよりも問題は 私が便所へ行ったかそれをピカ一が見たか ということじゃない かまあまあ社さんこれは単なる可能性を 論じているにすぎないです よあにヶは酔っ払って 当時の記憶ははっきりいたしておらぬ始末 でそこにつけ込んで私はもっか単なる可能 性の限界を申し上げているの ですだからさピカ一の酔っ払っていること を取り上げる以上単子の部屋から遠方だけ を問題にするのは当たらないさかも小博士 も便所へ行くことができたはずだ 外へ出られなかったのは彩佳さん1人だけ じゃない か全く ですこれは私の推理の謝りでした ななるほど 単子さんを限界に置いたのはおかしいです なあかさんも小さんも便所へ行けないはず はなかっ たしかしです なあの晩の状況殺しましてかさん小さん など近い位置から扉を分けるとドガ白は 噛みつくように怒鳴りつけるに決まって ます よするとです なドヶ白は酔っ払って翌日の記憶にないか もしれませんが私たち室内のものはヶの わめき声によってその状況を知ることが できたはず ですしかし廊下の遠い方なら多分ドヶ白は めかなかったにそうい ない一座はどうやら今度はその心理によっ て説得せられた らしい神山はすぐ話を変え てさて次にはかこ 殺しこれは殺しと同時間に起こった同じ 毒殺ではありますがその性質は違っており ます波紋殺しの場合は1時半から3時まで 調理場は無人ですから我々の誰でも砂つに モヒを入れておくことはでき た最もかこさんが広間に読書しておられた よですからかさんはその犯人を見たかも しれ ない しかしかこさんには見られても良かったの です よなぜならかこさんも同時に死んでいる はずなのだ から神山はか殺しをピカ一殺しの間違い説 からあっさり切り離しているがピカ一は もううるさいやという顔つきで文句を言う 気もない様子であった かこ殺しは問題ですよこの場合毒薬はある 特定の数分間を置いて投入する時間はない のであり ますこれを投入しえたものは調理場にいた 壺兵夫妻木曾やえ 海老塚及び商用に立った彩佳夫人京子夫人 かさん社さんこさん三宅さんそれに私 ですその他かこさんとコーヒージワを 取り替えたトヶも最も権を免れることは できませ んむしろ問ヶ白が超特別に疑われて叱る べき立場にあり ますピカは勝手に仕上がれと言わんばかり 取り合わ たしかし問題はこのかけているコーヒー ジワということでし て常にそれを取り扱っている壺兵夫妻やえ 木曾はそれを見分けることができても他の 我々はドイヶ白の茶碗はかけているとは 知っていてもどのようにかけているかは 知らないのです よさらにまたそれ以上の大問題は疑家の コーヒージワはドイスノの命によって破壊 されもし新たに客人が増えた場合はド画白 同様かけたコーヒージワを割り当てられる 運命にあるこのことを犯人が知ってい なければこの反抗は成り立たないという ことです な私は 犯人は元々か殺しの狙いでドヶ白暗殺失敗 説は取るに足らずと見るものですがさて かこ殺しが狙いとすれば剣技の第1は コーヒージワを取り替えたトイ ヶこれは何と言っても最大の剣技を免れ ません よ次にもしまた犯人はヶでないとすれば 毒薬はドイのコーヒーに入っていたこと から押して犯人はかこさんのコーヒー茶碗 はかけた茶碗であることを知ってはい たしかしかけた2つの茶碗の正確な見分け 方は知らなかったこれが1つの 場合もう1つの場合は方の少方の 茶碗つまりヶ白のコーヒー茶碗は犯人の 予定によれば当日はかこさんに配られる はずになってい たそれを休人の屋がうっかり常々の習慣 通りヶに配ってしまっ たあるいはまた犯人はかねてかさんの コーヒー碗が であるはずのことを知ってはいたが いちいちコーヒー碗を調べる余裕がなかっ たそこでとっさに目についた掛茶碗に毒薬 を投入したというような火球の場合による 手違いもあり得たろうとは思われ ます以上述べました通りかさんがこの食堂 へ現れたはかけたコーヒー碗をるであろう ということを知っているにはこの家の 調理場の事情に精通しなければならない 通りでしかし元来かこさんの殺害を企む 以上その犯人は家に精通したものに限られ ているはずであり ます私は坂腹に据えかねて口を出した 君の話の様子では犯人は疑けの遺産問題と 決まったようじゃない か大人や宇さんや内木さんの場合はどう なるのかね疑家の遺産問題が犯罪の同機と すればここに11名出席しているが犯人 たるべき人物はいくにもおらぬほとんど 決まっているようなものではない かそれはですなこのいくつかの犯罪が みんな統一の犯人によるか別の犯人によっ て行われているかこれはにわかに断定でき ないことです よ同一の犯人かもしれませ ん別の犯人がいるかもしれませ ん場合によってはいくつかの別々の犯人に よって各々バラバラに事件が構成されて いるかもしれませ んしかしその問題についての考察は後回し にして次にうしの場合を見ようじゃあり ません か神山は犯人を見抜いているような 落ち着き払った口ぶりであっ た一作3日は朝食後夕方まで完全なるあり を持つ人物はまず肉ですがたつきゲームの 3人組ドイさんこさん私の3人を筆頭に あげなければなりません なあこの3名はちょっと便所へ立つのも もどかしいほど角の付き合わせていました から なあ次には演劇講習会へご出席のひさんご 夫妻これもありいは完全です 次にN長へ出かけた人物のうち2番バス つまり10時40分n村発に乗った京子 さんもろい看護婦木曾 のこの3名はその1時間前に当家を出発 する必要があり10時40分から12時 30分までは同じバスに乗り合わせていた のですからこれまた反抗推定時間10時半 ないし11時には完全にありいが成り立つ わけ です次にかさんはF町の親戚へ行っておら れてこれもまたほぼあばいに疑いはない ようです なさて後に残りました5 名と神山はちょっと照れくそうにニヤニヤ した これはまた驚いたね僕もまた容疑者の口か いと単子弓彦が眠そうな目を案外キリっと 神山に向け て僕は君ブの森からブラリブラリと10時 50分のバスにはちゃんと街道へ出て 乗り込んでいる ぜけれども失礼ですが単子 先生先生のブラリブラリは全然お時間の 観念が終わりではないようですから な先生は確か時計をお持ちでないようです が挨拶するにここ10年か15年間先生は 時計を所持なさらずに生活して いらっしゃるんじゃありません か先生は10時50分のおつもりで12時 20分のバスかもしれませんぜ 実は証拠があるんで さこの村のもので12時20分のバスに 先生と乗り合いしたものがい て後は先生のおっしゃる通り街道の真ん中 に手を振り上げて乗り込んでいらし たそれは先生のおっしゃる通りだと申して います よこれは元より神警部もちゃんと知って いることなです よあの神先生が我々を取り調べに来る時は 実はもう我々の答える以上に調べた上で 顔つきなんか見に来るだけのことなん です相当のくもです よ単子は目して答えなかっ たさてうしの可能の方はただいまの単子 さんそれから交戦組の社先生と彩佳 夫人このご両名は例の感動を言って案外の 短時間に内木さんを殺してくる可能性も なきにしもあらずです な次に三宅さん三宅さんが3日の始発に 乗ったという確証は木下のところないよう です乗ったにしても長から様子を変えて 戻ってきて反抗を犯してまた 戻るそして夕方5時に何食わぬかをバスに 乗って帰って くるそれも不可能ではないようです なそれから最後に海老塚 先生以上の5名はこの事件の容疑者を 免れることができません 神山はニヤニヤしながら懐から手帳を出し た実はおせかのようですが私は兼ねて ちゃんと控えを取っておきましたから ただいま申し上げた4つの事件の容疑者を もう一度改めて並べてみ ましょう千草 殺し ヶ内先生か先生 先生三宅先生単子 先生ただしも以上の義象の場合可能 なりうみ 殺し単子先生ひご夫妻神山夫妻内木先生 三宅先生八子夫妻その他屋の 住人かこ 殺しヶ 壺妻神山夫妻三宅夫妻かご夫妻 やご小博士海老塚 先生木殺し 単子先生彩佳夫人社先生三宅先生海老塚 先生以上のようになりますな 痛感しまして全部に通じて可能性を持つ方 は社 先生社先生の奥様は最後のうしにありいが あり ます次に三宅 先生このお二方だけが全部に 可能3つの事件に可能な方は海老塚先生 単子先生 さて皆さん誠に奇妙な話です よ7つの殺人事件のうち多殺し多しかこ 殺しこの3つは明らかに同機に一貫性が あり他の4つは各々同機がバラバラである のに比べて最もしる反抗に思われますが 以上4つの事件のの容疑者を調べてみます とそのシ同機に関係のある人物が容疑者の 中に現れてこないのです なあこの説明は人々に深い印象と多くの 興味を与えたようであっ たさてこれからが問題です よと神山はゆうゆう落ち着き払って人々を 見回した するとこれは一体何事を意味しています かまず第1の問題はこの7つの事件は同期 のバラバラなしって各々犯人を別にする 犯罪であるか同一の犯人による一貫した 殺人計画である か全社の場合はまず常識不可能です なでんでんバラバラに 殺し合うそんなことはまずいかに芸術家の 異常世界につきましてもいさか不可能な ことです なそれは 全く文学者は大概大犯罪者です よいわゆる探偵小説の遊戯によりますと大 探偵は大犯罪者の表と裏だとしますがそう じゃないようです な小説を作る文学者は大犯罪者の裏と表 ですが探偵は違います よ探偵は作る人ではなく見つける人だから です よ社先生のお説によると個性博士は小説の かけない方だから大探偵のがあるのだそう ですがまさしくそれが心理です よそしてです なそれが心理であるということは逆に文子 の皆様方は大害大犯罪者の素質を持って おられるという意味でもあり ますただしこれは弁護士にも当てはまり ます これはまた皆様方には比べようもありませ んがともかくこれも人間関係を作り出す 商売ですから なあしかし我々が平凡なのに比べると先生 方は天才的で荒らせ られる平凡な我々は犯罪者と同時に探偵的 才能もあるわけです が天才的な は全然探偵の能力なしに徹底的にただもう 大犯罪者の素質だけをお持ちなのです な神山は昨日弱そうな笑いと長老するよう な笑いといつも2つを同時に含めている ような笑い顔をするやつであっ たこの7つの事件を同一犯人のした計画 殺人と見る場合にはしばなぜ犯人は連絡の ないバラバラ事件を構成したかということ が問題になります がこれがつまり犯人の狙いなんです よ真の同機をくらますためです よこの反抗のどの1つかがあるいはいくつ かが犯人の真に目的とする犯罪で あり他の犯罪はその目的をごまかすための 細工にすぎない犯罪です よなぜそのような細工が必要 かなぜならば同期が分かると立ちまち犯人 が分かってしまうからです よと神山東洋は小博士と同じことを言い 出し た同機は何だいと私が聞いてやっ たらさてその同機の問題ですが ねとまた変な含み笑いをし た何分天下の大犯罪者が一同に返しておら れるのだかられごきが同を云々する手は ありませ 最も同機の明白なるもの必ずしも犯人の真 の同機とは限らず最も利害の大なるもの 明白なるもの必ずしも犯人の真の目的に あらずですか な小瀬博士いかがです か小博士は答えないすると単語が 神山君は4つの事件の共通の容疑者を挙げ て社と三宅だけが全部の犯罪に共通して おり最も主要な犯罪と見られる疑けの財産 関係の犯罪の容疑者たるべき人物が姿を 表していないと言った ねしかし君共犯者ということがあるよ単独 では共通していなくとも2人ないし数人で 共通している場合があり得るじゃないか 大体半月ありの短事実に7人もの人間が バタバタ殺されそれが警官の警戒厳重の さ中なのだからな共犯者なしにできること じゃない ねごもともですと神山は頷い たしかしです な疑の問題として例えばかさんご夫妻です な この2人が共犯としましてもうしの場合に はお二方とも決定的に不可能だという 抜き差しならぬ事実があるのです なこのお二方にさらに他の共犯者がどこ やらにおります かするとかが伊坂風前たる持ちで言っ た全く僕が第1級の容疑者であることは 認めますよ事態がそうなっているのだから 仕方がない ね僕はしかし剣技だの容疑者だのとそんな ことは身に覚えのないことだから全然気に かけていません よ僕が不安気がかりなのは8月9日のこと です よ一体何者が何事を企んでいるのです かが9日に僕が今度殺されたとしたらその 結果はどういうことになるのです か初めの風然たる勢いににもやらず語り 進むうちにごきをとえ不安と恐怖のために 自然と顔が歪んで いる小博士が時計を見て立ち上がっ た時間が来ましたから僕は失礼し ます8月9日までには必ず帰るつもりです が皆さんお大切に何しろもう神山さんの大 推理にうっとりしちゃってすっかり時間が 遅れちゃっ てと挨拶もそこそこに慌てふめいて 飛び出していっ た 21密かと拷問と行員 その朝食後光線宿へ出かけてみると宿の 亭主が気味悪そう にまた昨日は大変なこと で いやあ知っています か昨日は警察の方が2度もここへ見えられ まし てやれ やれ聞いてみると1度は神警部の一行で後 来た男はは6尺近い草相撲の横綱みたいな 男だと言うからこれは神山東洋で ある彼は離れの窓から渓流へ出て時計で 時間を測りながら歩き去ることであるが実 はこの朝も小博士が慌てふめいて立ち去る と彼もまた追っかけるように出かけていっ たがこれはN長で木米のありいを調べに 行ったにそうい ないおせかな矢で あるしかし奴圧巻だけのことはあって見る 目はさすがに油断のならぬところが ある事件の性質を知らない亭主は刑事が 調べに来たものだから私を犯人みたいに 気味悪く思っている様子であったが全く こうなると私自身も転換の発作か何かで 知らないうちに自分が人殺しをやらかして いるような変てこな幻想にも落ちかねない 始末で ある仕事どころの話じゃ ない犯人は誰だろうなどとそんなこと ばかり自然に取り止めもなく考えて一時も 書くことができないの だ神山東洋はその日はとうとう帰らなかっ たその翌日の夕食になってもまだ帰ってこ ない我々が夕食の食卓へついたところへ静 医が青ざめた顔に目をギラつかせてぬっと 姿を表し た彼はコツコツ悪くしている足音を響かせ ながら食卓を半分回ってちょうど私の正面 へ回っ たそこには木米がいるので ある偽善 者みけ木 べ海老塚医は大喝一斉 右手を端と突き出して木米の横顔を 突き刺すように指さし たまるで野球の審判人のような大げさな 身振りだがもっと慢心の気迫がこもって まるで術の構えのよう だ彼は指さした手を槍のごとくに構えた まま実際木米の耳の下を指先でグリグリ 突きましまし た偽善者宮木部 もう一度さらに活一斉し て8月3日 日曜日何時三宅 木米N長においてもろいこじと3回した ぞ何時先日よをのしてなんと叫んだ か何時正義の仮面をかぶり妻の不定をのり つつもろいこじと密通いたしておるでは ない か ほれ扁桃いかにこれ何時偽善者み 兵その時神山東洋が思を回らず外から食堂 へ扉を分けて入ってき た彼はあけに取られて見ていたがやがて 面白そうに笑いだし 偽善者三宅 木米欠作 傑作お次は何です海老塚 先生お次の文句は私が教えてあげよう か気ながら密通のやり存じ実はフれ男と いうのでさ 海老塚も神山東洋の弱無人の差し出口に 一時はあけに取られたが神山の言葉が 終わるとイ構わず再び腕を突き刺してはた と三宅木米を 睨み扁桃 いかに何時偽善者宮 木米珍しく自動車の警笛の音が玄関の方に 響いていたが 神警部の一光がドヤドヤと乗り込んでき た警官の一光を見ると海老塚は調子づいて ハと木米を 指差し君見よ偽善者三宅 木米彼正義の仮面をかぶりよをのり妻の不 を のり彼偽善者は とついしておる ぞ烈烈たる気迫を込めて偽善者木米を差し 示したが警官が左右に寄り添って腕を捉え たのは海老塚その人であっ たなんじら何をするかこらブれも 見よそこに彼こそ偽善者正義の仮を かぶり八丁花と南川雄一郎巡査は左右から 各々両腕を抱えて小さな海老塚を 釣り上げるように抑えてしまっ た神警部が進み出 て海老塚さん気の毒です一応同行して いただかなければなりませ ん腕を取られた海老塚はバタンバン足を 鳴らして 何をなじら寝ぼける かそこによる彼宮家木米こそよ偽る偽善者 である ぞ なじらブレ もいやあ海老塚さん警察は偽善者をどう することもできないの ですそれはお釈迦様やキリストの両分でし てとと神警部は笑っ て沖の毒ですが偽善者を差し置いて我々は まず障害犯人を捕まえなければならないの ですもろいこじ看護婦を校門し全身に無数 の火傷と差し傷を与えて瀕死の渋滞に陥ら しめた現行犯としてまず海老塚浩司を逮捕 いたさなければならないのです 海老塚は2人の刑事に連れ去られ たどうもお騒がせいたしまし たと神警部が立ち去ろうとするの を一体どうしたのですかと聞く といやもう無茶ですよ痕跡病院が終わると 先生病院の鍵をかけてもろい看護婦を裸に 縛り上げ と科のメスだのハダのを取り揃えましてね 驚くべき拷問を始めたのです ねその結果つまり偽善者三宅木米という 下りを白場させてここへ乗り込んできた わけです よ私たちは近所の人から悲鳴の密告を受け て海老塚委員へ駆けつけたのですが まさしく狂人の振舞いですメモは当てられ ぬ参です よ肉は焦げ一面に血は溢れ発は掴みとら れ何がさて医者が犯人じゃ手当てのしよも ない でしょうそれでも幸せに読み過ぎが看護卒 か何かいくらか医者の心がありまして兵隊 流に荒っぽくなんとかやっておりますが命 を取り止めるばよろしい方ですよ すると今までの事件も彼が犯人ではあり ません かと私が聞いた がいやそれはまだ調べてみなければ分かり ませ んと神警部は帰っていっ た神山東洋はようやく椅子に腰を下ろして いやどうも驚きました な食堂へ入ってくるとやい偽善者難治三宅 木米と来たからこれには私も全く面食らい ました ぜ私はしかし昨日から今日一杯その偽善者 三宅木米の件でN長を調べて歩きました ね実はもろいこ看護婦の白場はいさか 間違っているのですよ 8月3日にもい看護婦が密会したのは隣村 の闇金の百姓親父で三宅先生と海老塚医師 は各々の旅館に今か今かとも以上を待ち かねつつつい振られた悲劇の当人に他なり ません ややの大門の今の際にも嘘をついて宮宅 先生の名出すとはも以上も驚くべき冷静 知的な知者です な確かにこれも大犯罪者の素質を備えた 1人です な木米は一言も語らなかっ たなるほどしかしいつからか彼が意外な像 をエに示すようになったのももろい看護と こうなっていたと分かってみれば頷ける ことであっ た彼もまた珍しく嫉妬深く邪深い変質的な 1人であっ た君は何かい光線宿へも私のことを 取り調べに行ったそうだがそうやって みんなのあわいを調査しているのか ねと私が神山東洋に聞くとええそうでさ 根が弁護士ですからこんなことが好きな 勝文なんです なあ私はF長も調べまし たかさんはありいがありました なあ単子先生は だめ単子先生はやっぱり12時20分と いうやつにおりだったんです よ道の上へフラフラと飛び出しててこう ゆらゆらと泳ぐみたいに手を振って ね自動車の車掌も運転手もよく覚えてい ました よだが三宅 先生あなたはしかしも以上のことは とにかくバスの始発の件です なああなたは始発には乗りませんでしたね 神山は木米を見つめたが木米は相手になら ず全然返答の様子が ない海老塚医師がも以上と三宅先生の中を うりだし た疑る根拠はあるの ですなぜなら三宅先生 は始発でなしに12時40 分つまり海老塚石と同じバスでN長へ行か れたの ですつまり三宅先生は7時半前に統を出発 され たしかし12時40分までこの村のどこか におられたはず です木米はまた答えなかっ た答えようともしなかった 顔色も変わら ない変わりよもないので ある青ざめて歪み彼は俯いて人の話も 聞こえないごとくであっ た単語が皮肉いっぱい に神山君頼まれもしないのにおかっぴきが そんなに面白いか ね神山東洋びくともせずに あこれだけ八早の殺人事件の真ん中に 暮らしながらちょっと探偵心を起こさ なきゃその方がよっぽど変てこりだと思い ますが ねその晩私たちが寝ようとすると八丁花と 南川雄一郎巡査が2階の両端の階段の 降り口のところへ頑張って いるこれは昨夜から部の命令でこうなった ので あるかが八丁花にいやあご苦労様ですでも もういいんじゃないのかな はあ何ですかいえ海老塚さんは交流されて いるの でしょうええそう ですこんなに警戒してくださらなくとも もうよかろうと思いますが はあともかく警部の命令で8月9日までは こういすことになっており ますかは海老塚が捉えられたのでどうやら 人安心の様子であっ た 228月9日宿命の 日8月の夜になっても博士は戻ってこ ないこの日の深夜には約束の8月9日が 始まるのだから食堂にはアピ女子が1日 目玉を光らせて頑張って いるみんな食堂に集まっているが空部屋 ばかりの廊下にも八丁花と読みすぎが両端 に頑張っている物々しい警戒ぶりなので ある夕食には冠警部も出席していた 8月8日午後8時かみんな8です な戦争中は末広がりとかなんとか演技を 担いでいましたが我々警察にとっては 末広がりは何より困ったことです よこの事件はまさしく末広がりで全くどう も面木ない次第 ですその時本書から電話が来た それを聞いて戻ってきた神警部がいやはや どうも海老塚さんが本書の保護室でもっか 大演説をしているそうですが ね今夜この家で大立が展開さ れるこれは神様のおぼしめしによるのだ そうで恵さんの魂も今夜はこの家へ来る そう でもう分どこかこの辺の隅に詰めているか もしれません よそれからもいこさんは県立病院へ入院し ましたがなかなかの渋滞であるいは絶望か もしれないということです当局といたし ましても死なれては困る意味もありまして 発砲を手を尽くして治療に当たっているの ですがあのご夫人は天下に生れな驚くべき 意思力を備えた人だそうですよ 意識不明のさ中にも意思力が働いている そうでごらしいものもほとんど漏らさぬ そうです なあこの事件はやっぱりまだ終わらぬの だろう か私はかの顔を見たが彼もどうやら再び 不安になり出している らしい今日は多郎かこさんの二なのかで あったが明日は例のごく問題のおじ様の一 周期であるから例年ならば盛大な包容が あるはずであったがこの連続の殺人事件で あり問題の当日でもあるから来会者の方も 気持ちが悪いに決まっているし間違いも 起きやすいそこで包容は来年回しという ことになっ た防犯の獨協があるだけで ある上山が神警部に向かっ てそうです なあ全くあの看護婦は大犯罪者的でした なあ第1目がちょっとこう三白ガでじっと 見つめられるとすみがありました よところで事件は実際8月9日に起こる ものです かそれがはっきり分かってくれればこっち は閉めたものですが 何がさて我々は海老塚先生のような鎮痛力 や神眼がありませんので残念 です神山さんは花綿密に操作に当たって おられるそうですがあなたの心願はいかが です1つ遠慮なくご意見を聞かせて いただけません か私が1つ警部にお聞きしたいのは解剖の 結果の強の推定時間です なああれは絶対のものです かそうです ねまずほぼ確実とは思われますが絶対とは 申されませ ん幸い今度の場合は7件ながら早々に死体 が発見されておりまして最も遅いのが内木 さんの死後20 時間そのために推定時間はほぼ確実とは 思われますが 我々とでもそれを絶対としているわけでは ありませ ん千草さんの目隠しというのはどういう風 になっていたのです かあれはです なこれは千草さんの持ち物のノコの風呂式 ですがこれを2つにおりましてつまり三角 筋型によりまして額から後ろへ回して結ん であります つまり顔の前面に三角筋がだらりと胸の方 まで垂れておるわけ ですですから胸に垂れた風呂敷ごとその上 から縄で首を閉めて殺したもの ですすると何ですか犯人とは非常に仲の 良い間柄で隠れんぼでもしようというわけ で目隠しをし たそこを首を たそんな風な想像もしてよろしい余地が あるわけです なお説の通り ですともかく合意の上で自ら目隠しをした と見るべきかもしれません なピカ一が横からバ声を張り上げ てそれじゃあなんだ ぜ隠れんぼしているところを他の本物の鬼 が来てしめしやがったのさ 神山は吹き出した がまさか あなた年頃のお嬢さんがわざわざ三山へ 出かけて隠れん坊しますか ねいやいややりかねないさにやら ずピカイチは真顔になっ てちという女のバカ娘とセ主人じゃどうせ まともことはやれない ぜ当たり前に抱き合って切粉するなんて そんな月並な系統ができるもん かそれに比べりゃ かくれんぼの方がよっぽどやりかねない ことなん だそこで内先生がどこかへ潜り込んで 隠れるそこへ本物の鬼が来て しめすどうだいこれは1つの空としても 芸術的なリアリティが あら万事こういう具合に立ち上げられゃ 殺人だって芸術的干渉に耐えら ね神警部も笑い出し ていや全くです芸術家の直感や空想は時と して鎮痛力を表すことがありますから なあるいはそんなところが真相かもしれ ませんよ それでは皆さんの芸術的陣痛力を拝借 いたす意味で1つ打ち明けて申し上げます が第1回目の事件望月人さんの事件に死体 の信代の下に彩佳夫人の部屋靴の鈴が1つ 転がっていたのです よこれは皆さんの陣痛力でどういうことに なりますかやそれだ まさしく君警部それですよそう来なければ ならぬ全ては明白じゃない かピカ一は目を輝かせて叫ん だ彩佳さんは恐怖に沈んで大きく目を分け て警部を見つめ た私は統計といた以来望月さんのいらした 部屋へまだ1度も入ったことがございませ ん おおさすがにこの狐も見上げたやつ さピカ一は思わず唸っ た弁解の文句もここまでくりゃ人を驚かし やがる よ嫁いで以来足を踏み入れたことがあり ませんとはほざけやがる よトルコやインドのハーレムじゃあまいし 10人も泊まりはいっぱいのたったのうち じゃない か成り上がり者は広大な天下を知らない からとんでもないことを言い やがるこんなちっぽけなうちはハーレム じゃ料理人の昼寝部屋だい昨の聞いた川 一晩のうちに1つ1つの部屋で血を吸って やるがね人を馬鹿にする な彩佳さんは美しい目に怒りを込めて ピカイチを睨みつけていた 神警部は取りなすように頷い ていや奥様のおっしゃる通りでしょうその 鈴は確かに奥様があの部屋へ落としてこ られたものではありませ んなぜなら信頼の下は望月さんの洋服の 上着で綺麗に吹いてあるのです よそしてその上に鈴だけが1つ落とされて いたのです は神山が唸っ たそいつは奇妙な謎です なすると犯人は恋に彩佳夫人の鈴を 置き直していったわけです かそうです な鈴も鈴ですが何のために寝台の下を吹い たもの やらいかがですか皆さんの陣痛力は も答えるものが ない神警部は根気よくもったが返事がない の でそれではもう1つこれは陣痛力ではあり ません皆様の助言が欲しいのです がちょっと失礼な問題ですが場合が場合 ですからこれを最も真面目な意味でご協力 を願いたいの です実は皆さんご承知の通りこの件には 再々引きが現れてまるでそれが特徴のよう ですが内木明子さんが三山へ行かれたのも 相引きのためではないかと推察される根拠 があり ますもし相引きのためとすれば相手の方は どなたです かこの席でなくてもよろしいのですどなた か我々に助言を寄せていただければ幸い です そりゃまあそんなもの だろうあの人が無駄に山や森を歩きやし ない さしかしそれは何も失礼なことじゃ ない警部君は人間性というものの崇高なる 実装を認識されておらんのだ ね内木さんは宿徳も高くまた愛欲も意図 深き誠に愛すべき尊敬すべきご夫人でした よ あのような多生たたる霊人を殺すとは誠に 憎むべき犯人だああいう後人はしかし相聞 の当人には殺されるはずがありません よなぜなら時間がちょっと経つうちに必ず 次の男にお移り遊ばす性質でこいつ周年 深いうるさくつきまとうやつだ悪女の不な そういうところもちょっとあるけれど上辺 だけです実際は邪魔な女じゃないから な神山がたまりかねて吹き出し たヶ白はさすがなもんです なあご自分の心境ばかりをもっぱら述べて いらっしゃるしかしあなた が女を殺すのは悪女の ふ執念深い やつそういう意味とばかりは限りません やこっちが惚れているけれども女の方が 逃げて いくそれヶもおっしゃった時間がちょっと 流れるうちには隣の男にっ てくつまりそれまた殺される大条件じゃ ありません かそっちのせいで殺される方がよっぽど 世間にはありふれてまさ ねど先生は全くひどい人です なあもっぱら子自身の心境だけしか分から ないと はいや何さ俺が言うのは相聞の当人がだ から殺しやしないというの さするとドイ先生が相聞の当人かもしれ ないぜこれ はと神山東洋がゲたげた笑いでし たしかしなんだってまた合びきに山田の森 へ出かけるのかね男のお部屋へご出張あれ ばよろしいもの それがそれ近頃は警戒厳重で刑事の方が 張り込んでいたんじゃはあちょっとあの方 の部屋へそうも言えませんから なあ全く罪なことです よしかし本当に相聞に出かけられたのです か一体その根拠は確実ですか と神山に聞かれて神警部は柄にもなく照れ ていた が実はですな内木さんのハンドバッグから 相引川のようなお方は年中そんなものを 携帯しておられるものです かそれこそ祝女の嗜みさ昔から言ってらね 式をまたげば7人の敵あり天下にこれほど 大切な嗜みはないの さ警部は全く人間性を列状でしか理解でき ないのだ ないやどうも恐縮 ですと神警部は怒りもせずにニヤニヤと ピカ一に1つ頭を下げ た食事を終わって一同が広立っ た広間の中央柱に髪が1枚貼り付けられて いるおやなん だろうそれを見つけて真先に覗いてみたの は単子であっ たやれやれまた現れた ね8月9日宿命の日か近頃流行りの ポスターだ ね単子は点で気にかけずしれの飯したが 我々は驚い たかは神を睨んで 立ち見引きつるように顔色が変わって しまっ た無理かららぬことで ある海老塚が逮捕されているうちはと彼は ないない心にやんじていたはず だまさか海老塚の魂が日の魂に転がり込ん で髪を張り付けてどこかの隅に息を殺して いるわけもない ふと私が気がつくと神警部が火を吐くよう な鋭い目玉で人々の顔を1つずつ食い込む ように睨みつけているのを認め た 23最後の 悲劇その夜の警戒は厳重を極めていた 洋館の階段を登ったところに私の部屋の前 には読みすぎ刑事がか彩か夫妻の前には 八丁花が頑張り廊下の両端から各部屋の扉 を睨み合わせて いる絵花には神警部と南川巡査が非常用の はしごまで用意して庭の様子を伺って いるこれは会場の廊下をブラブラ私たちの 誰かが便所へ立つと送り迎するという念の 入れ方で女中が酔い覚めの水を運んできて もまずアピが取り上げて毒味を するすると八丁原がむっつりとそのコップ を横取りして 怒り顔俺に よせ何をするの よ俺が毒味をして やるがぶりと口に 含む あらもう あピン先生びっくり八丁花を見つめている うちにみるみる大感激を表し てまあまあ あんた親切ねそんなに私を思っているの 嬉しいじゃないのそんなに実があるなら あんたと結婚してあげる よ八丁花は不強に目を光らせ てバカ抜かせ俺には女房があるのだぞ 何よ女房ぐらいあったってへちゃらじゃ ないの私も女房になってあげるよおめかけ は嫌いだからね女房が2人でいいじゃない かあんたの半分私が可愛がってあげる よみんなじゃ付け上がるてしようがない よそんなのあるか いバカだねあんたは恋愛なんて半分ぐらい ずつで手頃のものなの よだから4ち花だけ可愛がって あげよう うんそう か嬉しいだろうね ちょいととあピンにほっぺたをつつかれて 八丁花はぐにゃぐにゃ するあピンはすっかりのせ上がっ て今夜は素敵じゃないのこの秋に東京の フグ料理で結婚式をあげようよあんた貯金 持っ てる恥を欠かせるもんじゃないよああよし よしふぐぐらい私が食べさしてあげる よいやはや機械な濡れ事 騒ぎいかなる妖魔も殺人鬼もこの時ばかり は恥ずかしくて出られたものじゃないなど とは素人の 考え明け方の4時という頃に 濡れ事の扉を隔てた向こう側に けたたましい悲鳴が起こっ たかと彩佳夫人の部屋で ある争う必死の音が する力尽きて倒れる 音そして音は終わってしまっ た扉を押したが鍵がかかっている からおい2人はこの場を動く な発はかかへ駆け 降りる兼ねて容易のはしごをかけて神警部 と2人外から窓を叩き割って 入る伝灯が消されているから2人は容易の 懐中伝灯で室内を照らし た床に人が倒れて いる胸も荒に彩佳夫人が仰向けに倒れその 上に折り重なってうつぶしているのはかで あった 現場を生み出すなスイッチを探して伝灯を つけろ神警部の目を受けて八丁花は伝灯を つけ たかずを抱きよこしてみるとすでにくの 果て生きたえて いるデスクに飲み残したコップの水があり 白色の粉末が散りこぼれている生産狩の ようであっ た彩夫人の口からも血が流れていた かを横手へ寄せて彩佳夫人を抱きよこそう とすると夫人は目を開け たどうしました か夫人は答え ないぼんやりと目を湧いているうちにふと 意識が戻った らしい悲痛の色を目に宿して首を動かそう とし た2人が寄り添って抱きよこすと口から 流れている血に気づいて絶望的な戦慄を 表したがうをさせ手当てを施してみると舌 を噛んでいるだけで大きな負傷ではなかっ た彩佳夫人は全く我に帰って襟を書き あわせたが横手に寄せてあるかの死体に 気づくと小さな絶望の叫びをあげ た何事が起こったのか思い起こして くださいと神警部は鋭く夫人を見つめて 返答を待ったが夫人はしばらくそれを同じ ような鋭さで見返しているばかりであっ た あなた方いついらした の今来たばかりですよ室内からの物音に外 から端をかけて窓を叩き割って窓の鍵を 外して飛び込んできたの です何事があったのです か彩佳夫人はかの死体を抱きよこして膝に 乗せたがもう手応えがないので祈るように 2人を見上げ た神警部は首を横に振っ た夫人はうの目を虚しく戻したがやがてか の死体を膝から下ろして寝台に手をかけて 立ち上がり考え考えたみながら寝台から デスクへ椅子へ何かに寄り添いながら窓 まで歩いていっ た破れた窓から涼しい風が吹いて くる自然に気持ちが落ち着いてきたようで あっ た夜が明けそめて いる彩佳夫人は戻ってきて寝台に腰を 下ろし た伝統がついていました かいいえ私たちが飛び込んできてつけたの です 彩佳夫人は頷い た主人は遅くまで起きていまし た私がいつ目を覚ましても伝統がついてい て主人は机に向かって何かしていまし たそのうち太目を覚ました時には暗闇でし た私は誰かに首を押し付けられていたの ですびっくりして起きようとすると主人の 声で僕だよと手を緩めてくれましたがその 時は殺意を感じるほどの強い力ではあり ませんので何が何やら分からぬ気持ちで びっくりして半身を起こしただけ です主人は優しく私を抱き寄せるようにし て僕は 死ぬ一緒に死んで おくれもう僕はダメなんだからと申しまし た神警部は頷いて その先を促し た私は呆れて何がダメと尋ねまし た答えの代わりにうーという唸り声が惚れ まし たにわかに激しい力で抱きしめられたと 思うと首を突き上げてきたの です夢中に手向かいまし たそして転げ落ちてその後は覚えがないの です神警部は頷い たもっとよく考えてみて くださいご主人は他に何かおっしゃいませ んでした か彩佳夫人は考えていたが首を横に振っ たなるほど 死んでくれもう僕はダメなんだ からなるほど 警察の手が回ったからもう だめそういう風に申されたのです ねいいえ違い ます彩佳夫人はきっぱりと言っ たそんな風には申しませんもうダメなんだ からと申しただけ です主人は昨夜新室へ来てから無惨なほど やれ果てておりましたの ですイライラとすじもいたたまれぬ手で 怯え切っている様子でし たそれはあの玄関の柱に脅迫の張り紙を見 たためで私はその理由をよく存じており ましたの です主人は海老塚さんを犯人と信じており ましたからあの方が囚われたからはアドし ておりましたの ですですからあの張り紙のショックはひど すぎたの です不安と恐怖に私が先に眠ることさえ 心細い有様でした が私がいつ目を覚ましても主人は机に 向かって考え込んでいたのでし た神警部は頷い たそして彼は改めてかの死体を調べ始め た顔や手に彩佳夫人の抵抗を受けてかきら れた傷があり彼のパジャマも引きられ胸の ボタンがい た危ないところでした なと調べ終わって神警部は言っ たあなたは気絶なさったからよかったの です抵抗を続けていたら再び生き返ること はできなかった でしょうあなたが死んだものと見てご主人 は覚悟の自殺をされたの ですなぜですか お気の毒ですがこれまでの反撃は全てご 主人が犯人でし た我々には分かっていたの ですただ物的証拠がなかったために逮捕が できなかったのでし た違い ます彩佳夫人は叫ん だ私は存じております昨夜私どもが食堂へ 参ります時には柱の張り紙はなかったの です その時に私は何がなく柱を見た覚えがあり ますから間違いはございませんそして主人 は一緒に食堂へ入りまして食事の終わる まで一歩も席を離れたことはございませ んおもとも ですと神警部は頷いて困ったような くすぐったい持ちであった が実はあの張り紙は私どもがいたしたの です8月9日宿命の日つまり犯人に対する 宿命の日この皮肉は犯人にだけ通じたはず です呆然たる彩佳夫人をしりめに神警部は いさ得意の 色やがて八丁花に命じて初めて扉を開け させ た本書から式の一が自動車を急がせて到着 したのが10時半頃11時ちょっと過ぎる 頃小博士が戻ってき たついに疑け滅亡という意外な結果に私が 広間にぼんやりしていると小博士は食堂の 出入り口から飛び込んでき た道で警察の自動車が追い抜きやがった もんでそこから目もくれず駆け出してきた んですけどこのは運動不足 でと息を切らしているところへ2階から神 警部の一向が降りてきたいやあこさんお 帰りですか人足遅れました なオルスのうちに悲劇はついに終わりまし た よ終わっ たすると歌川先生が殺されました かいや歌かまは自殺しまし た小博士の顔色が変わっ た巨に持ちかいくと落胆の色であっ た いや遅かったか僕はバカだ不眠不及しかし ああ一生の不だっ た絶望的な悔の苦痛が刻まれた 神警部は笑い出し てひどくお忙しかった様子です ね不眠不及ですか沖の得 ですしかし私どもも咲夜は不眠でした よしかしともかく 落ち着くところへ落ち着いたよう です小博士の全身に凄まじい怒りがこもっ たちくしめもう逃さない あしかし手遅れだっ たしかし仕方がなかったの です今更面木もありませんがつの川だけは ひいてやり ます誰のつの川をひくのです か犯人の です歌かまは自殺しました よ神警部は涼しい顔で答えたが小博士は それに頓着していなかった 歌川先生は毒薬で亡くなられたのです ねさよ生産仮り です衣装はありますか いいえしかし何か一晩中書いては消し書い ては消したものがあり ますひどく消しつぶして判読できませんが あるいは衣装を書くつもりだったかもしれ ませ んもっか韓式に回してあります 小博士は頷い た一緒ぐらいは用意してあるだろうと思っ ていまし た私はこの殺人を良きしていたの ですそれが自殺の形で行われることも すでに準備ができていることを知ってい まし た第1回目の殺人の時望月大人誌殺害の時 歌川先生が自殺の形で殺される準備ができ ていたの です小博士の決然たる断言ぶりに神警部も あけに取られた様子であっ たともかく別室へ来ていただき ましょう憎むべき殺人鬼の手口を説明 いたし ましょう小博士は神警部と刑事の一行を 促し た警官たちは負傷部将古博士について 立ち去った 24犯人 現る小博士と警官たちは食堂へ現れてこ なかっ た昼食が終わる頃にアピ女子がやってきて 一同に足止めを命じ た食器が下げられると老人夫妻下さん壺 夫妻まで関係者一度ぞろぞろと入きて席へ つく警官小博士の一行がそれに続いて復 私服十数名の人たちが壁にそうてくるりと 方位の体勢を取っ たテーブル正面の儲けの席についたのは小 博士であっ た小博士は伊坂鎮痛な諦めたような顔つき でやがて静かに語り出し たこの犯人は相当にみの茶人だから私の 戻るまで最後の反抗を伸ばしてくれやし ないかと空たみしていました よなぜなら草しうしのような切歯詰まった 緊急を要する殺人と違って最後の仕上げは 第1回目の人殺しの時にすでに準備が完了 していつでも行える用意ができていたから です今更仕方がありません私は犯のを頼み にしていましたが8月9日宿命の日例の ポスターが現れたので犯人はそれを チャンスに最後の仕上げを華々しく 打ち上げたように思われ ます神山東洋が口を入れ た我々缶詰組では先ほどから流言 王大いに悩まされていたところですが かさんは自殺 他殺1つはっきりしてください よそれはモスまでもなく他殺 です おおこれは 機械指定犯人 は小博士はそれには答えなかっ たそしてしばらく神山東洋を見つめていた が神山さん あなたは正確な観察癌で先日犯人の推定 可能性の推定をされましたがあの第4回目 うみ殺しの状況についてもう一度繰り返し てくださいません か左用です かあの晩さドヶ白が彩佳夫人の扉の前で わめいてい られるそれからの可能性の問題ですか いいえその前にまず我々が食事を終えて 広場にいまし た9時何分頃でしたかおゆば様がもい看護 と一緒に来られて千草さんの行方が知れ ないと申されました ねするともろい看護婦が意外なことを言い 出しまし た千草さんは引きに行ったというのです ねなぜそれを知っているとならば千草さん が男からの引きの切れを見せたその紙切れ は彩夫人が男に頼まれて千草さんに渡した ものでその紙切れに書かれていた男の名前 も読んだというのです ねその男は誰ですかと聞くとそれは 申し上げられませんという返答でし たそしてそれ から小博士はそれまで行って後を神山に 促し たさ よ私のメモはかなり正確に記入してある はずなんだ がと神山はメモを調べたの にその後すぐにまず海老塚先生が出し抜け にバカ野郎と叫んで引き上げていきました がすると今度は 画と彩佳夫人の生産なる主が開始せられる こととなりましたの ですその指頭の原因 はそれがはっきりしないので私のメモにも ないのです が要するに多分つまらぬきっかけ で小博士は頷い たそれが重大なんですよ つまりあなたのメモにも記載のないほど はっきりした理由のないつまらない 言いがかりから喧嘩が始まってしまったの ですこの怒りは海老塚先生がバカ野郎と 叫んで 立ち去るするとドイヶ白がゲタタ笑い出し てまるでこのうちは色きちいのすイバ宿だ とおっしゃっ たそれを聞くと彩佳夫人が風前としてゴ つきあなたこそ東京へお 帰りこう叫ばれたの ですこれが格闘の始まりでし たそれ から博士は再び神山に促し た神山は頷い て全くそうでした なあドヶの虫の居所のせいですかど先生 の兆しありです な突如として彩佳夫人に飛びかかって 振り回し た彩佳夫人の衣服がビリビリ避ける始末 でした なあようやく私たちが割って入って 分けるするとまた分けられながらご両名が わめき あうあと思うと 先生すでに前と彩佳夫人を追跡しており 食堂から庭の暗闇へ彩佳夫人を追っていっ たこれをまた我々が追跡して松の木の影に 彩佳夫人を着しているヶを取って抑えて 引き分けたですがこれで人落とと思うとさ にあら ず見たび 猛然彩佳夫人は一目さんに幸い自分の寝室 へ逃げ込んで鍵をかけることができ たそれから近づくものに掴みかかってど 先生が12時半過ぎる頃まで佳夫人の室の 前にめき おられたわけ ですその時間にうしが行われめき続けたど 先生を始め2階の居住者にはアバが 成り立つなぜならど先生の目をごまかして 開花へ降りることができないからという 次第 ですしかしど先生はしてら この末に記憶がないそうです から何者かが開花へ降りてうさんを殺す ことができたかもしれ ないここが大いに微妙 です確実に反抗の不可能な人は誰 でしょうそれは彩夫人 ヶご両名に決まっていますよ 小瀬博士は頷い たそして一座を見渡した目は激しい気迫に 溢れてい た皆さんこの殺人事件はおそらく10ヶ月 以前に計画せられたものでありまし たおそらく犯人の1人は変装してこの土地 へ旅行し三山へ出る感動なども十分に調査 の上極めて綿密に計画を立てたにそうい ありません 現に犯人はこの春頃一時髭を生やしたこと があったそうですが多分その期間にこの 土地へ旅行し土地の地理を十分頭に入れた ものと思われ ますそれほど密に計画しながら余儀ない 事情によって予定を外れた殺人を行わ なければならなかっ た千草殺しうみ殺しがそれでし た元より 犯人のことですが予定を外れた緊急の場合 も予想してその時の手はずも立てていたの で千草殺しはななく片付い たと思わざる失策に気づいたの ですそしてどうしてもその夜のうちに さらに宇さんを殺さなければならない必要 が起こったの です元よりかかることある時も予定して 急場に処する方法のの打ち合わせも立てて あったにそういありませ んそして予定のごとくかなり巧みにその 方法を実行して打ち合わせを遂げることが できたのです が気場の案というものは往々にしてどこか に手落ちのあるものでこの時犯人は 抜き差しならぬ心理上の足跡を残して しまっ たしかしさすがに天才的な犯人の立てた プランのこととで おそらく日本第1級の心理科が揃いながら 皆様ほどの達人がなおこの足跡に気づいて おられ ぬ私もまたこの足跡に気づくことができた のはかなり後日のことでありまし た小瀬博士は悔しそうに一息つい たおそらくこの心理場の足跡がこの事件に 犯人の残した唯一の足跡で殺しは犯人に とっても気球存亡の瀬は勝負の手とも申す べき唯一の急所でありまし たしからば犯人の残した唯一の足跡とは 何かこれは反抗の順を応手自然に説明 いたすことといたしましてまず犯人の名前 から申し上げ ます一座の緊張した同様も博士があんまり 投げに平としているのですぐ静まっ た博士は神山に向かっ て先ほどもお聞きしましたがう殺しの最も 不可能な方々 は彩か 夫人ドイヶ 白小博士は頷い て作用ドイヶ白はまず最も不可能 ですなぜなら同一位置に耐えずめきいたの です からそしてその位置は皆様の扉を見晴し そのデイリーを見晴らす絶好の位置でも ありまし たもし皆さんのどなたかが扉から顔を出せ ばど先生はわめきつつ掴みかかるにそうい ないなぜならばそうすることによって皆 さんを拠出に 封じその間に他の何人かに宇さんを殺さ せる必要があった つまりど先生は事故のありいを作りつつ 同時にさらに重大な 役割つまり監視の役を務めておられたの ですそしてど先生の巧妙な監視に援護され つつ彩夫人は居室を忍びてて絵花へ降り宇 さんをめった差しに差しこして帰られ たど先生の監視の援護がありますから彩佳 夫人は極めて落ち着いて担当を洗って処理 し血に濡れた足跡を洗い悠々と居室へ戻っ てこられ たしかしもしものことを恐れて翌朝宇さん の新室へ起こしに行かれて事件を発見され たつまりその時どこかに指紋が残っていて も言い訳の立つそういう便宜を作られた わけ です事件のに先立って彩佳夫人は感の居室 以外のどこへでも血に汚れた衣服を隠す ことができたでしょうしあるいはズロース 1枚でうみさんを殺しに行かれたかもしれ ないあるいは全然一思まとわぬ裸体でお 出かけであったかもしれませ ん1かバチかの気球存亡の時でありお2人 の全地と冒険はここにかけられていたの ですピカ一のせせら笑いが起こっ た名探偵 先生何が抜き差しならぬ心理の足跡なん だおい大先生カソにも8人殺しの犯人と いう問題なんだ ぜ茶番や落語の工業とは違うん だ変な当て水量で済むことじゃない ぜはっきりした証拠を聞こうじゃない か小博士は顔色1つ動かさ ないそして静かに頷い た抜き差しならぬ足跡はいずれ順を手説明 いたし ますまず第1回の反抗から順に従ってお 話しいすことにしますがおそらく都一先生 と彩佳夫人は歌かまが彩佳婦人と再開され て激しい連NATを寄せられるや疑が東大 稀なし参加であることを知り計画的に離婚 して彩佳夫人をか先生に目合わせ たつまり殺人計画は結婚以前に予定せられ ていたものであり ますど先生はこさ彩佳夫人と喧嘩別れをし て必要に手切れ金まで巻き上げたそれだけ 悪徳ふわの種を作ることもこの計画の実行 に最も必要な道具立ての1つでありました ので ですまがまがしい 大先生の手にかかると仲の悪いことまでが 共犯の証拠になるのかいはっきりした証拠 を言ってもらおうじゃない か小博士は平然と取り合わ ない彩佳夫人は昨か先生と結婚されるや疑 けの事情について探りうる限り探りあげて 報告するおじ様返の風おさんのお母さんの 返のこと玉さんの身持ちのこと全てが報告 されここに資料が整ってど先生は変装して 当地へ旅行して綿密に地理を調べ あげるかて手はずは整ったの です彩佳夫人は巧に玉さんをそそのかして まず月彦 の3先生を招待さ せるおさ方が招待に応じたのでおじ様を誰 が殺したか云々の脅迫上じみたものをか 先生に送り三宅先生社先生ご夫妻をお客に 招いたの ですこの時金ての計画通り招かれざる客ど 先生神山塞いおまけに 渡し4人が指名を受けて参集いたした次第 です 神山さんという憎まもがど先生という憎ま もと並んで現れるところに招かれざる客と いう意外なことに自然さが与えられまた私 という素人探偵が指名を受けたところに 犯罪を加味した意味が与えられてど先生と いう場違いもの登場が不自然で亡くなる ように仕組まれてあるからくが潜んでい まし たその上 も佳夫人も私にとっては全然未知なお方で あり ますおそらく彩佳夫人が疑けの食卓の雑談 などから私の存在を知られたのでしょうが 未知の素人探偵を吊り出したところにご 両人の巧妙な仕掛けがあるわけでもあり ますかて予定の全員が参集して 即日第1回目の反抗が計画通り実行される ことになりまし た私の席から彩佳夫人の顔はよく見ること ができないのだがこの時ちらと見ることの できた夫人の顔は何か真面目な身のある話 を一生懸命聞いているという顔つきで道場 のようにあけ なく他に何の意味もない顔つきに思われた 25致命的な手違い 小瀬博士は言葉を続け たど先生の到着即日から犯罪が行われると いうことは当家にただ1人の心山者である 同士にとって最も有利な条件となることを 忘れてはなりませ んのみならずど先生のみは彩佳夫人の王に 満ちた指定によって同じ会場に住むことを 拒否され絵花の和室に一室を与えられる こととなりまし たこれもまた綿密に計画された要件の1つ でありましたの ですまず持月先生を殺すにあたりまして 眠り薬を与えた上視察するという方法が 取られましたが大人先生は腕力ある感です しご夫人との交渉も多くこれを防ぐにはら せることが必要でありしかし眠り薬一方で は彩佳夫人に疑いのかかる恐れが ある以上の理由から眠り薬を与えた上での 視察という手の混んだ方法が取られたもの と思われ ますさて現の証拠に眠り薬を入れる段と なって1つの手違いが起こっ たこの手違いが結局致命的な手違いとなり 草 手は殺しの必要をもたらしご両名を図ら ざる苦境に追い込んだのでありまし たピカ一はもはや我関せずという様子で あっ たさて現の証拠が感じられていた時時 調理場ではおそばを打っていましたので壺 兵ご夫妻を始め見学の内木明子さんなど それに千草さんと彩佳夫人がおられた時 です 彩佳夫人のみは1人離れて肉を作っておら れそこは現の証拠の煎じられつつある近所 であり他の一段の人々はその反対の離れた 場所におられたの ですその時金手の計画通りドイヶ白が一見 ほどの青大将をぶら下げて食堂の窓の下を 通られ鶏を飲んだ大蛇を退た腹を晩飯の おかを出してやろうとおっしゃりながら 賑やかに登場いたされたの です計画は罪当たり一道は窓から首を出し て 眺める蛇好きの壺兵さんは窓から飛び降り ていくという協力ぶりで彩佳夫人が眠り薬 を入れるチャンスが構成されたわけでした がここに1人千草さんという天じが存在し ど先生の熱にふんともかけないお嬢さんが 現れたためにこの計画は深刻極まる破綻を もたらす結果となっ たつまり引手は千草殺し続いてうみ殺しと いう切羽詰まった反抗を続けざるを得なく なったのであり ます千草さんが眠り薬投入の現場を見てい た次第ですか なと上山東洋があまり今日も乗らない声で 質問し た現場を目撃したわけではなかったのです 千草さんは犯人は玉さんだと思っていまし た玉さんが戦事薬をフラスコへ移して 冷やしたのですからそう信じてい たところが眠り薬はフラスコへ投入された ものではなくそれ以前に煎じた夜間に投入 されたものだと 分かりおまけに玉王さんが殺されてしまっ たそこで千草さんはふと気がつい た千草さんはノイヶ白の蛇使いにも肌も 引っかけずもっぱら彩佳夫人と向い合った 位置にいましたから先人薬に近づいた人が 玉さんを覗いては彩佳夫人1人であること を見ていたの ですそれで私が玉さんの考察されたことを お知らせいたしました時てっきり玉さんを 犯人と信じていた千草さんはびっくりし てどうも変ねじゃあ 一体そう叫んでにわかに考え込んでしまっ たの ですここに千草さんが殺されなければなら なくなった絶対の必要が生じたの です小博士は四国平然と語り続け た千草殺しは巡手語ることといたしまして 大人殺しに戻り ましょうその夜の午後1時 頃内木さんが大人さんの寝室を訪れた時鍵 がかかっておりまし たその鍵は内木さんが偶然大人さんから 預かって自分の部屋に置いたはずのもの でし た言うまでもなくその時ドヶ博は大人さん の寝室におられたの ですおそらく佳夫人が定通り盗み出した相 をヶの部屋へ置いておくというような方法 で入手して内側から鍵をかけてさて仕事に かかろうとするところへ内木さんが来 た慌てて寝台の下へ 潜る内木さんがやってきて再び戻られた時 に大人さんの心臓を目がけて一撃の元に 視察 する担当の指紋を拭き取り信頼の下を大人 さんの上着で綺麗に拭いたのはゴミの上に 残った後で身長などが分かる恐れがあった からであり ましょうそして綺麗に吹いた上へわざと 彩佳夫人の部屋靴の鈴の1つを置いてき まし たこれこそ類い稀な犯人の高知の手段で ありましてこの置きのされた鈴1つに歌川 か先生を自殺の形で殺す時の用意がこもっ ていたの ですさすが冷静な小博士も初めていさ顔に 感動を表し た意味は異なるにしても芸術を味わう人の 感動に似てい たご承知のごとくその夜彩佳夫人はか先生 と一室に寝ておられまし たおまけにか先生は午前3時頃まで机に 向かっておられ た愛さはその間ずっと目の前に寝ており つまり東や有配のある唯一の人は彩佳夫人 でありまし た元よりこのアバは夫と妻との関係にある 人の証言でありますから警察当局はこれを 疑るかもしれずその意味においてこの ありいは必ずしも成立はいたしませ んしかし天地にただ1 か先生その人だけは彩佳夫人の歴然たる ありを信じて疑うことがありえるの ですしかも一方に大人さんの部屋に彩佳 夫人の鈴があるしかも綺麗に吹かれた場所 に置かれてあり ますさすれば以前からあったものではなく て犯人の作意によって置かれたものである ことは確か ですもかが彩佳夫人に権をかけようとして いるしかも彩佳夫人は絶対に犯人ではあり え ないか先生にとってのみはこれは疑う べからざる事実であり ますすなわちか先生にとってはあらゆる人 が犯人として疑わるべき場合にも彩佳夫人 のみは犯人ではありえ ないこの絶対の信頼が第1回の反抗におい て巧妙に設定せられているの ですすなわちこれは最終回の準備のため つまりかず先生を自殺と見せかけて殺す時 の用意のため ですなぜならか先生は最後に至って あらゆる人を疑る時も彩か夫人を信頼し おそらく 彩佳夫人の進める飲み物を疑うことなく 飲み干すであり ましょう彩佳夫人の進める生産借を睡眠役 と信じて飲むこともあり得るの ですそしてその予定の ごとくか先生は毒殺せられたのであり ますどうしてそれをかさんに忠告してあげ なかったのです かと神山東洋が聞いた 小博士は顔を歪め た私が天下のバカもだったの です私は最愛の彩佳夫人を私の忠告によっ ても多分疑ることのないか先生を予想して はいましたがしかしそれ以上に犯人を買い かぶっていまし た私は犯人が私の帰るまでこの反抗を行う ことがないだろと考えていたの ですしかしあるいは犯人は昨夜8月9日 宿命の日という張り紙を見て私の仕業と 信じ私の期間を信じたのかもしれませ んあの張り紙は平の警部が貼られたもので ありまし たこれは愚痴ではありません平野警部の 手落ちではないのです は私の大失策でありまし た小博士もしばらく安全と表を伏せ た 26絶対絶命の悪戦 苦闘小博士は顔を上げて語り続け たさて第2の殺しですがこれは極めて簡単 です酔っ払いの玉さんはこの日は特に泥酔 して覇気苦しんだあげく熟睡しまし た元々玉さんの寝室は殺してくださいと 言わぬばかりの高地点にあるのですから 極めて簡単な仕事でドイヶ白が忍び入って 部屋にあり合わせのアイロンのコードで 殺して伝統を消して引き上げ たなぜひの粉末をこぼしてきたか海老塚と かもろい看護という一癖ある人物の存在を 見て容疑者の範囲を手力するためにそんな いたずらを残したのかもしれませんしかし その正確な意味は私にも推定はできませ んさてここまでは簡単でし たところが玉殺しが発見されると千草さん が愕然としてどうやら薬の剣で彩佳夫人を うり出した様子ですのでここは八に千草 殺しを行わねばならなくなりまし たまさに一刻も猶予のできぬ場合 です博士の顔に熱情が現れたどうやらこれ からが事件の山である らしいピカイチは平然として口をつんで いる彩佳夫人も道場のごとくただ耳を すましているようであった その日の午後は予定によって大人さんを旅 にふす日でありまし た何かの方法によってドイヶ白と彩佳夫人 は千草殺しの手はずを打ち合わせたもの でしょうまず彩佳夫人が宇先生の合びきの 手紙を偽造して宇さんからこかったからと 千草さんに渡しまし たそれを信実めかすために棺が送り出さ れる時 夫人は内さんと並んで門の外まで棺を送っ て出たの ですまさかに千草さんがこの手紙を人に 見せようなどとさすがの彩佳夫人も夢にも 考えていませんでし たそうでしょ美女は恋の仕方において害し て秘密を愛すものですところが無女は恋を ひけらかす性質のものでさすが連の佳夫人 も我が性癖に沿ってしまって千草さんの 得意な性質を洞察することを忘れていまし たまさかに合びきの手紙を人にひけらかし て見せようなどと夢にも思ってみなかった の です私にとって半神半疑の真相がどうやら 死ぜざるを得ぬものとなりつつようであっ たしかし私にとっては今もって彩佳夫人が 犯人であるとは思われず全てが博士の いたずらで今に突如として別の新犯人を 指名するように思われてならないのであっ た博士は語り続け た仮装場について獨協を終わって火をかけ さて帰ろうとしたのが6時6 分偽造の 相引川は色々の方法を用意せられていたん でしょうがたまたま死体を積んできた 大八車が空のまま帰ろうとするのを認めた のでとっさにその利用を図られ言葉巧に宇 さんを第八車に乗せ自分も後を押して若し 2人とど先生の3人引きですから猛烈な 勢いでみるみる谷道を登り我々の視界から 消え去りまし た他人を登り詰めたところでど先生は大 八車の後押しをやめまし たそして少しやり過ごして感動へ飛び込み 猛烈な全速で走って身神社の裏へ出てここ に待っていた千草さんに話しかけ宇先生が 後からひょっこりひょっこり歩いてくるぜ 1つ隠れんぼでもしようじゃない かまあどんな風に持ちかけたのか知りませ ん がをせておいてなんなくしめしてしまっ た直にハンドバッグを引っかき回して例の 偽造の 相引川まりをして第八車をやり過ごして うみさんより一足先に戻られ た宇先生は石こだらけの急坂にかかる前に 第八車をおりセの危ない足で一足ずつ休ん ではおり休んではおり相当の時間を使って 石こだらけの急坂をたどっておられその間 にど先生は安康と先回りして第一着に疑 分け戻られたのでありまし た土井先生は表向きこの土地は初めての ことであり歌へ到着して3日目土地不安内 とせられますために 感動の利用ということから当然除外される 位置にあるというこれも綿密な計画のうち 1つであったにそういありませ んこうして千草殺しは安々と終わり犯人ご 両名は危機を出したはずでしたがどっこい 晴天の霹靂と申すべき最大の危機が 待ち構えていまし たすなわち申すまでもなく例の相の手紙を ちぐささんがもろい韓国に示したという図 ざる事実が判明いたしたからであり ますいよいよ小博士のいわゆる事件の急所 で ある私はピカイチを見たが彼はすでに我れ 関せず全然人言のように勝手に仕上がれ バカバカしいという様子であっ たあの夜9時何分頃でしたか様ともい看護 婦が広間へ入ってきて千草さんは6時頃 から合びきに出かけ たその手紙をもろい看護婦が見せられた男 の名前も知って いるそれと分かった時のヶ白彩佳夫人の 驚愕転倒イカばかりであったかもはや計算 熟慮の余地もありませ ん千草さんが殺されたとは知らないから もい看護婦は相の男の名前の原名をはかり ましたが教皇が発見されればそれを言わず にいられるはずはありませ んさすれば手紙の偽造が発見 するのみならず偽造の手紙を彩佳夫人が 千草さんに手渡しているのですからおか 偽造の主も発見 するそして事件の全貌が自然に発覚せざる を得ないのであります これを防ぐには宇先生を殺すかもろい看護 婦を殺すかいずれかしかない条件として うしが用意でありまたもい看護は広間に おいてこそ男の名前の原名をはかったにし ても思いの誰かに漏らしているかもしれず 日記に残しているかもしれませ んさすれば宇先生をその夜のうちに殺す 以外に危機を脱する道はないのであります もはや一刻の猶予もならぬ熟慮の余地も ないの です即座にうみ殺しの手はずを打ち合わせ なければならないの ですその打ち合わせの 方法それは多分秋冬なご両名が兼ねて急場 に備えてピンチに処する方法を決めておか れたのでしょうがそれがつまり霊の 格闘掴み合いぶん殴る 挙句に彩佳夫人が人けない子へ逃げ去るど 先生が追っかけて 捕まえる他の人たちの追いつくまでに争う ふりをして打ち合わせを 遂げるつまりあの必死生産な格闘こそはご 両名にとって我々が当時見て感じたよりも さらに 必死絶対絶命の悪戦苦闘でありましたはず です 私もそして多くの人々もどうやら説得せ られてき たしてみると彩佳夫人が新犯人であったの かもはや小博士が今までのことは冗談です 新犯人はと言い出すことはありべからざる ものに思われ たそれにも関わらず彩佳夫人を新犯人と 信じることがいかに出来がいものであった か それは多くの人々にも同様の心境のように 思われ た小博士は我々の思惑などはおいなしに 言葉を続け たご両名は筋書き通り巧に格闘を演じ彩佳 夫人はダとのごとく古へ逃げ去るドイは これを追跡追い詰めて我々が駆けつける までに殺しの手の打ち合わせを遂げまし たそのはすでに先ほど申し上げました ごとくにヶ白が彩佳夫人の扉の前でわめき 続け顔を出すものに食ってかかって自らの 相startを作りつつ監視の役目を 果たす彩佳夫人がその監視の援護のうちに 下えおり談話室より探検を持ち出して宇 先生を 殺す誠に巧妙な方法 です表面権限ただならぬご両名が核のごく 協力していようとは知る余しもない我々に とって党の犯人彩佳夫人は最も権の外に 置かれ神山さんの推理においてもご両名 だけは絶対に犯人ならずと結論されるに 至っており ます巧妙にまた秋冬な彩佳夫人はすでに この夜の突発時に備えて平常から実質の扉 の内側は鍵をかけっぱなしておく習慣を 作って人々にも信じさせこの急場に実質へ 逃げ込むことが不自然でないという綿密な 用意を整えておいたのであり ますすなわちトヶ白の到着以来か先生の 寝室に寄居している彩佳夫人はそれだけの 用意がなければこの球場に実質へ逃げ込む という言い訳が成り立た ない私は初めそんなにうまく実質の扉の 内側にちゃんと鍵が差し込んであった なんて話がうますぎると疑ったのですが社 先生その他にお聞きしたところによっても 彩佳夫人はズボな方で常々鍵を実質の内側 へかけっぱなしにしておく習慣であったと いうますます話がうますぎるのでむしろ 全てが長日月に計画された綿密極まる犯罪 であることをますます信ずるに至ったほど でありまし たしかしほ綿密に準備せられた犯罪もこの 日の危機があまりに晴天歴でありかつ重大 であったがために熟慮の余地がなかっ たそしてさすがのご両名もここに不確な 心理の足跡を残すに至ったのであり ます 27心理の足跡 小博士が先ほどからくどく解く心理の 足跡心理といえば我々分子もそれが商売の ようなものだがまだ私には何のことやら 開目検討がつかなかっ たそれに応ずるように小博士は我々を 見回し た同席の皆様はおそらく日本最高の心理 人間痛と申すべき伝達の方々であります その皆様にしてこの足跡にお気づきになら ないそれは皆様の手落ちではなくおそらく 犯人ご両名の演出があまりにも真に迫り 記念を挟む余地を立っているからであり ましょうしかしそれにしても1つ不な理由 を私理由に付け加えますなら皆様が犯人の 計画通りあまりにも表面の事象を猛進し すぎていられた つまりヶ白彩佳夫人ご両名の不を絶対に 真実と猛進せられて疑うことを忘れてい られ たそこに心理の足跡を見逃す根拠も生まれ たのだと思い ます弱気の都会人で自慢の嫌いな小博士は 自分の高原にいさ照れて重い様子で あるさて晴天の歴のピンチにんごは寸の 猶予もならずお互いにじりを掴んで喧嘩を 始め突如として猛烈な格闘ぶん殴り掴んで 振り回し投げ飛ばしさらに彩佳夫人は子が を目指して走り去りまし た演技は真に迫っており ますしかし皆さんもう一度東の状況を皆様 自身の念頭に思い描いていただきたいと 思い ますすなわちこの部屋にはひさん社さん 三宅さんか先生神山さん私これだけの男が 揃いこの男は全部彩佳夫人の味方たる 人ド画伯の暴力に対して彩佳夫人を守り 戦うにそういない人々であり ます現にその前夜も彩佳夫人に向かいヶが 暴力をを振いかけた時ひさん社さん神山 さんらが前とヶ白に立ち向かって彩佳夫人 を助けたではありません かその晩とてもそう ですあまりにことが突発的で我々の良きせ ざるうちあっと思う間に彩佳夫人は殴られ 振り回され投げ飛ばされておりまし たしかし我々は我に帰るや当然ヶに踊り かかって彼ををさえ立てまし たそれでこは済んだと我々は思ったの ですするとまた隔てられたまま二子巫女と 言い争ったと思うと我々の良きせざるうち 再び突如としてヶは彩佳夫人に飛びかかり 彩佳夫人は身を返すやダトのごとく古を さして逃げ去りまし たすなわち皆 さん私がのと呼ぶのはここであり ますなぜならば彩佳夫人の最大の味方たる ものの大部分がその場に言わしているの です古いには何もありませぬ誰も見方は おりませ ぬ古いを回って小屋へ逃げても小屋の男は 追いはてた下男の他にはおりませ ぬ村の人家は1人も離れ所もまた1離れて おるのであり ます我々が土地不安内な夜道などで深夜に 追いはぎに出会ったような場合でしたら 我々は追いはぎを逃れて暗闇に逃げ出す ことは自然であるかもしれませ んしかしあの晩のごとく現に味方の大部分 がその場に言わす場合にその味方の方へ 逃げ込み味方のいるべきはずのない暗闇の 子へ向かって逃げ去ることが自然で ましょう か自ら七へ赴くことではありません か我々の目の前ですら振り回されて 投げつけられ衣服は避けて膝から血が 流れるほどの暴行を受けているのに味方の 中へ逃げ込むずに暗闇の古がへ逃げ去る などとは人間の心理においておよそあり べからざる怪事事であり ますすなわちそこにはどても人のいない古 へ向かって逃げねばならなかった必然性が ならねばなら ぬそうざるを得なかった理由がなければ なら ぬ小博士は言葉を切っ たしかし思い入れよろしくに自ら照れた ものかすぐさま言葉を続け た私も演技の妙に騙されてこの日はその不 自然に気づくことができませんでし たその欲張宇さんの残derが発見された 時私がようやくそれに疑念を持つことが できましたのはそれから1週間の後多門 先生とかこさんが毒殺せられた東やのこと でありまし た皆さんもあの日のことはなお記憶に 明らかなことと思いますがおそらく平野 警部の尋問があったおに彩佳夫人はドイヶ 白をさして犯人と呼び指の魔術と呼びまし たするとドイヶ白は平然として傍のご石を つまみ上げ 告白無限の恋の巻きはい都 東西悠々と指の魔術をご疲労遊ばされた もの ですのみならずそれが終わって名を 言い争いドイヶ白が自分もいつ毒殺される かわからないこんな家に痛くないと申され ますとお前が犯人じゃないかお前の他に誰 が毒を盛るものですか彩佳夫人はそう叫ば れ た私がはてなと思ったのはその時であり まし た何か勝手が違うそこが私の気にかかっ たすると私は気づいたの ですそうだうみ殺しの夜はなんでもない つまらぬことがきっかけでであの ものすごい格闘となったところがこの日は 言葉の上の敵意の激しさではそしてまた 言葉にこもる悪意の激しさではこの日に まさるものは ないそれにも関わらずドイヶ白は平然とし てあえて彩佳夫人に飛びかかる ないこれは一体なぜ だろうそう思った時あの格闘の激しさの 不思議さが初めて不思議なものとして私の 意識に 蘇りそれに続いてあの心理の 足跡彩佳夫人が古いの暗闇へ逃げ去ったと いうあゆべからざる不自然さがようやく目 に演じてきたのでありまし た私が五両名の秋冬極まるからくを見破る ことができたのはようやくその時であり まし たあまりにも遅すぎまし たしかしまたあまりにも巧みな演技あまり にも巧みな計画ではありません かピカ一は相変わらず平然と沈黙していた その沈黙は必ずしも不自然ではなかっ た心理の足跡とはいえなおそれが決定的な 説得力にはどこか不足なものがあっ た我々のその思いと機械地の平然たる顔と その妙に調和の取れた要するに変に間の 抜けた地方状態を作り出しているのであっ た小瀬博士は語り続け たさて5回目の多門かこ毒殺事件に移り ます多門先生の場合彩佳夫人が多門専用の 砂ツへモヒを混ぜておきプリンの中へモヒ を押し込んだのですがプリンの中へモヒを 押し込んだだけでは彩佳夫人が直に剣技を 被りますからまず多門専用の砂ツへボヒを 入れておくそれを気づかずにプリンへ入れ たように 見せかけるそういう用意を整えたわけで あり ますこの仕事は簡単明解で彩佳夫人も別に 苦心はなかった でしょう問題は殺しであり ます幸いにヶ白のレの乱舞によりまし コーヒー茶碗が1ダスありもかけ揃いの 茶碗では満足のものが不足になって1つ だけかけた茶碗が混じることになりました からこれを利用して筋書きを立てかこさん と同時に多門先生を殺害する手はずを整え か先生の誕生日を予定しまし たかこさんは普段はこの食堂へ来ることの ない方ですからかこさんのコーヒージワは ドイヶ以上にかけたものがが当たり ますかこさんは表向き女中並の待遇を受け ているのですから外来の方々よりも待遇の 落ちるのは自然でこれを利用してトイヶ白 がコーヒージワを取り替えてあげるその時 霊の指の魔術という天才的の名義によって 毒薬を入れてかこさんに 進めるこの明義を成功させるには他の人々 にもコーヒーに毒薬を入れうる可能性を 作っておくことが必要でこれは彩佳夫人の 役割 ですすなわち彩佳夫人はその頃を見計らっ て社夫人を誘って便所へ立つ予想のごとく 広間にコーヒーが並べられているのを 見届けてから慌てて食堂へ行き便所の窓 から庭に怪しい人影を見たと言ってか先生 社先生それに私を誘便所へ取って返しまし た人々がにわかに何人か立ちますとそれに つれてまた何人か便所へ立つのはよくある 現象で食事の終わりときですからその必要 の方々も数人おられて上山さん三宅さんら が便所へ立たれ たこうして56名の方々に広間の卓上に 並べられていたコーヒー茶碗へ毒薬を入れ うるチャンスを設定されたとというわけで あり ますこれだけの助演が完了すればあはドイ ヶ白の手だれの明義に狂いのあるはずは ありませ ん巧に毒薬を入れた後巧妙な手段によって かこさんと茶碗を取り替え たそして演技は見事に成功しドヶ白は彩佳 夫人をはったと睨んで八つが俺を殺そうと したといかり彩佳夫人はドヶ白をさして 嘘ですあの人こそ犯人ですあの人は指の 魔術の天才ですからとまたしてもここに 兼ねて計画の掛け合い漫才の名技が行われ たわけであり ます以上で主要なる殺人目的の大半を 果たしましてあとは最後に主目的たるか 先生の殺害が残るばかりであります がその中間に不連続事件の不連続たる一石 を投じておく必要があり内木明子さんが 生贄に選ばれて滝つぼに突き落とされ歴史 しまし た先ほども申し上げました通り私は他門か 殺しの終わって後にようやく事件の真相を 突き止めることができましたのでそれも 要するに心理の足跡を発見し得たことに よって事件の全貌を推理し得たというだけ ののこと1つとして物的証拠はないの ですかなる上は次の事件を待って現場を 抑える以外に手はないと思いましたので ドイヶ白につきまとっていれば次の事件の 隊長をつみえるだろうと狙いをつけて幸い 神山さんと問ヶ博が毎日玉つきの賭に熱中 しておられるところから私も賭の玉つきに 1枚加わることにいたしたの ですまたしてもこれが私の失敗でし た私は勘違いをいたしたの ですうしは突発的な気球存亡の大事です から1かバチか白人の下をくぐる千番に 1番の兼ね合いでついに彩佳夫人が探検を 握って出演するに至りましたがこれは例外 中の例外で最後の殺しを除いて不連続方面 の教行に佳夫人の出番はもはやなかろうと 私は考えてしまったの ですそしてドイヶ白に つきまといここにつきまとっているうちに 必ず次の不連続工業の短長が握れるものと 信じていまし たこの軽率な見込みは物の見事に裏を書か れてしまったの ですすなわちヶは密かに内木さんと宮山の 滝つぼで引きの約束を結びまし た一方彩佳夫人は当日光線宿へ遊びに行き その木に千草殺しの際にトヶの走った感動 を駆け抜けて滝つぼへ現れそこにトヶを 待ちかねているうさんと何くわぬ顔で肩を 並べて滝つぼを散歩しながら突然うさんを 突き落とし たそして再び今来た感動を抜けて元の道へ 現れ林の方から何事もなかったように そして今光線からまっすぐ戻ってきたよう にご期間遊ばされた次第であり ます 28抜き差しならぬ物的 証拠鮮やかな推理であっ た不連続殺人事件の全貌はところなくその 真相を暴露せられて いる私も説得されずにはいられなかっ たしかしなお平然として無関心なピカイチ の顔そして道場のように聞き耳を立てる 無心な彩佳夫人の 顔そこには反抗的なふてぶてしさを見る こともでき ないそして我々は小博士の推理に説得され ながらも同時に犯人たる2人の男女の無心 さにも説得されずにいられなかったそして 2つの説得力が妙な平行状態を保って いるつまりそのどちらにも最後の説得力が かけているの だそして小博士にかけている最後のものは 言うまでもなく抜き差しならぬ物的証拠に 他なら ないしかし博士はそのような力の平行状態 が一向に苦にもならないらしく再び淡々と 語り続け たさて最後の仕上げの反抗に移りますが もしも海老塚医師ともろい看護婦があの ようなことにならなければこの2人こそ 犯人ご両名の最も利用すべき人物であった でしょう海老塚もいの漁師は秋冬なる犯人 すらも良きせざる人物でありました それは是非もありません家の主人たる和 先生すら父田氏が残しせられて片倉老人の 打ち明け話を聞かれるまでは海老塚市が 多門先生の孫にあたる人であることを知ら なかったほどであり ます従って犯人も知らなかっ たそれだけにこの良きセ氏人物の出現は 利用価値が大でありもし海老塚市の発狂と いう事件がなければか殺しの容疑者として 最後の仕上げに最も大きな役割を振られる こととなった でしょう効果不岡恵は発狂してもい韓国を 障害し留治されてしまったので最後の 仕上げも当初の計画に戻らざるを得ず すなわちか先生の自殺という形による殺人 事件が予定通りにわれることとなったので あり ます私はまだか先生毒殺の現場も見ており ませんただ警察の方からお話をお聞きした だけですがこの事件は私がすでに10日 以前から予定していたことです から今までの推理が正しいように次の推理 も正しいはず です多分か先生は今朝明け方近くまで イライラと寝もやらず反問し不安に沈んで いられたことと思い ますなぜなら前夜広間の柱に張り紙を見 られたからで事件の犯人を海老塚と信じ 海老塚の逮捕によってもはや身に危険の 泣きもと安藤しておられたか先生の驚愕 転倒不安のほどは道場にあまりあり ます不安のあり寝もやらず明け方に及んだ 同士に おそらく 彩佳夫人が睡眠薬を進めたものと思われ ますそしてか先生は生産カを飲んで 死ぬそれだけでも自殺で通るはずですが新 犯人としての自殺という証拠が残されて ないために彩佳夫人は無理真珠を迫られた 格闘の後を 想いもうだめだという先生のをに伝える ために自身も舌を噛み切って一時送信する ほどの現を働かなければならなかったの でしょうこうして10ヶ月来計画せられた 犯罪はまんまと最後の仕上げを終わったの であり ますピカ一は平然として質問1つしようと し ない馬なことは相手にならぬという様子で ある然に博士の最後の仕上げ挑戦攻撃が なければならぬはずで あるそして小博士は変わり映えのない声で 淡々と最後の挑戦を切り出し た私は東京へ行きまし た彩佳夫人は結婚後月に1度または2度 必ず上京される習いでし た状況はは常にか先生も一緒でしたが状況 中の行動は必ずしも一緒ではありませ んど先生と早夫人は文書で往復することは 危険ですから必ずどこかで会っておられる はずであり ますこれだけ綿密な犯罪計画を行うために は事前にあらゆる事情に通じてかつそれを こしに綿密な打ち合わせを遂げる必要が あり幾度かの会合と打ち合わせを遂げる ことが必要であり ますしって彩佳夫人の状況の度必ずどこか で2人は会見さられておるはずであり ます状況中のか先生ご夫妻の宿は壺兵士の 家でありますから私はそれとなく壺兵ご 夫妻から聞き出しましたが彩佳夫人は単独 で出かけられてその夜のうちには必ず帰っ て来られたと いう1度も1人で出かけられて止まってこ られたことはなかったという話でし たしてみれば会見の場所は東京家東京周辺 の都市を遠く離れるはずはありえ ない私はドイヶ白彩佳夫人の写真を握って 東京へ帰り写真を焼き増しして30名ほど の地球に協力を頼んで東京は愚か横浜浦和 大宮千葉八王子に至るまで待合い旅館料理 やしらみつぶしに聞いて回ったの ですその結果お膝元も都心後あまり離れて いない焼け残りの待合いにご両名の巣を 見い出したの ですご両名は月に1度あるいは2度必ず そこに落ち合って静かな半日を楽しんで おられたわけ ですその待ち合いの女と女中は私の同僚に 付き添われて今朝1番でを出発いしており ます夕方5時には遅くもここへ到着いたす はずであり ます小博士はポケットから1枚の紙切れを 取り出し たこれはただいま友人から私に届いた電報 ですつまり今朝の出発を知らせたもの です小瀬博士は前方を開いて気場に乗せ それを静かに読み始めた セミ丸の女途上 中予定の通り1番にて 立つ小博士はつぶやい たセミ丸セミ 丸これは待ち合いの名前 ですピカ一は名を平然として顔色1つ変え ないこの時一方の壁際から物音が起こっ た数のの刑事が慌てて前へ飛び出し た彩佳夫人の椅子が倒れ立ち上がった彩佳 夫人が胸を抱くようにかきむしって フラフラと倒れるところで ある刑事の抱きとめる手が遅れて彩佳夫人 は下へ崩れ23°床板を掴むように生い 出してやがて崩れ て動かなかっ た刑事の中に混じっていた医者が進み出て 診察し数命で人口呼吸のようなことを施し ていたがやがて諦めて立ち上がっ た私がふと気づいてピカ一を見るとピカ一 の左右後ろに5名の刑事が寄り添い両手を しかと取って いるピカ一は立ち上がってい た彩佳夫人の倒れた姿をテーブル越しに 見つめているが おそらくその極めて1部分しか見ることが できないようであっ たピカ一は険しい視線を冠警部に注い であの人のと へ行かせてくれた 前あの 人 彩か神警部は判断に急して目玉を向いて 黙って いる警部だの分かる でしょう俺があの 人彩佳のところへ行きたいと言っているん だ権限ただならざるピカがだ よさすれば文明ではない かつまり俺は俺と彩かが犯人であったこと を今や公然と認めてあげているの だ神警部は頷いて承諾の意を表し た じゃあ俺の腕を取るのも吉た へ しばし最後の自由を 与えようそしてピカ一は刑事の腕を 振り払い1人のしのしとテーブルを回って 歩いていっ たテーブル正面の小博士の後ろを通る時 軽く博士の頭を撫で てうまくやっ た探偵小僧 師何時小さ サシと偉そうなことを言い捨てて彩佳夫人 の意外の前に膝まづい た彩佳夫人の手を取ってその死顔を数分間 も見つめていた が顔を上げて誰にとも なく馬鹿だった よ死ぬ必要はなかったの だ待ち合いの女や女中ごきが現れたところ でそれが何者でもないではない かそんな証拠を吹き飛ばす ぐらいそれぐらいの知恵を俺に信じてくれ てもよかったじゃない か早まったことをしてくれた よ今となってはもはや仕方が ない自殺はこれ犯人 のまた1つの告白 なり か よろしい愛するものへの定義に より夫ピカも 付き合って告白いすで あろう アーメンピカ一は彩佳夫人の手を押し いただき長く長く口づけし たあまりに長い時間であっ たそして凶悪なピカイチながらそれは人の 心にしみいる悲しさを伝える姿でもあった ピカ一は彩佳夫人の手を 離しよろめいて前へ倒れ たそれ がピカイチの最後であっ たさ

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